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No.57電子機器のEMC評価について

2024年11月28日

今回のキラリ公設試では、高度計測分析機器や試作評価機器を設置し、地域企業の技術・研究開発などを支援する、あいち産業科学技術総合センター技術支援部試作評価室の浅井さんにお話を伺いました。
 あいち産業科学技術総合センターは、新技術の開発・実用化や新産業の創出を促進する産学行政連携の研究プロジェクトを展開し、付加価値の高い製品・素材につながる技術の創造を目指し、付加価値の高いモノづくり技術を支援する最先端の研究開発拠点として整備された「知の拠点あいち」の中核施設となります。
 今回取材させていただいた電子機器(以下「機器等」という。)のEMC評価は、地域の主要産業のDX・Iot化に伴い、搭載される機器等向けのEMC評価のニーズが増加していて、多くの企業に利用いただいています。

  • あいち産業科学技術総合センター 浅井さん

    あいち産業科学技術総合センター 浅井さん

Q1電子機器のEMC評価とはどのようなものがあるのですか?

EMC評価とは、「電気・電子機器の電磁ノイズに関する試験」で、一般的に「エミッション試験(EMI試験)」と「イミュニティ試験(EMS試験)」の2つに分類されます。

Q2エミッション試験、イミュニティ試験とはどのようなものですか?

エミッション試験は、機器等から発生する電磁ノイズの強度を測定し、機器等の種類ごとに要求される許容値以下のレベルとなっているかを確認する試験、イミュニティ試験は機器等に擬似的に電磁ノイズを印加したときに誤作動しないかを確認する試験となります。
 機器等から発生する電磁ノイズが他の機器等の動作に影響を与えないようにするとともに、機器等が外部からの電磁ノイズに影響を受けても正常に動作することが求められます。

Q3あいち産業科学技術総合センターで行うEMC評価はどのような方法で行いますか?

エミッション試験もイミュニティ試験もそれぞれ空中を経由する電磁ノイズを対象とする放射ノイズに関する試験と電源線や信号線を経由する電磁ノイズを対象とする伝導ノイズに関する試験の2つに分かれ、国際無線障害特別委員会(CISPR)や国際電気標準会議(IEC)が定める規格に沿った試験ができますが、実際の測定の方法は内容によって変わります。
 一例として、放射のエミッション試験では、機器等から空中に放射される電磁ノイズを3m離れた位置に設置したアンテナで受信します。機器等をターンテーブル内に設置した後、広帯域アンテナやスペクトラムアナライザ※1を使用して測定周波数帯域全体をプレスキャン測定します。その際、ターンテーブルを0-360度回転、アンテナは高さ1-4mの範囲で移動させて電磁ノイズの最大強度を測定します。
 CISPR規格などで規定されている許容値を上回る電磁ノイズ強度が発生している周波数をリストアップし、各周波数においてレシーバ※2による詳細な測定を行い、適合しているかの最終的な判定を行う流れになります。
 また、電源線を対象とした伝導試験のエミッション試験では、電源線を擬似電源回路網に接続し、スペクトラムアナライザやレシーバで電源線に流れる電磁ノイズ成分を測定します。
 なお、EMC評価に関する試験は電波暗室という特殊な部屋で実施します。

※1 広い周波数範囲で信号の周波数成分や強度を測定し、周波数領域で信号の特性を視覚化する機器
※2 電磁エミッションを厳密に検出してノイズレベルを測りテスト対象の規格に適合しているかを確認するための機器

  • (イミュニティ試験システム)

    (イミュニティ試験システム)

  • (EMC試験機)

    (EMC試験機)

  • (EMC試験機測定台)

    (EMC試験機測定台)

  • (エミッション測定装置)

    (エミッション測定装置)

  • (伝導EMC試験システム)

    (伝導EMC試験システム)

Q4装置のアピールポイントを教えてください。

当センターでは、長年本設備に携わる職員が操作しながら試験を行いますので、ソフトウェアで規定通りの試験を単に行うだけでなく、試験の途中経過を見て設定を変更しながら、電磁ノイズが大きく発生したり誤動作が起きたりする要因を絞り込み、電磁ノイズ対策の方向性を一緒に考えながら進めます。多くの企業に試作段階での評価や認証試験前のチェックなどで多くご利用頂いております。

Q5利用の流れを教えてください。

まずは、お電話又はホームページ「技術相談問い合わせフォーム」にてお問い合わせください。
 依頼試験の具体的内容について、担当職員と打ち合わせ行います。
 TEL:0561-76-8316
 HP問い合わせフォーム:(https://www.aichi-inst.jp/contact/?c=honbu&f=tech

Q6利用料金を教えてください。

県内・県外問わず、エミッション試験は33,200円/1試験、イミュニティ試験は28,800円/1試験です。
 1試験の範囲が試験の内容により異なるため、詳細はお問い合わせください。

Q7他にEMC評価で実施できるものはありますか。

当センターではCISPR15(照明機器に関する規格)で要求されるラージループアンテナを用いたLED照明のEMC試験も実施しております。電気用品安全法においても2021年12月28日に行われた一部改正で、LEDランプにおける雑音の強さの測定に適用する基準がJ55015に置き換わりました。このJ55015により要求されるラージループアンテナを用いた試験も可能です。

  • (ラージループアンテナ)

    (ラージループアンテナ)

Q8その他本施設利用者へ一言お願いします。

EMC評価の関係では、IEC規格に基づいた静電気試験や雷サージ試験、電圧ディップ試験なども当センターで試験が可能です。EMC評価に関するご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

本インタビュー対応者

  • あいち産業科学技術総合センター 技術支援部 試作評価室 浅井 徹 研究員

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お問合せ先

中部経済産業局 地域経済部 イノベーション推進課
〒460‐8510
愛知県名古屋市中区三の丸二丁目五番二号
電話番号:052‐951‐2774
メールアドレス:bzl-chb-sangi■meti.go.jp
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