2019年3月29日
今回のキラリ公設試では、「平成28年度地域新成長産業創出促進事業(地域未来投資の活性化のための基盤強化事業)」を活用して、石川県工業試験場に導入されたX線CT検査装置の特徴、使用状況等をご紹介いたします。 実際の使用手順や取組をご覧いただくことで、『自社も依頼したい!』というように企業の方々の利活用の促進につなげていきたいと考えております。ものづくり企業の皆様に、広くご利用いただきたいと思っています。

左から 吉村さん、奥谷さん
石川県の公設試験研究機関として、企業の方々の生産技術の向上や研究開発などを支援する業務を行っている石川県工業試験場(金沢市鞍月)の奥谷さんと吉村さんにお話を伺いました。
Q1「キラリ公設試」No.31で紹介した名古屋市工業研究所に導入のX線CT検査装置と同じ機械ですが、石川県工業試験場では主にどのような用途で、どれぐらいX線CT検査装置は使用されますか?
用途としては、形状の分析・解析がメインです。例えば、製品が壊れてしまった際の原因解析や、新しく製品を開発しようとする際の機能分析に用いられています。 最近では、平成26年度から稼働中の当試験場にある3Dプリンターで積層した造形物が求める機能を発揮できるかどうかを調べるために、X線CT検査装置が解析ツールとして用いられることもあります。
2017年10月から稼働しており、今では約100件もの依頼を受けています。その多くは石川県内の企業からの依頼ですが、富山や福井、長野といった県外企業からも依頼はあります。 また企業分野に関しても、機械・電子系の製造業に限らず、食品系、繊維系、医療系メーカーからの依頼もあります。
マイクロフォーカスX線透過・CT検査装置の新旧比較
Q2石川県工業試験場では、具体的にどのような流れでX線CT検査装置の依頼を受けられますか?
まずは利用相談を受けるところからスタートです。依頼者から直接電話相談を受けることもありますが、試験場内の他の部がCT撮影を薦めた流れで利用していただくことも多々あります。
その後、一度当試験場にご来場いただき、撮影対象物を拝見させていただきます。X線CT検査装置に搭載可能な試料寸法がφ400mm×高さ300mmまで、撮影可能な厚さの目安が、アルミで100mm、鉄で10mmとなっているので、撮影可能かを確認させていただきます。条件に合わない場合は、職員が依頼者に対して、条件に合うよう、適宜アドバイスいたします。
X線CT検査装置自体の運用では、透過像であれば、職員の使用に同席し、すぐにその場で確認していただけます。CT撮影の場合はデータ処理等に時間を要するため、後日データをご提供となります。
依頼試験料は、透過試験で4,210円(1撮影)、CT試験で26,000円(1撮影)となっています。
Q3石川県工業試験場のX線CT検査装置使用ならではの特徴はありますか?
X線CT検査装置を使用して出来上がったデータを、依頼者の方に遠隔で確認してもらえる仕組みを構築しています。 技術指導の一環で行っているもので、出来上がったデータを試験場にお越しいただいて確認してもらうのではなく、試験場のPCと依頼者のPCをクラウドにつなぎ遠隔でデータを確認していただけます。 また、この仕組みを利用することで、依頼者の希望に合わせて撮影箇所をすぐに追加・変更できることも特徴です。セキュリティ面も、データが外部に漏洩しないよう、必要な対策を講じています。
Q4X線CT検査装置を利用希望者が訪問して見るということは可能ですか?
可能です。随時ご連絡いただければ、X線CT検査装置をご覧いただけます。 また、石川県工業試験場全体で実施している設備見学会にご参加いただくことで、X線CT検査装置をご覧になることも可能です。 従来の装置よりも解像度が上がったことや撮影範囲が広くなったことによって使用者の利便性が向上しておりますので、ぜひ、X線CT検査装置をご活用いただければと思います。
機器紹介
- メーカー名
- 株式会社島津製作所
- 型式
- inspeXio SMX-225CT FPD HR
- 主な仕様
-
X線管電圧: 最大225kV 画像分解能: 4μm 最大試料寸法&
スキャン範囲:φ400mm×H300mm X線検出器: 16インチフラットパネル(約1400万画素)、
階調16ビット(65536階調)

本インタビュー対応者
- 電子情報部 専門研究員 奥谷 潤
- 電子情報部 主任研究員 吉村 慶之
お問合せ先
- 中部経済産業局 地域経済部 イノベーション推進課
- 〒460‐8510
愛知県名古屋市中区三の丸二丁目五番二号
電話番号:052‐951‐2774
メールアドレス:bzl-chb-sangi■meti.go.jp
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