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No.08 試験研究・検査設備のご紹介2

地域企業の競争力強化のための設備の導入:その後の使用実例(平成24年度補正予算事業 地域新産業創出基盤強化事業(中部地域))

2014年10月1日

第8回は、臨時号として、「地域新産業創出基盤強化事業」にて、地域の公設試験研究機関に導入した、次世代産業への取り組みに資する試験研究・検査設備の、実際の使用の様子をご紹介をさせていただきます。 実際の活用事例を通じて、「これは自社にも使えるかも」とお考えいただき、相談、利用に繋がれば幸いです。県内県外企業の関係なく利用可能ですので、是非ともご活用いただきますようお願いいたします。

「地域新産業創出基盤強化事業」の解説はNo.5にておこなっています。ご参照下さい。

Q1「地域新産業創出基盤強化事業」で導入された試験研究・検査設備は?

平成24年度補正予算事業として、「当地域における成長産業の育成を図るため、地域における新産業の基盤の創出に向けて、 地域の中核的な試験研究機関の基盤強化を行うとのこと」を目的に、中部経済産業局による委託事業として実施しています。

当局「八ヶ岳構造創出戦略」や「地域自治体等の産業振興ビジョン」の内容に基づき、以下にて整備いたしました。

設置設備(設置機関一覧)

  • 大型振動試験装置(あいち産業科学技術総合センター 産業技術センター)
  • ウォータージェット(岐阜県工業技術研究所)
  • ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC-MS)(三重県工業研究所)
  • ファイバーレーザ加工機(富山県工業技術センター)
  • イミュニティ試験機器(石川県工業試験場)
  • 顕微赤外イメージング顕微鏡(名古屋市工業研究所)

以下に、設置機器の相談窓口であるご担当者とともに、使用事例をご紹介させていただきます。 機器等の仕様等実際の利用につきましては、各機関のご担当者あてにご相談いただき、より有用な利用を図っていただければと存じます。

大型振動試験装置:電池パッケージの振動・衝撃の耐久性試験

【設置場所】あいち産業科学技術総合センター 産業技術センター

当センターの自主研究事業の一環で、小型ビークル用 のリチウムイオン電池パッケージの振動・衝撃に対する 耐久性評価を実施しました。

次世代自動車向けに搭載する電池パッケージの評価については企業からの依頼が最近増えており、厳しい振動条件下の耐久性、繰り返し衝撃に対する耐久性等の評価が多く行われます。 今回の評価は、大型振動試 験装置を使用して走行状態の振動・衝撃を模擬した条件で試験を行い、電池のリーク、ベント、性能劣化等 の確認をしました。 大型振動試験装置の特徴として、通常のサイン制御 による振動だけでなく、ランダム制御、ショック制御による振動が可能であるため、様々な試験条件のニーズに対応できます。

さらに、1500mm×1500mmの加振テーブルを標準装備し、加振テーブルを支える軸受機構に油圧静圧軸受方式を採用しているため試験物の重心位置をあまり考慮する必要がなく複雑形状の大型製品でも試験が可能です。(試験物の最大搭載質量は500kg)

環境材料室 佐藤さん 「大型製品・部品の振動試験等の 依頼・相談をお待ちしています」

環境材料室 佐藤さん 「大型製品・部品の振動試験等の 依頼・相談をお待ちしています」

ウォータージェット:炭素繊維複合材料の切断加工

【設置場所】岐阜県工業研究所

炭素繊維複合材料を加工している企業さんが、製品の切断加工にウォータージェットが適用可能か、特に加工精度や加工時間について検討するため、お使いいただきました

加工精度は±0.2mm以内に入っており、加工時間も問題ない。ただし、試料が薄いため飛散しないように固定するのが難しいとの結果が確認できました。

この装置の特徴として、あらゆる素材に対応しており、加工面の熱影響は全く無く、テーパー補正や3次元加工が可能で、材料寸法は、1300mm×1300 mm、厚み120mmまで切断できます。 また、素材データベースに存在する一般的な材料であれば、すぐに最適な加工条件で加工することができます。

機械部の小河さん「ウォータージェット加工機のご利用をお待ちしています」

機械部の小河さん
「ウォータージェット加工機のご利用をお待ちしています」

ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC-MS):微小異物の定性分析

【設置場所】三重県工業研究所

樹脂成形品製造や食品製造などの企業さんから、製品に混入した樹脂と思われる異物の同定について技術相談があり、当研究所により分析を実施しました。

これまでも樹脂様の異物については、赤外分光光度計(フーリエ変換)による分析を行っていますが、これと併せて本装置による分析を加えることで、推定の精度を大きく向上できます。

また、本装置の前処理装置(熱分解試料導入装置)は、非常に少量のサンプル(樹脂分として0.1mg程度)で分析することが可能であることから、微小異物の分析に有効です。 その他の前処理装置として、液体オートインジェクターとヘッドスペースガス導入装置を備えており、様々な形態の試料を分析することが可能です。

ものづくり研究課 森澤さん 「有機物や樹脂などの分析について ご相談をお待ちしています」

ものづくり研究課 森澤さん
「有機物や樹脂などの分析について ご相談をお待ちしています」

ファイバーレーザ加工機:難燃性マグネシウム合金のレーザ溶接

【設置場所】富山県工業技術センター

建材メーカーから難燃性マグネシウム合金の溶接・接合性を調査検討したいとの相談があり、一般のマグネシウム合金との比較も兼ねて、レーザ溶接試験を実施しました。 難燃性マグネシウム合金は、Ca(カルシウム)などを添加することにより、発火点が200~300℃程度高くなるため、 各種輸送機器部材や次世代の高速鉄道車両用部材への適用可能性が高いと期待されている材料です。将来の構造部材として、溶接をはじめ各種加工性能を調査することは重要なことであります。 今回のレーザ溶接試験における最適溶接条件により、溶接部の表面外観および内部組織での欠陥は発生せず、良好な溶接継手が得られ、本試験により最適な溶接加工条件を明らかにすることができました。

加工技術課 清水さん 「ファイバーレーザ加工機の利用を お待ちしております」

加工技術課 清水さん
「ファイバーレーザ加工機の利用を お待ちしております」

イミュニティ試験機器:国際規格に則った耐電磁ノイズ試験

【設置場所】石川県工業試験場

電気・電子機器、電気機械等の製品は、周辺機器からの電磁的なノイズによって、誤動作しないように対策する必要があります。

そのため、製品が誤動作を起こし大事故につならないように、IEC(国際電気標準会議)やJIS(日本工業規格)にて、耐電磁ノイズ(イミュニティ)性を高めた上で、出荷や輸出をするよう求められています。

石川県工業試験場では、新規に医療機器、エネルギー機器等の次世代産業を見据えた高性能製品の開発や、高機能化した新製品の開発、 あるいは、従来品の仕様変更をした際の信頼性向上にイミュニティ試験を実施し、国内での出荷、欧州、米国、韓国等への輸出を支援しています。 本試験機器によって、1.放射イミュニティ試験、2.伝導イミュニティ試験、3.電源周波数磁界イミュニティ試験が実施可能です。また、イミュニティ試験時は、国内外の電源事情に対応できるよう安定化電源を備えております。 石川県工業試験場では、前述の1.~3.の試験の他、静電気放電、電気的ファストトランジェント/バースト、雷サージ、電圧ディップ、短時間停電及び電圧変動等、 多種に渡ってイミュニティ試験が実施できます。

電子情報部 吉村さん 「様々なイミュニティ試験が可能です。 ご相談をお待ちしています」

電子情報部 吉村さん
「様々なイミュニティ試験が可能です。 ご相談をお待ちしています」

顕微赤外イメージング顕微鏡:ポリ乳酸の結晶構造解析

【設置場所】名古屋市工業研究所

ポリ乳酸は、バイオマスを原料としたバイオプラスチックの一つで、自動車、環境、医療などの次世代産業を担う材料として製品への利用が進められています。

既存のプラスチックに近い力学特性や、透明性が高いという長所があり、利用を更に進めるには、耐衝撃性や耐熱性が劣る欠点を改善する必要があります。

ポリ乳酸は結晶化することで耐熱性が向上するため、耐熱性を改善するには結晶構造と冷却速度の関係を明らかにする必要があり、企業さんからの依頼により、顕微赤外イメージング顕微鏡を用いて分析しました。

冷却速度5℃/分という非常にゆっくりした速度では、ほぼ結晶化しており、冷却速度10℃/分では結晶と非晶の海島構造を観察。 さらに40℃/分という速い速度で冷却すると、ほとんど結晶化しませんでした。これらの結果から、ポリ乳酸の結晶構造と冷却速度の関係がわかりました。 顕微赤外イメージング顕微鏡は、ポリ乳酸だけでなく次世代産業を担うプラスチック材料の高次構造の制御や結晶化を促進するような結晶化剤などの添加剤の開発にも、非常に有用なツールとなります。

有機材料研究室 小田さん 「樹脂材料などの研究や 分析依頼をお待ちしています」

有機材料研究室 小田さん
「樹脂材料などの研究や 分析依頼をお待ちしています」

取材後記

「地域の技術的な基盤強化」として地域公設試験研究機関に、上記装置を導入しましたが、これら装置は、地域の企業さんに活用いただいて初めてその効果が現れるものと思います。

今回、導入後数ヶ月の間で実際に使用された概略を各機関から集め、ご担当者とともにご紹介をさせていただきました。 まず、導入機器の活用イメージを持っていただくことが先決ですが、自社の課題解決だけでなく、知っておきたい技術的な特性などの基本情報の収集、 そして身近な相談先としてご活用いただくことで、自社の技術力の向上に繋がっていくのではないかと思います。是非ご活用ください。

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本ページに関するお問合せ先

中部経済産業局 地域経済部 イノベーション推進課
〒460‐8510
愛知県名古屋市中区三の丸二丁目五番二号
電話番号:052‐951‐2774
メールアドレス:bzl-chb-sangi■meti.go.jp
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