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No.32金属加工シミュレーションシステム&面歪み測定機

平成28年度地域新成長産業創出促進事業導入機器編

2019年3月29日

今回のキラリ公設試では、「平成28年度地域新成長産業創出促進事業(地域未来投資の活性化のための基盤強化事業)」を活用して、あいち産業科学技術総合センター産業技術センターに導入された金属加工シミュレーションシステムと面歪み測定機の特徴、使用状況等をご紹介いたします。 実際の使用事例や取組をご覧いただくことで、『これは自社も使ってみたい!』というように企業の方々の利活用の促進につなげていきたいと考えております。

左から 吉村さん、奥谷さん

 

左から 津本さん、永縄さん

 

あいち産業科学技術総合センター産業技術センターは、製造業の盛んな愛知県において、機械、金属、プラスチック、物流、木材など幅広い業界を対象として、工業技術分野の技術支援を行っています。 今回は、産業技術センターの津本さん、永縄さんにお話を伺いました。

Q1金属加工シミュレーションシステムでは、具体的にどんなことができますか?

鋳造、プレス、鍛造、熱処理といった金属の各種加工工程を、コンピュータ上で模擬することができます。このような解析ツールは一般的にCAE(Computer Aided Engineering)と呼ばれています。近年、ものづくりの現場では様々なデジタル技術の活用が広まっており、CAEについてもうまく活用することで、開発期間の短縮、コスト削減、ノウハウの見える化ができると考えられています。

  • 金属加工シミュレーションシステムの一部

    金属加工シミュレーションシステムの一部

金属加工シミュレーションシステムでは具体的に以下のような解析が可能です。

  • 1.鋳造:型の中に溶けた金属を流し込んで所定の形状を作る手法です。本システムでは、溶けた金属が型の中でどのように流れていくのかを解析する「湯流れ解析」や、金属がどのように冷えて固まるかを解析する「凝固解析」が可能です。また、製品のどのあたりに欠陥ができそうかを画面上で確認することもできます。
  • 2.プレス:鉄鋼やアルミなどの薄い板を型で挟み込み、曲げたり絞ったりして形状を作る手法です。板がどのような形に変形するか、また成形条件に対して板が耐えられるかどうかを予測することができます。
  • 3.鍛造:金属の塊を型の中で押しつぶして形状を作る手法です。成形に必要な荷重や加工時の発熱の状況、成形後の形状などを予測することができます。
  • 4.熱処理:金属を加熱、冷却することにより、材料を硬くし、特性を整えるための手法です。材料の組織変化や熱歪みの発生状況などを予測することができます。

Q2面歪み測定機では、具体的にどんなことができますか?

2台のカメラによる撮影画像から、対象物の変形情報を非接触で、かつ、三次元的に取得することができます。実際の計測では、市販のスプレー等を用いて対象物の表面にランダムパターンを塗布し、 引っ張り試験機等で荷重を負荷させた状態を撮影し、得られたランダムパターンの変化から変形量を求めます。一般的にこの計測方法は、DIC(デジタル画像相関法:Digital Image Correlation)と呼ばれています。

  • 面歪み測定機

    面歪み測定機

  • 左が測定結果、右が現物

    左が測定結果、右が現物

Q32つの装置ならではの特徴はありますか?

金属材料室では様々な金属材料とその加工に携わる地域中小企業の技術支援を担当しています。 そこで金属加工シミュレーションシステムについても、これら地域企業の幅広いニーズに対応できるよう、鋳造、塑性加工(プレス、鍛造)、そして熱処理と様々な金属加工工程に対応できるものを導入しました。 また、センター内では他にも、サーボプレス機の利用貸出や、精密測定も行っておりますので、例えばサーボプレス機を用いて実際にサンプルを試作し、計測を行うことでCAE解析結果を検証するといった使い方も可能です。

面歪み測定機については、得られた材料物性に関するデータを金属加工シミュレーションシステムと連携させることで、より精度の高い解析が可能になります。 また、自動車部品をはじめとした様々な製品の強度試験と組み合わせることで、製品が変形する様子を三次元データとして取得したり、CAEで強度検討を行った後の実製品による検証ツールとして活用したりすることが可能です。

  • 装置の違いを説明する津本さん

Q4金属加工シミュレーションシステムを、どのような企業の方に使っていただきたいと考えていますか?

中小企業の現場には優れた技術、ノウハウが数多く存在していると思います。また、これらにCAEなどのデジタル技術を融合させることで、当地域のものづくりの付加価値、競争力が更に高められるのではないかとも思います。そのため、これまでの自社技術も活かしながらシミュレーション技術を習得することで、更なる技術力向上、品質改善を目指す企業のみなさまにご利用いただきたいです。

機器見学等にも随時対応しておりますので、ぜひ現場の生の声をお聞かせいただければと思います。

  • 金属加工シミュレーションシステムについて説明する永縄さん

Q5今後はどのような取り組みを考えていますか?

CAEのような解析ツールをいきなり中小企業の現場に導入するのはハードルが高いと思われます。 そこで当センターでは、CAE、DICをはじめとするデジタル技術の活用事例等を紹介するセミナーや、現場の技術者の方に実際にCAEを操作していただく体験研修を今後も開催していきたいと考えています。 ぜひ、実際にCAEに触れていただき、今後の自社のものづくりについて考えるきっかけとしていただきたいです。また、塑性加工や鋳造分野において、金属加工シミュレーションシステムを活用した地域の企業様との共同研究も進める予定です。

機器紹介/金属加工シミュレーションシステム

[鋳造]
株式会社日立産業制御ソリューションズ「ADSTEFAN」
[プレス]
株式会社JSOL「JSTAMP」
[鍛造、熱処理]
Scientific Forming Technologies Corporation「DEFORM」
面歪み測定機
GOM「ARAMIS」
 

本インタビュー対応者

  • 電金属材料室 津本 宏樹 主任研究員
  • 金属材料室 永縄 勇人 技師

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お問合せ先

中部経済産業局 地域経済部 イノベーション推進課
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電話番号:052‐951‐2774
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