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No.34軸/ねじり疲労試験機(小型金属試料用強度評価装置)

平成29年度地域新成長産業創出促進事業導入機器編

2020年3月30日

今回のキラリ公設試(No.34~No.37)では、経済産業省の平成29年度補正予算「地域新成長産業創出促進事業(地域における中小企業の生産性向上のための共同基盤事業)」を活用して、地域の公設試験研究機関に導入された「試験研究・検査設備」の特徴と地域の企業に対する利活用の期待についてご紹介いたします。

実際の利用事例から、『これは自社で活用できるかも!』といった、企業の方々の利活用のヒントへとつなげていければと考えております。導入された設備は県内外に関わらず利用可能となっていますので、是非ともご活用ください。

金属材料室 津本さん

金属材料室 津本さん

あいち産業科学技術総合センター産業技術センターは、製造業の盛んな愛知県において、機械、金属、プラスチック、木材など幅広い業界を対象として、工業技術分野の技術支援を行っています。

今回は、経済産業省の平成29年度補正予算「地域における中小企業の生産性向上のための共同基盤事業」で導入された「軸/ねじり疲労試験機(小型金属試料用強度評価装置)」について、産業技術センター金属材料室の津本さんにお話を伺いました。

Q1軸/ねじり疲労試験機(小型金属試料用強度評価装置)とは、どういった装置ですか?

各種金属材料や製品において、比較的小さな力でも何十万回、何百万回と繰り返し力が加えられることで壊れることがあり、これを疲労破壊と呼びます。 本装置を使うことでどれくらいの力を加えれば、どれくらいの回数で疲労破壊が起こるのかを調べることができます。

  • 試験後の破壊した金属片

    試験後の破壊した金属片

Q2この装置ならではの特徴はありますか?

まず、1台の装置で2種類の方向に力を加えることができます。1つは軸(引張・圧縮)方向、もう1つはねじり(回転)方向です。試験プログラムを設定することで、両方の力を同時に加えることも可能です。

また、装置の可動制約の範囲内で静的試験(破壊するまで力を加え続ける試験)を行うこともできます。

当センターは他にも疲労試験機やねじり試験機を所有していますが、それらは軸方向かねじり方向のどちらか1つの方向にしか力が加えられない上、今回導入した装置に比べて大型であるため、小さな試験片や製品に対して小さな力を繰り返し加える試験には対応できていませんでした。今回の装置導入により、当センターで対応できる試験の幅が更に広がったと思います。

  • 2種類の動き

Q3今まで出来なかった試験ができるようになったのですね。今までにどのような相談・依頼がありましたか?

平成30年12月の導入後、これまでにおよそ100件以上の技術相談や依頼試験等での機器利用がありました。内容としては、製品開発の基礎データとして各種材料の疲労強度を調べたいといったものや、自動車関連部品の強度試験に関するものが多いです。

他にも、最近のマルチマテリアル化に関連した異種金属接合に関する試験や、これまであまり対応したことがなかった生体材料の医療部材や楽器部材の依頼試験もあります。

Q4活用できる分野が幅広くて驚きました。実際に試験を依頼したいときはどうすれば良いですか?

本装置を用いて試験を行うにあたり、試験体の取り付け方法や大きさ、力の加え方等の装置側の制約もあるため、お客様の要望としてどのような試験を行いたいか、 逆に装置としてどのような試験ができるのかを十分にすり合わせさせていただく必要があります。ですので、まずは当センターまでお問合せいただければと思います。 本装置での対応が難しい場合には、他の試験装置をご提案させていただいたり、他の試験機関をご紹介させていただくこともあります。

  • 力の強さや角度等の試験条件を設定

    力の強さや角度等の試験条件を設定

また、試験については、基本的に当センター職員による依頼試験の形で対応させいただいております。料金は、試験内容によって異なりますので一度ご相談ください。

  • 試料を固定して検査開始

    試料を固定して検査開始

Q5技術面の細かい相談にのっていただけるのは利用する側にとって心強いですね。先ほどの話にもありましたが、産業技術センターにある疲労試験ができる試験装置は他にどのようなものがありますか??

当センターでは、他にも様々な強度関連の試験装置を所有しています。静的試験の代表的な装置である万能試験機だと、2000kN(約200t)まで、疲労試験は軸100kN(約10t)、ねじり5000Nmまでの試験に現在対応が可能です。

工業製品に求められる基本的な品質項目として、まず「壊れない」ことが挙げられると思います。企業のみなさまが開発される製品の品質確保のため、当センターの各種試験装置をご利用いただければと思います。

Q6この装置を用いた今後の取り組みについて教えてください。

本装置は金属材料に限らず、樹脂や異種材料接合等の様々な材料や工法における強度試験にも活用ができると考えています。 また、装置が比較的小型のため、金属材料においても、例えば実製品から切り出されたような小さな試験片の強度試験も想定し、そのトライアルとして、三重県工業研究所に導入された砂型プリンタで製作した鋳造サンプルでの試験を実施しました。

当地域の企業のみなさまのものづくりに少しでもお役に立てればと考えておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

  • トライアル試験の様子

    トライアル試験の様子

機器紹介

メーカー名
INSTRON社
型式
ElectroPuls E10000 リニア・トーション型
主な仕様
軸方向荷重: (動的)最大10kN、(静的)最大7kN
ねじりトルク: 最大100Nm
軸方向ストローク: ±30mm
回転角: ±135°(±16回転)
ElectroPuls E10000 リニア・トーション型

本インタビュー対応者

  • 金属材料室 津本 宏樹 主任研究員

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お問合せ先

中部経済産業局 地域経済部 イノベーション推進課
〒460‐8510
愛知県名古屋市中区三の丸二丁目五番二号
電話番号:052‐951‐2774
メールアドレス:bzl-chb-sangi■meti.go.jp
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