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No.55岐阜県食品科学研究所の取り組みについて

2024年11月26日

今回のキラリ公設試では、岐阜県食品科学研究所に取材を行いました。
 岐阜県食品科学研究所は、地域の食品産業及び関連企業等の支援を行う新たな拠点です。
 今回は、地域の野生酵母を利用した酒類の開発支援と人材育成の取組について、大学や地域企業などとの連携を交え、光井さん、澤井さんにお話を伺いました。

  • 左から澤井さん、光井さん

    左から澤井さん、光井さん

Q1岐阜県食品科学研究所とはどのようなところですか?

岐阜県では「食料品分野」を成長産業と位置付けており、特徴的な健康食品を製造する食品業界や個性豊かな清酒等を製造する醸造業界などの産業振興を推進しています。
当研究所は、その中核的な役割を担う県の機関として、地域の食品産業及び関連企業等の支援とともに、地域食材等を活かした研究開発、実践的教育・人材交流による専門人材育成等を行う新たな拠点として岐阜大学構内に設置され、産学官が一体となり食料品の付加価値向上や新たな機能性食品の開発を実施しています。

Q2産学官の取り組みについて御紹介いただけますか?

平成25年より開始した岐阜大学との共同研究により、岐阜大酵母を使用した岐阜大学酒「多望之春-岐山」、「多望之春-曲阜」の商品化を支援しました。(他にもあるが後述で紹介します。)
 また、清酒製造技術の習得を目的とした人材育成として、共同研究時における特別研究員の受け入れなども行っています。

Q3岐阜大学酒の作ることとなった経緯などを教えてください。

岐阜大学では、学生が栽培した岐阜の酒米「ひだほまれ」を使い、岐阜大学の地下水「のみやすい」と岐阜大酵母を用いて岐阜大学オリジナルの日本酒「岐阜大酒」を開発する「岐阜大学プロジェクト」を平成25年から実施していました。
 当該プロジェクトは、岐阜県酒造組合連合会、JA全農岐阜、さらには加茂郡八百津町の「蔵元やまだ」が参画する、学生が主体となって行う大規模なプロジェクトとしてスタートし、当研究所も学生が採取した28株の野生酵母に対する「発酵試験、試験醸造、酵母の育成、製造酒の評価」などを行いました。
参考:岐阜大学(https://www.gifu-u.ac.jp/about/publication/g_lec/special/38_1.html)

Q4発酵試験などを行う中で苦労したところなどはありますか?

野生酵母を使った試験醸造は経験がなく、野生酵母の醸造特性もわからない状態からスタートしたので、発酵が止まらないように温度管理等には気を使いました。また、選抜した野生酵母は、発酵初期に高泡ができる「泡あり酵母」と呼ばれるタイプの酵母であることがわかりました。泡あり酵母は酒蔵で使いにくいため、野生酵母から高泡を形成しない変異株を選抜する研究を追加するなど、実用化までに多くの時間を費やしました。

Q5人材育成の取組はどのようなことをされているのですか?

共同研究における特別研究員の受け入れの他に、岐阜大学や地元企業と一緒に学生を育成するために地域食品産業実習や清酒醸造実習を行っています。

Q6それぞれどのような実習なのですか?

地域食品産業実習は、岐阜大学応用生命科学課程の3年生を対象にしたカリキュラムで単位を取得できます。講義と加工実習を組み合わせた実践的な授業として地元企業から講師を招き、企業の取り組みや苦労話等を聞くことで、地域の食品関連産業について学ぶ機会を設けるもので、講義7回、加工実習8回で実施しています。
本実習は、学生の人材育成だけが目的ではなく、近年深刻化している企業のなり手不足、後継者不足などを解決するため、学生に企業を知っていただく場としても、地元のパン屋さんから大手食品企業の方まで幅秘広い方に講師を務めていただいています。
清酒醸造実習も岐阜大学応用生命科学課程の3年生を対象としたもので、原材料である酒米から日本酒をつくり、最終的に瓶詰めして製品として完成させるところまで、一連の製造工程を体験してもらうことをコンセプトに実施しています。実習を通じて、学部で普段学んでいる発酵や微生物などの知識が、どのように現場で生かされているのかを理解することができます。

Q7学生が食品業界で活躍するうえで生かせる知識の習得や地域食品関連企業の方との繋がりを作ることができる取組なんですね!岐阜大学との連携についてお話を伺ってきましたが、地元企業との連携事例も教えてください。

現在、県内には5つのどぶろく特区がありますが、特区において製造免許を申請する事業者に対して、免許取得前講習を実施しています。講習では、どぶろくを試作し、製造方法やアルコールの分析方法を習得できます。免許取得後は、県オリジナル酵母であるG2酵母をどぶろく製造に利用するなど技術向上を目指した支援を継続的に行っており、2023年1月に開催された「第16回全国どぶろく研究大会」では、郡上市の4事業所が入賞しました。その他、共同研究等を通して食品関連企業の製品開発等を支援しています。

Q8その他の取組やPRしたいことはありますか?

研究所では、岐阜大学と連携して研究成果発表会や技術セミナー等を開催しております。当所や大学の取り組みを知っていただくと共に、参加者と研究者の交流の場とすることを目指しておりますので、ぜひご参加ください。また、依頼・開放試験の他、緊急課題技術支援や巡回技術支援、外部専門家を併用した技術支援等を行っております。岐阜大学との連携支援の実績もございますので、技術的な課題等がありましたら、お気軽にご相談ください。

本インタビュー対応者

  • 岐阜県食品科学研究所 産学連携部 光井 輝彰 部長
  • 岐阜県食品科学研究所 産学連携部 澤井 美伯 主任専門研究員

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