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No.58ウルトラファインバブルを用いた食品の品質改善について

2025年7月30日

今回のキラリ公設試では、三重県工業研究所「食と医薬品研究課」に伺い、経済産業省の戦略的基盤技術高度化支援事業(現Go-Tech事業)において、 地域の企業等と共同研究に取り組んだ「ウルトラファインバブルを用いた食品の品質改善及びそれに適した発生装置の開発」を始め、 食品加工分野の技術支援を中心に研究員の佐合さん、舟木さん、田口さんにお話をお聞きしました。

  • 左から田口さん、佐合さん、舟木さん

    左から田口さん、佐合さん、舟木さん

GoTech事業とは?
中小企業者等が大学・公設試等と連携して行う、事業化につながる可能性の高いものづくりやサービスの研究開発、試作開発や販路開拓への取組を最大3年間支援する補助事業です。
ウルトラファインバブル(以下「UFB」という。)とは?
泡の大きさが直径1μm未満の泡のことを呼び、大きな気泡に比べて界面活性作用、ガス貯蔵作用、生理活性作用、光透過性など様々な有用な性質を持っています。

引用先:一般社団法人ファインバブル産業会HP

Q1食と医薬品研究課とはどのようなところですか?

三重県は様々な食文化を持ち、「美し国(うましくに)」と呼ばれ、伊勢湾からの恵みなど多くの食文化を育んでおり、三重県内の食品加工産業の中小企業事業所数は約400社で金属加工業と並び県内最多の産業になっています。

そのような中、三重県工業研究所では、広く県内のものづくり中小企業への技術支援(技術相談、依頼試験、機器開放、共同研究等)を実施していますが、食と医療品研究課では、食品加工、醸造、製剤等の分野に対して支援しています。

Q2食品加工分野の企業に対して、具体的にはどのような支援をされているのですか?

当所では、急速冷凍、フリーズドライ、燻製、製麺、アイスクリーム製造など食に関する多様な試作加工機器を保有しており、分析評価機器と共に有料で県内外の企業を問わず開放しています。

最近の主な取組としては、近年注目されているUFB技術の食品への適用があります。令和元年から、県内の食品製造装置・加工食品を製造・販売する企業と連携し、UFBを用いた食品の品質改善やそれに適した発生装置の共同開発(※)に取り組んできました。

※共同開発に当たり、経済産業省の戦略的基盤技術高度化支援事業(現Go-Tech事業)を活用
詳細:中小企業庁HP:Go-Techナビ

Q3UFBは家電製品などに使われているイメージがありますが、食品に使用するとどのような効果があるのですか?

UFBを使用した技術は大阪・関西万博に出展されているミライ人間洗濯機(株式会社サイエンスHPより)にも使われている技術でもあり、洗浄分野を中心に様々な分野に適用されています。

一方、食品への適用事例はまだ少ないですが、UFB技術は、液中に長時間残存する微細な泡を活用するため、保存性向上、酸化劣化防止、食感改良、分散性向上など食品の高品質化に繋がるキーワードになると考えられています。

実際に、前述の共同開発の成果として、大豆加工食品、カット野菜、果汁、清酒等、広範な食品に対して不活性ガスを内包したUFBを適用したことで、風味の改善や劣化抑制の効果が確認されました。

これにより、UFBを活用することで、従来の食品・飲料製造における製造プロセスを大きく変えずとも様々な効果とより多くの食品での活用が拡がることが期待されます。

Q4地域企業は、UFBの技術をどのように活用すればよいでしょうか?

UFBの分かりやすい活用方法としては、UFBを注入した原料水をアイスクリームの製品製造に取り入れることで、粘度上昇を抑制することが確認できました。

UFB技術には、添加物等に頼らない劣化防止、消費期限の延長などの効果が期待されますので、SDGsに沿ったものづくりを目指す企業などにも効果的な技術と考えます。

UFB発生装置等の関連する機器を当研究所の専門の研究員と一緒になって使用することで、企業自身のイメージに近いものを試作することができますので是非一度ご相談ください。

Q5その他PRしたい機器はありますか?

食と医療品研究課では、食として口にするものであれば、様々な試作加工機器により試作品の製作が可能です。

例としては、地元食材を使用した試作が可能な装置があり、容器に詰め密封した食品の殺菌(調理)に使用するレトルト食品製造装置やフリーズドライ食品を製造できる真空凍結乾燥機、食品の急速凍結に使用する急速凍結機などがあります。

まずは、食品に関することでのお困りごとや新製品開発などを考えられているときには、当研究所に相談ください。

機器設備データベース

  • レトルト食品製造装置

    レトルト食品製造装置

  • 真空凍結乾燥機

    真空凍結乾燥機

  • 急速凍結機

    急速凍結機

Q6最後に技術相談のほかに食に関して取り組まれていることについてご紹介ください。

当所では、技術や試作に関する相談だけでなく、県内中小企業向けの施設見学会を始め三重県主催の食品加工技術講座(アイスクリーム製造、レトルト食品加工、急速凍結など)等を実施しています。

また、今回ご紹介した取組以外にも商品化に向けた相談や共同研究による製品化等もお手伝いしていますので、是非当研究所を利用ください。

三重県工業研究所 1階 展示スペース
共同研究などの支援による商品化事例

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本ページに関するお問合せ先

中部経済産業局 地域経済部 イノベーション推進課
〒460‐8510
愛知県名古屋市中区三の丸二丁目五番二号
電話番号:052‐951‐2774
メールアドレス:bzl-chb-sangi■meti.go.jp
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