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No.52食器の退色度試験について

2024年10月11日

今回のキラリ公設試では、窯業・土石製品製造業の研究開発や技術支援を行う、岐阜県多治見市にある岐阜県セラミックス研究所に取材を行いました。

今回は、企業等から製品、サンプルを預かり、性能評価や品質評価を行う多数の依頼試験の中から「食器の退色度試験」について、尾畑さん、齋藤さんにお話を伺いました。

  • 左から尾畑さん、齋藤さん

    左から尾畑さん、齋藤さん

Q1食器の退色度試験とはどのような試験でしょうか?

当所では、JIS S 2403に基づいた食器の化学的耐久性試験が可能でして、食器の退色度試験はこのJIS規格に基づいた試験になります。JIS S 2403は、食器洗浄機による洗浄に対する加飾が施された食器の退色度を評価する規格になります。試験の内容は業務用と家庭用を想定する場合で、それぞれ使用する試薬等が異なります。

業務用を想定する場合は、水酸化ナトリウムとニトリロ三酢酸三ナトリウム一水和物という薬品を使用し、これらの薬品を水で所定の濃度に希釈した水溶液に食器を浸漬し、75℃で16時間加熱します。家庭用を想定する場合は、炭酸ナトリウムとクエン酸三ナトリウム二水和物を水で所定の濃度に希釈した水溶液に食器を浸漬し、75℃で16時間加熱し、この加熱を2セット行います。このような試験で、おおよそ食洗器で約1000回分洗浄した際の色落ち具合になります。

  • (熱分解GCMSを利用した分析手法)

    食器の退色度試験機

Q2評価はどのように実施しているのでしょうか。また試験結果が出るまでにどれほど日数がかかりますか?

JISにも規定されている45度の傾斜板に試験物を置き、90度の角度で目視評価を行います。微妙な色の違いを判断することから複数人で意見交換を実施しています。

試験依頼をいただいて結果をお伝えするまではおおよそ2週間程度となります。また、定期的に目視訓練を実施し、正確な試験結果を出せるよう努めています。

  • (熱分解GCMSを利用した分析手法)

    目視評価試験機

Q3試験結果はどのように通知されますか?

試験結果書というかたちで公文書として通知いたします。食器の品質管理として、文面上で結果を残しておきたい場合は、試験依頼をお勧めいたします。

また、ボーンチャイナ製食器の場合は、所定の基準に合格した商品について、日本陶磁器産業振興協会(JAPPI)による食器洗浄機対応可能の認定マークを使用することができます。この認定マークの申請に、当所の結果書を使用することも可能です。

Q4容器のサイズに制限はありますか?

現在当所で用意している装置ですと、直径約20cm程度までですが、大きなサンプルの場合でも、加工しても問題ないということであれば、試験容器に入るサイズに加工して試験することが可能です。

Q5試験料金を教えてください。

県内・県外問わず業務用8,280円/件、家庭用12,550円/件です。

Q6試験までの流れを教えてください。

当所にお電話等でご連絡ください。ご来所日の調整をさせていただきます。

詳しくはHPをご覧ください。https://www.ceram.rd.pref.gifu.lg.jp/service.html

Q7本試験の依頼を考えている方へ一言お願いします。

食器の退色度試験については、食器を洗浄する際に食器洗浄機が広く利用されるようになったことから、2020年に「JIS S 2403ボーンチャイナ製食器の洗浄に対する化学的耐久性試験方法」が制定されました。

当所は、JIS S 2403の原案作成委員会で委員として規格策定に参画したほか、情報提供やデータ収集に協力し、2021年度より食器の退色度(業務用、家庭用)として前記JISに対応した依頼試験受付を開始しています。試験をご希望の方は、お気軽にご相談ください。

Q8最後に本試験以外に行える食器品質等の試験を教えてください。

食器の品質評価としては、「曲げ強度」、「衝撃試験」、「熱衝撃(急冷)」も試験を行うことが可能です。曲げ強度は食器の素材の強度を測る試験になり、日本セラミックス協会規格(JCRS 203)に対応した試験も可能です。衝撃試験は、製品そのものの強度を測る試験になり、食器の縁にハンマーで衝撃を加え、与える衝撃のエネルギーから食器の強度を評価します(JIS S 2402)。熱衝撃試験は、高温に保った食器を冷水に浸して、破損等の有無を確認する試験です(JIS S 2400)。

その他、鉛やカドミウムなどの有害物質の溶出を確認する試験は、食品衛生法やISO-6486、FDA、カリフォルニアのProposition65等の様々な規格に対応した試験が可能です。また、食器への異物混入を検査する試験なども行っています。

本インタビュー対応者

  • 岐阜県セラミック研究所 尾畑 成造 主任専門研究員
  • 岐阜県セラミック研究所 齋藤 祥平 主任研究員

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お問合せ先

中部経済産業局 地域経済部 イノベーション推進課
〒460‐8510
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電話番号:052‐951‐2774
メールアドレス:bzl-chb-sangi■meti.go.jp
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