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No.45複合材料用評価試験機

令和元年度補正予算地域新成長産業創出促進事業導入機器編

2022年3月4日

今回のキラリ公設試(No.43~No.45)では、経済産業省の令和元年度補正予算「地域新成長産業創出促進事業(地域イノベーション基盤整備事業費)」を活用して、北陸3県の公設試験研究機関に導入された「試験研究・検査設備」の特徴と地域の企業に対する利活用の期待についてご紹介いたします。

実際の利用事例から、『これは自社で活用できるかも!』といった、企業の方々の利活用のヒントへとつなげていければと考えております。是非、ご活用ください。

左から 福留さん、牧野さん、前川さん

左から 福留さん、牧野さん、前川さん

福井県工業技術センターは、1902年(明治35年)に繊維系の工業試験場として設立され、わが国で最も古い公設試験研究機関として100年以上にわたって地域企業の技術開発を支援してきました。これまで蓄積されてきた福井の産業の礎のもとに、充実したものづくり企業支援を行っています。

今回は、経済産業省の令和元年度補正予算で導入した「複合材料用評価試験機」について、牧野さん、福留さん、前川さんにお話を伺いました。

Q1複合材料用評価試験機はどのような機器ですか。

複合材料用評価試験機は、CFRPを始めとした繊維強化プラスチック素材の引張試験・圧縮試験・曲げ試験により、開発した素材の強度評価をすることができる機器です。

CFRP等の繊維強化プラスチックは強度が非常に高く、今までの試験機だと、最終製品に近い大型の試験片では負荷の大きさの問題があって試験ができない場合がありました。しかし、今回導入した複合材料用評価試験機では300kNの負荷まで対応できるため、試験の幅が広がりました。

CFRPの種類は主に熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の2つがあります。熱硬化性樹脂は一回固まると変形しない性質がありますが、熱可塑性樹脂はもう一度熱を加えて変形させることができます。試験場では目的と用途に合わせて使い分けていますが、自由自在に変形可能な熱可塑性樹脂をメインに使っています。

また、福井県工業技術センターでは、関連する評価に必要な治具を取りそろえていますし、負荷の形態を変えて強度を評価することができます。さらに、飛散防止カバーがありますので、安全に試験ができます。まさに、複合材料を評価するのに適した“万能試験機”といえます。

  • 複合材料用評価試験機

    複合材料用評価試験機

Q2複合材料用評価試験機の特長やアピールポイントは何ですか。

アピールポイントは主に3つあります。

  • 引張試験は最大300kNの負荷をかけることができますので、比較的大型且つ強度が高い試験でも対応が可能です。
  • ユーザーインターフェースが非常に分かりやすいので、複合材料用評価試験機を使ったことがない方でもすぐに利用できます。
  • 飛散防止カバーがついているため、CFRP等の破片が飛散する材料でも安全に利用できます。

Q3初めての方でも安心して利用できますね。では、利用料金を教えてください。

1時間あたり3,700円(税込)です。1個のサンプルに要する試験時間は10分程度ですので、1時間で5~6本の試験を目安にしていただければと思います。なお、県外の方々でも同額で利用できます。

  • 複合材料用評価試験機
  • 複合材料用評価試験機

Q4次に、利用までの流れを教えてください。

  • (1)まずはお電話かメールにてご連絡ください。試験が実施できるかどうか確認させていただいた後、予約・利用申請の手続きをさせていただきます。
  • (2)当日は、事前にセンター職員が機器の立ち上げ等の準備をいたしますので、すぐにお使いいただけます。
  • (3)利用後、受付で精算していただきます。

複合材料用評価試験機を使ったことがなく初めてという方に対しては、機器の使い方を説明いたします。複雑な操作は特になく、ご自身で操作できるようになる場合がほとんどですので、ご安心いただければと思います。

別途、機器利用講習会も実施しております。まずは機器について知っていただき、実際に使ってみたい!見てみたい!等ご興味ございましたら、当センターまでご連絡ください。

  • 複合材料用評価試験機

    複合材料用評価試験機

Q5どのような分野での使用が多いですか。

基本的には、素材メーカーの方やプラスチック関係の企業の方がご利用になることが多いです。自社で開発した素材の評価にご利用いただいております。引張試験・圧縮試験・曲げ試験全てご利用いただいた方もいます。

Q6複数の企業や大学と共同で利用することができますか。

もちろん可能です。実際に共同研究でご利用になる方もいらっしゃいます。また、大学の研究で使われるケースもあります。いろんな形態でご利用いただけますので気軽にご相談ください。

Q7次に、利用までの流れを教えてください。

富山県産業技術研究開発センターの複合材料デザインシステムで設計し、石川県工業試験場の複合材料成形機で成形し、福井県工業技術センターの複合材料用評価試験機で評価を行うという北陸三県の連携体制が整っています。さらに、原因分析のために、評価から設計に戻るというサイクルも整っております。実際に「なんでこのような結果になるの?状況を確認するために解析をしたい!」という利用企業からの声がありましたので、富山県の複合材料デザインシステムを紹介したところ、ご興味を持っていただけました。このように、機器利用の始まりはどこからでも可能です。規格外の試験は特に、評価結果の原因が分からないことがありますので、今後このような連携事例が多く出ることを期待しています。

  • 複合材料用評価試験機

Q8様々な業種からの相談が予想されますが、今までにどんな相談を受けましたか。

一番多いのは、試験を行った結果、予想より強度が低かった原因についての相談です。このような相談につきましては、担当者が専門の知識を活かしながら、試験方法の確認、試験片の作成方法の確認を行い、原因追及・改善方法をご提案いたします。

Q9企画された製品実現後のフォローアップはありますか。

試験評価後、量産体制に入ったときには品質管理が重要になってきますので、節目に本機器でアフターフォローしていただければと思います。

Q10今後は、どのような取組みを考えていますか。

機器紹介等の説明会や機器利用講習会を引き続き行っていこうと考えております。また、一般公開など企業の方々に機器を直に見てもらうことなど、広くPRし、より多くの企業の方がご利用くださればと思います。

また当センター1階には、福井のオンリーワン技術を紹介する展示ブースも設置しております、ご来場いただいた方はどなたでもご覧いただけます。福井の技術を学んでいただくための教育材料として、小・中学生にも展示ブースをご覧いただいております。

設備の利用だけでなく、多くの方々に福井の技術を使った製品を知っていただきたいです!

Q11それでは最後に、利用を考えている方へ一言お願いします。

今回、導入しました複合材料用評価試験機は島津製作所の最新の試験機であるAGXVをベースにしております。操作が簡単ですので、試験機を使ったことがない方でもすぐに利用できます。

少しでもご関心ございましたら、お気軽に当センターまでご連絡ください!

機器紹介

メーカー名
(株)島津製作所
型式
AGX-300kNV
主な仕様
最大負荷容量: 300kN
ロードセル: 300kN、10kN
試験治具: 300kNくさび形つかみ具
球座式圧盤(φ210mm、φ100mm)
複合材料用曲げ試験治具
複合材圧縮残留強度特性評価治具、層間破壊性評価治具
ひずみ検出: ビデオ式伸び計(TRViewX500D)
その他: 試験ソフト(TRAPEZIUMX-V)
(株)島津製作所 AGX-300kNV

本インタビュー対応者

  • 福井県工業技術センター 新産業創出研究部 牧野 一郎 主任研究員
  • 福井県工業技術センター 新産業創出研究部 福留 秀渡 主事
  • 福井県工業技術センター 企画支援部 前川 知一 主任研究員

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本ページに関するお問合せ先

中部経済産業局 地域経済部 イノベーション推進課
〒460‐8510
愛知県名古屋市中区三の丸二丁目五番二号
電話番号:052‐951‐2774
メールアドレス:bzl-chb-sangi■meti.go.jp
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