「カーボンニュートラルへの対応を経営方針の取組の柱の1つに位置づけ、本社とベトナムの2拠点で省エネ活動を計画的に取り組む」

豊桑産業株式会社

業種:製造業(カウンター・キャビネット・造作材など木質内装建材の製造)

住宅内装の一例。木目調や人工大理石などスタイリッシュな建材を特徴とする。

  • 住宅内装の一例
  • 住宅内装の一例

製造プロセスのデジタル化を実施。本社工場及びベトナム工場の全設備をネットワークで接続し、
デジタルデータをもとに、受注から納期までの全工程を一括管理している。

製造プロセスのデジタル化

事業の概要

住宅内装で使用するカウンターやキャビネット、家具、店舗什器等を本社工場とベトナム工場の2拠点で一貫生産。10年前から「製造プロセスのデジタル化」を実践し、売上高は年々上昇している。

金融機関の提案を受けてサステナビリティ経営方針を策定。「カーボンニュートラルへの積極的な取り組み」を取組の柱の1つに位置付け、取組方針やKPIを定める。

SBT認定を2022年に取得し、CO2排出削減に向けたロードマップ、具体的計画も作成。ベトナム工場における太陽光パネルの設置・自家発電、省エネ診断の受診結果を受けた改善活動を実践している。

ベトナム工場に太陽光パネルの設置により、CO2排出量を263t- CO2(年間)削減。カーボンニュートラルを企業の社会的責任と捉え、技術革新を期待しつつ、計画に沿って段階的に取り組む。

省エネ取組の主な概要

SBT認定を取得。目標に沿って、CO2排出削減に向けたロードマップ、計画も作成。

2022年11月にSBT認定を取得。
SBT認定取得時に設定した目標に沿って、2050年カーボンニュートラルに向けたロードマップや、CO2排出量削減に向けた具体的な計画も策定している。

2050年カーボンニュートラルに向けたロードマップ
2050年カーボンニュートラルに向けたロードマップ
CO2排出削減に向けた計画内容
CO2排出削減に向けた計画内容

ベトナム工場に太陽光パネルを設置。

日本の電力会社の協力を得て、オンサイトPPAモデル*でベトナム工場の屋根に太陽光パネルを設置。発電したエネルギーを自家使用している。

*オンサイトPPAモデル
発電事業者が需要家の敷地内に太陽光発電設備を発電事業者の費用により設置し、 所有・維持管理をした上で、発電設備から発電された電気を需要家に供給する仕組み

ベトナム工場の屋根に太陽光パネル

ベトナム工場の屋根に太陽光パネル

導入した太陽光パネル

導入した太陽光パネル

省エネや再エネの取組による効果

各取組による効果

  • ※ベトナム工場の太陽光パネル設置によるCO2排出削減量 263t-CO2(年間)
  • ※本社工場における機械の運転時間の短縮 約10%のCO2排出量削減効果

INTERVIEW
インタビュー

豊桑産業株式会社
代表取締役 織田 龍次さん
常務取締役 宇佐美 哲也さん

省エネの取組推進のきっかけ

10年前から製造プロセスのDXを実践。スマートファクトリー化により製品ロスの削減を徹底してきた。

当社は、木質系化粧板や人工大理石などを使用したカウンターやキャビネットを、特注単品で対応しています。本社工場とベトナム工場の2拠点により、一貫した生産体制を整えています。2014年頃から、建材だけではなく、家具や什器など組立品も生産できる企業へ飛躍することを目指し、設備やロボットでスマートファクトリー化する「製造プロセスのデジタル化」に取り組んできました。

現在、本社工場及びベトナム工場の全設備をネットワークで接続し、同一システムにより、デジタルデータをもとに、製品設計、加工機による作業、生産管理など、受注から納期までの全工程を一括管理しています。また、システム改良に日々取り組むことで、あらゆるニーズに応えられるよう努めています。

その結果、安定した品質や価格、納期をお客様のニーズに合わせて提案することが可能となり、デザインやサイズ仕様が多種多様な特注品についても、大量生産される通常品と同じように製造できるようになっています。この強みを生かし、売上高は年々上昇しています。

スマートファクトリー化を進めることで、歩留まりが6%向上し、不良品率が以前と比較して大幅に減っています。この点について、十六銀行の協力を得て策定した「サステナビリティ経営方針」(後述)の検討段階において、不良品が減ることはその分のエネルギー消費量を減らすことになるため、カーボンニュートラルに寄与する取組を既に実施してきたことに気づきました。

ベトナム工場で省エネ診断を受診。省エネ活動がコストダウンにつながることに気づく。

2018年ごろ、ベトナムの工場において、ベトナムに進出した日本の環境コンサルティング企業に工場稼働における省エネ診断を受けました。

現地踏査に加え、当社の電気やガス、水道に関する請求書を元に、エネルギー消費量やCO2排出量の見える化を実施。その結果に基づき、老朽化した水道配管の改善、コンプレッサーのエア漏れと改善、エア漏れ改善にともなうコンプレッサーの設置台数削減を提案いただき、実践しました。

当時は、カーボンニュートラルが主目的ではなく、コストダウン効果を期待して受診しました。あまり費用をかけずに実践できたこともあり、省エネ活動はコストダウン効果が高いことを実感しました。

金融機関の提案を受けてサステナビリティ経営方針を策定。カーボンニュートラル対応を取組の柱の1つに位置付ける。

2021年に、取引銀行の1つである十六銀行から、サステナビリティ経営方針を取りまとめてはどうかとの提案を受けて、取組に至りました。DXの取組に加えて、継続支援A型事業所の設立による積極的な障がい者雇用、外国人の雇用など、当社が約10年前から取り組んできたことを形にできる機会となりました。

また、2020年10月に菅総理(当時)がカーボンニュートラル宣言を行い、具体的な数値が示されたことで、それに向かった取組を進めていかなければと考えていたものの、当社で何ができるのかわからず、悩んでいました。

十六銀行と相談しながらサステナビリティ経営方針を策定する中で、「カーボンニュートラルへの積極的な取り組み」を、働きやすい環境づくりや、ダイバーシティ、DXとともに、取組の柱の1つとして盛り込み、取組方針やKPIなどを定めました。その結果、当社が約10年前からいろいろ取り組んできたことを、全て繋がるかたちでとりまとめることができたと考えています。

取組推進のポイント

SBT認定を2022年に取得。CO2排出量削減に向けたロードマップ、具体的計画も作成。

サステナビリティ経営方針の策定後、十六銀行の脱炭素経営に向けたコンサルティングサービスを活用し、ベトナム工場における省エネ診断の時と同じように電気やガスなどのデータを棚卸しして、数値算定しながら温室効果ガス排出量の削減目標を整理しました。その後、2022年11月にSBT認定を取得しました。

当社では、2021年を基準年として2030年に42%削減、2050年のカーボンニュートラルを目標として設定し、目標に向かって、環境負荷低減、再生可能エネルギーの導入、電力の再生エネルギー化推進、設備更新、新規設備導入によるエネルギーの効率化、それら取組の情報開示を進めています。

その後、2050年カーボンニュートラルに向けたロードマップや、CO2排出量削減に向けた具体的な計画も策定しています。策定した計画にもとづき、CO2排出量削減効果が高いものとして算出できたベトナム工場の太陽光パネル設置及び自家使用について、日本国内の電力会社に相談して、オンサイトPPAモデルで工場の屋根に積載して実践しています。

省エネ診断を受診し、改善活動を実践。

2022年には、省エネ診断を受診しています。専門家が現場に来てアドバイスいただくので、とても参考になりました。受診後、コンプレッサーの運用改善や照明のLED化など、イニシャルコストの大きくない提案はすぐに取り組みました。

また、コンプレッサーの更新など設備更新についても提案いただいたので、補助金の活用などにより実施することを検討しています。

その他、機械の運転時間の短縮にも取り組んでいます。以前は夜遅い時間まで運転していたのですが、今は19時で機械を停止するようにしています。運転時間が減ることで、工場の稼働時間が減るため、結果的に省エネにつながっていることをデータで確認しています。

取組効果、今後の課題

省エネにかかる実績について。

ベトナム工場の太陽光パネル設置及び自家使用については、高い発電効率が期待できる日照条件であるため、10時から14時の時間帯は工場の電力の100%を賄うことができています。

機械の運転時間の短縮については、約10%のエネルギー消費量が削減できたことを確認しています。

サステナビリティ経営方針を策定し、カーボンニュートラル対応を取組の柱の1つに位置付けることや、カーボンニュートラルに向けたロードマップやCO2排出量削減に向けた具体的な計画を策定し、ホームページ等でアピールすることで、毎年の新卒採用がやりやすくなりました。また、新たにインテリアを取り扱う有名企業から取引の打診が来ることもあります。

カーボンニュートラルを企業の社会的責任と捉え、技術革新を期待しつつ、計画に沿って段階的に取り組む。

カーボンニュートラル実現に向けた取組は、企業が負うべき社会的責任として重視すべきだと思っています。実現に向けて、策定した計画に基づき、日頃の省エネ対策に加え、生産プロセスの改善、車両更新などの取組を引き続き進めていくつもりです。

また、再エネの導入はカーボンニュートラル実現に欠かせないものと考えます。本社工場は、日照条件からみると太陽光パネルの設置による自家発電量があまり大きくないようですが、発電効率の高い太陽電池や蓄電池の技術革新を期待しつつ、またCO2フリー電力の購入などを組み合わせながら、取り組んでいこうと考えています。

企業データ

豊桑産業株式会社
業種:製造業(カウンター・キャビネット・造作材など木質内装建材の製造)
住所:岐阜県各務原市鵜沼三ツ池町6丁目424番地1

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