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No.53赤外線非破壊検査装置について

2024年10月25日

今回のキラリ公設試では、名古屋市熱田区において、企業の方々の生産技術の向上や研究開発のための支援を行っている名古屋市工業研究所に取材を行い、令和5年度に導入された赤外線非破壊検査装置についてご紹介いたします。
 導入された設備は県内外に関わらず利用可能となっていますので、是非ともご活用ください。
 今回は、材料技術部環境・有機材料研究室の上野さんにお話を伺いました。

  • 名古屋市工業研究所 上野さん

    名古屋市工業研究所 上野さん

Q1赤外線非破壊検査装置とはどんな装置ですか。

この装置は試験体に熱を与え、表面温度の経時変化をサーモグラフィで測定する装置です。試験体内部の異物やボイド等の異常を非破壊で検査することが可能です。

  • (赤外線非破壊検査装置)

    (赤外線非破壊検査装置)

Q2どのような方法で検査するのですか?

まず、試験体を加熱します。内部に欠陥がある場合、健全部と欠陥部で熱伝導が異なるため、時間の経過ととともに試験体の表面温度に差が生じます。この表面温度を高性能サーモグラフィで測定し、試験体内部の欠陥を検出します。当所では、試験体の加熱方法をランプと超音波振動で行います。ランプは試験体表面を光エネルギーで加熱し、超音波振動はクラックのような健全部と欠陥部の境界で生じる振動摩擦により試験体内部を加熱します。

  • (超音波試験器)

    (超音波試験器)

  • (キセノンランプ試験器 )

    (キセノンランプ試験器 )

  • (ハロゲンランプ試験器 )

    (ハロゲンランプ試験器)

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Q3どんなものを試験することが出来ますか。

CFRPの層間剝離、ろう付けや溶接の異常、クラック、気泡や異物の検出、接着不良の評価、塗膜の膜厚の評価などに使用してきました。装置の原理上、用途は幅広いので、活用できる例が他にもあると考えられます。試験可能な試験体の大きさ、形状、材質については、検査の目的により異なるので、ご相談ください。
 装置を有効に活用するために、利用者に装置原理を理解いただくことが重要と考えています。検出したい欠陥やサンプルの材質毎に担当者と検査方法を考えることで進めていきます。

Q4装置のアピールポイントを教えてください。

同種・異種材の接合部の剥離や、CFRPの層間剝離などの検出に適しています。剥離で生じる空気層は断熱性が高いため、この装置が最も得意としています。更に特徴として、広範囲を短時間で検査することができます。原理的には薄いサンプルほど検査しやすくなります。分厚いサンプルは検査が難しい場合があるため、X線CTなど、別の方法で良い結果を得られる可能性が高いです。ただ、本装置はX線CT装置に入らないサイズの大型製品も対応できる特徴があるため、その都度ご相談させていただきます。
 その他、鋳造品のクラックの検査や金属の溶接の品質検査に利用することがあります。

Q5利用料金を教えてください。

試験手数料は10,500円からになっていますが、試験体や目的にもよりますので、詳細についてはご相談ください。

Q6誰でも装置を利用することは出来ますか。

企業等からのご依頼は承りますが、個人からのご依頼には対応しておりません。装置は当所の職員が操作します。検査を行うにあたって、試験体や機器の破損などの危険があると判断される場合は慎重に検討します。

Q7利用までの流れを教えてください。

まずはお困り事についてご相談ください。事前にご連絡のうえ名古屋市工業研究所までお越しいただき、お話を伺います。ご相談いただく際は、検査の目的について、できるだけ詳細にご説明ください。ご相談の内容によっては、X線CT装置や超音波探傷など別装置の利用をおすすめする場合があります。
 本装置を初めてご利用いただく場合、検査目的に合致させるために出力されるデータについても説明いたします。ご希望の解析手法がある場合はお伝えください。可能な限りその通りに対応します。
 通常は試験体をお預かりして、2週間程度で結果を報告します。

Q8今までにどんな相談を受けましたか。

金属・樹脂のクラック、接着部材の接着層、金属の溶接部の検査についての相談をよく受けています。自動車やインフラ系の業界が多いです。当所で導入したばかりの機器であり、様々な用途で企業に活用いただきたいと考えておりますので、活用できる見込みがあるものについてはご相談いただき、一緒に検討できればと思います。

Q9県外からの利用は可能ですか。

可能です。全国的にこの機器を他に利用できる公設試は少ないので、県外から来られる方もいらっしゃいます。ただし、前述のように十分な事前認識が必要なため、初めてご利用になる場合は原則として来所をお願いしています。

Q10この装置を今後どのように利用していきたいですか。

非破壊で製品の不具合を検査したいといった相談は当所に数多く寄せられております。また、最近では脱炭素に向けた、輸送機器の軽量化を目的とした異種材料の接合技術が注目されている中で、その実用化に向けた非破壊検査技術に対する関心も高まってきています。このようなニーズに対応するため、当所では非破壊検査に関する技術支援を拡充していこうと考えています。当所にはX線CT装置や超音波探傷器をはじめ、各種非破壊検査装置が揃っていますので、この装置が加わって連携することが当所の強みになると期待しています。

本インタビュー対応者

  • 名古屋市工業研究所 上野 研究員

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