2024年11月27日
第56回目は、三重県工業研究所へ訪れ、電気自動車等の分解されたモーターやバッテリーなどの主要構成部品の展示を見学しました。また、工業研究所ならではの「モノづくり」全体の取り組みについてお話をお聞きしました。
今回は、プロジェクト研究科の中村さんにお話を伺いました。
三重県工業研究所プロジェクト研究課 中村さん
Q1電動自動車の解体部品展示を行った目的やきっかけを教えてください。
三重県工業研究所では、10年ほど前からハイブリッド自動車解体部品展示を行っています(キラリ公設試NO.3を参照)。近年、環境への懸念から多くの国が、ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車などの電動自動車を推進しており、従来の内燃機関からの変革が求められています。三重県では、県内の中小企業が電動化に取り組む際に、電動自動車等の次世代自動車への理解を深めていただくため、電動自動車を解体した部品の展示を行っています。
電動自動車は、航続距離の問題や充電インフラの普及など、バッテリー、モーター、制御システムなど新しい分野の取り組みが必要となります。多くの企業の方々に、電動自動車への関心や理解を深めてもらうために、電気自動車の構成部品(バッテリーやモーターなど)の分解・展示に加え、電動化に必須となる部品やその技術動向について解説するセミナーを開催しています。
Q2電気自動車の分解部品の展示について教えてください。
本展示では現在市販されている、電気自動車の日産リーフZE1(現行モデル)・ZE0(初期モデル)、電気で駆動しエンジンで発電をする、日産ノートe-POWER E13(現行モデル)・E12(前モデル)のモーターやインバータ、リチウムイオンバッテリーなどの展示を行っています。
また、見るだけでなく、各モデルの比較や部品を触ったり、持ったりすることもできますので、大きさや重量を感じることや、部品の変遷などを確認することができます。
(電気自動車の分解部品の展示)
(リチウムイオンバッテリー)
Q3昨年度はどれくらいの方が見学に来られましたか?
令和5年度には、179名の方が見学に来られました。自動車部品を製造している企業の方々でも、自社で製造している部品が実際にはどこに組み込まれているのか知らない人が多いと思います。そのため、県内の企業はもちろん、県外の企業からの問い合わせもあり、見学に来られております。
また、自動車産業の参入の可能性を探っている企業や、自動車部品の受注採択をされなかった企業が実際に使われている部品を見ることで、技術・市場調査として活用されるなど色々な目的で見学に来られております。
常時部品の展示を行っており、個別でも対応しているため、ぜひともご予約して見学に来ていただければと思います。
Q4自動車のセミナーではどのようなことを行っていますか?
自動車のセミナーでは、外部講師をお招きし、自動車の電動化部品の紹介や技術トレンド、海外の電動自動車の技術紹介などを行っています。セミナーでは講演だけでなく、部品の展示や実車の展示も行っています。全てのセミナーで定員を超える申し込みがあり、関心の高さを感じています。
(セミナーの様子)
(見学会の様子)
Q5三重県工業研究所では他にどのような設備がありますか?
三重県工業研究所では、県内県外企業関わらずご利用いただける設備を多く導入しておりますのでその中の一部をご紹介いたします。
- ・ハイブリッド成形機
- 繊維強化熱可塑性樹脂シートを金型内で賦形し、そこに繊維含有の樹脂の射出成形を行うことのできる設備です。高強度な成形品をつくることができるFRTPシートと、複雑形状の成形を可能にする射出成形を組み合わせることにより、 短時間でこれまでは難しいとされていた形状の成形を可能にすることができます(経済産業省「平成26年度地域オープンイノベーション促進事業」により導入)。
- ・ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC-MS)
- 混合気体成分を分離しそれぞれの質量を測定することで、有機化合物の定性・定量を行うことができる装置です。質量検出部には、合成ポリマーなどの高分子や、医薬品、代謝物などの低分子の精密測定にも用いられる飛行時間形質量分析計を備えているため、高分解能な分析が可能です(経済産業省「平成24年度地域新産業創出基盤化事業」により導入)。
- ・砂型積層造形装置
- 3D CADで作成されたデータから、鋳造で使われる砂型を作製できる設備です。鋳型の種類は金型と砂型の2種類に分けられ、砂型は金型と比べて鋳鉄、鋳鋼などの高融点材料でも使用可能で、大きく複雑な形状にも対応できることが大きな特長です(経済産業省「平成29年度地域新成長産業創出促進事業」により導入)。
- ・X線CT測定装置
- X線を透過させることにより、試料の内部構造を非破壊で観察することができる装置です。試験物内部の欠陥や空隙、異物などを非破壊で観察することが可能です(経済産業省「平成30年度地域新成長産業創出促進事業」により導入)。
本インタビュー対応者
- 三重県工業研究所 プロジェクト研究課 中村 創一 主査研究員兼課長代理
お問合せ先
- 中部経済産業局 地域経済部 イノベーション推進課
- 〒460‐8510
愛知県名古屋市中区三の丸二丁目五番二号
電話番号:052‐951‐2774
メールアドレス:bzl-chb-sangi■meti.go.jp
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