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日本初の民間資金100%による一般海域洋上風力発電事業の事例

富山県 入善洋上風力発電所 入善マリンウィンド合同会社

基本情報・事業概要

企業名 入善マリンウィンド合同会社 (代表社員:株式会社ウェンティ・ジャパン)
所在地 富山県下新川郡入善町
設立年 2019年
事業概要

本合同会社は、東北・北海道の日本海側における豊かな風が吹くエリアで風力発電事業を展開する、ウェンティ・ジャパンが主導している。ウェンティ・ジャパンの主な事業地域である秋田県は、風力、地熱、バイオマスなど再生可能エネルギー資源の宝庫であり、とりわけ風力については国内屈指のポテンシャルがある。ウェンティ・ジャパンは、電力の固定価格買取制度(FIT)を機に風力発電事業への参入が活発化している中、地の利を活かした風力発電事業と、それに付随するO&M事業などの関連事業を展開している。

本事業は、一般海域において日本初となる、民間100%出資の洋上風力発電事業であり、ウェンティ・ジャパン以外にも、JFEエンジニアリングや北陸電力が出資者として参画している。また、発電した電力については、固定価格買取制度に基づき北陸電力送配電との電力受給契約を結んでいる。

発電所の運営管理は本合同会社が行っている。本合同会社は、風車の保安管理やメンテナンス業務を風車メーカーのミンヤンに、海底ケーブル・風車基礎部と変電設備のO&MをJFEエンジニアリングに、人員輸送用メンテナンス船の手配と地元調整・総務関連業務をウェンティ・ジャパンにそれぞれ委託しているほか、発電所全体のO&Mを監督する電気主任技術者は、北電テクノサービスが務めることで、事業運営を行っている。

以下、事業者のコメントを掲載

取組の背景

本事業への参入は、ウェンティ・ジャパンが秋田県内の風力発電事業で協業した建設会社からの紹介で、入善町へ視察を兼ね訪問したことがきっかけ。東北と比べて風況は悪かったが、入善漁業組合の関係者や入善町の皆さまの熱い思いに触れ、入善沖での風力発電所建設に向けて早急に動き出さなければならないと感じた。

NK認証に2年半と想像以上の時間がかかり、その間に、当初予定していた国内風車メーカーと建設会社が本事業から相次ぎ撤退し、事業が頓挫しかねない危機に見舞われたこともあったが、新たな風車メーカー(ミンヤン)や建設会社(清水建設)の協力のおかげで、発電所の稼働に漕ぎつけることができた。

本事業は、清水建設所有のSEP船「BLUE WIND」が初めて施工した洋上風力。清水建設からは、ウェンティ・ジャパンが「今後は大型の洋上風力発電事業が急増する」とアドバイスしたことが、BLUE WIND誕生のきっかけになったと聞いているが、その後、この船が本事業の建設を行うことになり、不思議な縁を感じている。

本事業の資金調達では、プロジェクトファイナンスの手法を採用。秋田県の北都銀行が主導となり地元の北陸銀行、富山第一銀行、富山銀行が参画し、新潟県の第四北越銀行および政府系商工中金からの融資を受けて運転開始することができた。

洋上風力発電施設建設風景の画像

取組における工夫

基礎について
基礎はモノパイル式。また、風車のブレードの長さは通常50m前後のところ、低風速でも発電量を稼ぐことができるよう、15m長い65mのものを導入した。
建設
建設には2,500トンの世界最大級のクレーンを使用し、基礎となるモノパイルは1日1本ペースで打設工事を行った。設備の大半は七尾港で組み立ててからBLUE WINDで入善沖まで運搬した。
BLUE WINDのライトアップ
建設中は24時間作業のため、夜間、BLUE WINDがライトアップされていたこともあり、連日地域住民や観光客など300人ほどが見学に集まり、観光スポットとなっていた。現在、風車は町のシンボルとなっており、観光客や町民が訪れているが、少しでも快適に時間を過ごして頂けるよう、見学スポットなどを設けている。
漁業との共生
発電所の開発にあたり、漁業との共生の部分が最も大切であった。この地域は、黒部ダムの砂が数年に1度放出されるたびに魚がいなくなる状態を繰り返し経験しており、漁礁効果への期待など、当初から漁業組合の方々からは大きな期待を寄せられていたが、海の中の様子を風車導入後に映像として見えるようにしたことで、よりご理解を深められたと感じている。また、金属が海の中に入ることで、イオン化現象により漁礁となるという知識を持った方が漁業組合にいらっしゃったことも、開発を進める上で大きな力になった。
風車3基それぞれの愛称を募集
稼働1周年を記念し、風車3基それぞれの愛称を募集したところ、地元の小学生231名から568点の応募があり、以下の最優秀賞3作品を風車の愛称に決定。
1号機:new善風車
2号機:入善小太郎
3号機:入善丸
毎日、風車を見回りに来られる町民がいるほど、地元住民に愛される洋上風力発電所となっている。
洋上風力発電施設視察時の画像 洋上風力発電施設視察時の画像 風力発電風車の名称(入善小太郎、入善丸、new善風車)画像

苦労した点とその対処法・解決策など

苦労した点
入善町近隣の自治体(黒部市、朝日町)の漁業関係者へ説明を行い、いずれも大いに賛同いただけたが、他エリアからは富山県全域の漁業組合の承認を得ることが求められた。
国内にミンヤン製の風車を導入した初めての事例であったため、不具合があった際、メーカーによる初動体制が整備されていないのではないかと懸念した。海外からエンジニア等の関係者が派遣され対応にあたるため、移動コストや人件費など莫大なコスト負担が生じることも不安材料だった。
対処法・解決策
各漁業組合への説明にあたり、入善漁業組合の組合長(全国マグロ協会会長)に率先して同伴いただいたことにより、話はスムーズに進んだ。
「地方創生」という面では、入善町の全面的な協力を得られたことが非常に大きかった。入善町からは再エネのシンボリックな取り組みを非常に期待されているが、発電所が実際に観光スポット的な役割を果たすことで、町にはメリットを感じて頂いている。また、本合同会社の出資各社が町のお祭りに参加したり、積極的に地域と関わりを持つことで、地域活性化にも貢献している。
地元にメーカースタッフが常駐し、発電所近郊に管理棟を開所することで迅速な対応を行っている。

今後の展望

  • 今後は、地元でのプラントエンジニアリングの一つとして、秋田や入善の例を国内化実証として展開したい。

お問合せ先

中部経済産業局 資源エネルギー環境部 エネルギー対策課
〒460‐8510
愛知県名古屋市中区三の丸二丁目五番二号
電話番号:052‐951‐2775
(応対時間:9時~12時、13時~17時)
FAX番号:052‐951‐2568
メール:bzl-chb-enetai■meti.go.jp(FIT申請に係るご相談は、メール:bzl-chb-fit■meti.go.jp)
※スパムメール対策のため、@を■に変えてあります。メールを送信するときは、■を@に戻してから送信してください。

最終更新日:2025年3月31日