1. ホーム
  2. 施策のご案内
  3. 技術開発
  4. キラリ公設試
  5. 記事一覧
  6. No.63 デジタル活用ものづくり支援センターによるロボット導入支援の取組みについて

No.63デジタル活用ものづくり支援センターによるロボット導入支援の取組みについて

2025年10月21日

今回のキラリ公設試では、石川県工業試験場に伺い、デジタル技術の活用で効率的なものづくりを実現するため2024年6月に開設されたデジタル活用ものづくり支援センターによるロボット導入支援の取組みついてお話を伺いました。

  • 左:辻さん 右:山崎さん

    左から:デジタル活用ものづくり推進室の
    笠原さん、野尻さん、豊田さん

Q1「デジタル活用ものづくり支援センター」とはどのようなところですか?

企業が今後も競争力を維持し、選ばれる製造業であり続けるには、深刻化する人手不足の中で多様化する顧客ニーズに迅速に対応する必要があります。そのためには、ムダのない効率的なものづくりが重要であり、コンピュータシミュレーションやロボットなどデジタル技術の活用が不可欠です。関心は高いものの、導入コスト、維持管理への不安、導入効果への疑問などの課題がある中で、実践できている企業は未だ少ないのが現状です。

そこで、デジタル技術の活用を技術支援するための拠点として整備したのが、「デジタル活用ものづくり支援センター」であり、コンピュータシミュレーションやロボットなどを扱える高度デジタル人材の育成に取り組むなど、デジタル技術を活用したものづくりの普及促進を目的としています。

Q2どのような機能を有した施設ですか?

コンピューター内の仮想空間で製品性能や製造条件を検証する「シミュレーションエリア」、シミュレーションで得た設計・加工情報などを実機や実物で検証する「製造エリア」、人工知能(AI)やIoTを活用し、稼働状況や故障予知などができる「監視/分析エリア」の3つのエリアにより、特に設計から試作・評価する工程で無駄のないものづくりを実現することができる機能を有した施設です。

Q3それぞれのエリアではどのようなことが可能なのでしょうか?

シミュレーションエリア外部リンク
各種コンピュータシミュレーションソフトを整備し、製品設計や製造条件の検証を実機による試作評価の前にコンピューター内で実施できます。 これらソフトウェアの操作方法習得など人材育成のためのセミナー等を実施しています。また、企業技術者が自社課題を持ち込み、シミュレーションの有効性などを体験できます。
  • 歯車の流体解析シミュレーションの様子

    歯車の流体解析シミュレーションの様子

製造エリア外部リンク
シミュレーションで計算した結果に基づいて実際に同エリアに設置の工作機械などで製品試作を行い、シミュレーション結果の妥当性を確認することでデジタル活用ものづくりへの理解を深めることができます。 また、以下に示す3つのスペースと装置で構成されています。
  • スマート製造室:マシニングセンタ、ロボット加工機、サーボプレス、など計10台
  • 3Dプリンタ室:三次元造形機(金属・樹脂・石膏)、レーザ肉盛装置、など計9台
  • 材料試作開発室:真空熱処理炉および材料調整自動化システム
  • マシニングセンタと研究主幹の根田さん

    マシニングセンタと研究主幹の根田さん

  • ロボット加工機

    ロボット加工機

監視/分析エリア外部リンク
製造エリアに設置した装置の消費電力からCO2排出量を見える化するなど生産設備の稼働状況を遠隔で 確認できる各種IoT機器やAI機能を搭載した異常検知システムなどのデモ展示を行っており、デジタル技術の導入に向けた普及・啓発に取り組んでいます。
  • 温度の自動記録

    温度の自動記録

  • 消費電力の監視

    消費電力の監視

  • 加工データーの記録と解析

    加工データーの記録と解析

Q4その他設備利用以外の支援について教えてください。

シミュレーションやロボットを導入し、継続的な導入効果を得るためは、社内に“シミュレーション技術やロボットのことがわかる人”を育成することが重要となります。そこで、本センターでは座学や実習などを通じて、高度なデジタル人材を養成していくことを主目的としております。

シミュレーションに関しては、各種ソフトウェアを駆使して3Dデータから製品の性能を評価し、「作らずに試す」工程を体験していただくことで、開発期間を大幅に短縮する技術の習得が可能です。

ロボットに関しては、未経験の方でも安心して学べるよう協働ロボットを使った単純作業の自動化から始める入門編、エンジニアの方向けにより高度な工程への適用や、具体的なロボット操作について学習できる機会を提供しています。このように、目的やレベルに合わせたメニューを用意して、人材育成を進めています。また、ロボット導入のメリットや、導入前の地ならし、導入事例の紹介、さらに導入に際して利用可能な助成制度のメニューを紹介するなどの講演会やワークショップを開催しております。

Q5県内企業の声を踏まえ、ロボット導入をワンストップで支援する機能を新たに付加されたとのことですが、支援センター設置にあたりどのようなニーズがあり、どういった取組をされているのでしょうか?

製品設計や製造条件の見直しなどにセンター設置のコンピュータシミュレーションなどを利用する企業が多くあります。そのほとんどは、 機械金属系製造業や電子部品および電気製品製造業であり、繊維業や食品加工業の企業利用は少ないのが現状です。一方、これら製造業については、 深刻化する人材不足に伴う製造工程の自動化が共通の課題です。

そこで、ロボット導入支援のためのワンストップ窓口を開設するに当たり事前にアンケートを行ったところ、特に中小企業にとっては「導入費用が高い」 「維持管理を運用できる人材がいない」「導入効果が分かりづらい」といった問題点が明らかになりました。また、工業試験場によるサポートとして、 「技術相談」や「実機によるデモ体験」、「導入事例紹介」、「操作研修」などが求められていることが明らかとなりました。そこで、ロボット導入のイメージをつかんでいただくため、技術レベルの異なる3種類の協働ロボット※による自動化のデモ展示を行っております。

また、経営者向けセミナーの開催に加え、希望する企業には、ロボット・FA(Factory Automation)システムの構築等を行う県内システムインテグレータの紹介から専門家を派遣してのロボット導入効果の診断を行うなど、ロボット導入をワンストップで支援する機能も整備しています。

※ロボット展示について
整列された製品のピッキングという単純作業から、AIを使いバラ積みされた製品からのピッキング作業、製品のバリ取りといった精密な操作が要求される作業のデモを展示しています。
  • 整列された製品のピッキング(展示)

    整列された製品のピッキング(展示)

  • AIを使いバラ積みされた製品からのピッキング(展示)

    AIを使いバラ積みされた製品からのピッキング(展示)

  • 加工機による製品のバリ取り

    加工機による製品のバリ取り

記事一覧に戻る

本ページに関するお問合せ先

中部経済産業局 地域経済部 イノベーション推進課
〒460‐8510
愛知県名古屋市中区三の丸二丁目五番二号
電話番号:052‐951‐2774
メールアドレス:bzl-chb-sangi■meti.go.jp
※「スパムメール対策のため、@を■に変えてあります。メールを送信するときは、■を@に戻してから送信してください。