株式会社高瀬金型 - 企業の取組事例

株式会社高瀬金型

DXに取り組む背景

同社は、プラスチック部品のメーカーとして、金型設計製造から射出成形、切削加工、組立までの一貫生産による高品質・短納期・多品種少量生産を強みとし、高い技術力と品質管理が求められる住宅水廻り機器、医療機器、半導体製造装置向けの部品を小ロット試作から量産品まで幅広く対応し、製造している。

直近10年間で社員数が2倍程度増加したものの、紙やエクセルを中心にした業務による部署間での情報の分断や、低い労働生産性、過去のデータを十分に活用できない状況に課題を感じていた。会社として生き残っていくためには、部署を横断した業務改革とデータの一元管理、リアルタイムでデータを可視化することによる迅速な課題解決を実現できる組織への変革が必要であった。

まず、業務のデジタル化とデータの一元管理に取り組む場合の費用対効果の試算を行った。その結果、デジタル化に着手した場合の初期導入費やランニングコストの負担感よりも、データ転記や資料作成等の作業時間削減、データに基づく経営判断やカイゼン文化醸造による会社全体の企業価値向上に大きなメリットがあることが見込まれた。そこで、基幹システム刷新のタイミングをきっかけに、アトツギ人材である高瀬部長を筆頭にデータの一元管理ができる仕組みの構築に加え、データを活用したDXにまで踏み込んで取り組むことにした。

現場の「楽」を重視したシステム導入

現場が「楽」になるシステムを導入するべく、1.社内にあるデータの整理と、2.適切なシステムの評価に取り組んだ。

1.業務フローに沿ってデータを整理したところ、従来の紙やMicrosoft Excelなどによる管理では、データの二重入力や突合に大きなムダが生じていることがわかった。そこで、データを取捨選択し、必要なデータだけを基幹システムに盛り込むことにした。また、データを整理したことで、各部署・製造工程で、どのようなデータを取得できるのかを紐づけられたことがシステム構築の際に役立った。

次に、2.セキュリティ、価格、機能、拡張性、データ連携、将来性、ハードル等の評価軸を設け、候補となるシステムの評価を行った。システム導入後の自社での運用を考えた拡張性とデータ連携に必須の条件となるRDB(Relational Database:表形式の複数データを関連付けて使えるようにしたデータベース)と、高いカスタマイズ性を有することを重視してシステムを選定した。

最初から完璧なシステムを作り導入するのではなく、まずは現状のシステムと同程度の機能を満たしつつ、データ収集ができるシステムへ現場が慣れることから始めた。現場の関心は、今の仕事がいかに楽になるか。新システムを使うことによる現場のメリットを全面に押し出し、その副次的な効果としてデータの一元管理が可能になるという説明を行った。最初はシステム入力エラーなど様々な問題があったが、一つ一つ対応しつつ現場に慣れてもらった。

  • システムの現場導入の様子

    システムの現場導入の様子

推進体制の構築とデータを活用した現場カイゼン

DXを推進する体制として、経営側から取組をリードする高瀬部長に加え、現場のオペレーションをよく理解している人材をDX担当に据え、より現場との擦り合わせがしやすく馴染みやすい状況を整えた。これまでは、現場からシステム改善の要望があると、その都度ベンダーに依頼し実現まで1か月以上の時間と大きな費用を要していた。

その結果、現場からは積極的な改善要望が出ない状況となっていた。現在は、現場から要望を受ければ、DX推進室が内容を精査した上で即座に自社内でシステムを改修することができるため、現場からの要望が増加しシステムを日々進化させることが可能になっている。

また、新システム導入によりデータの一元管理ができるようになった後は、収集されたデータを活用した不良率の見える化に着手した。これまでは、どの製品の不良率が高いか特定することが困難だった。新システム導入後は、システム上で製品毎の不良率をリアルタイムで閲覧できるようになり、不良率が高い製品が発生すると自動的に社内コミュニケーションツールを経由して管理者へアラートが飛び、製造現場へ駆けつけるなど、不良品の効率的なカイゼンに繋げられるようになった。

現場の協力もあり、こうした取組を2年という短期間で実施することができた。

  • DX担当者と現場によるシステム改善の様子

    DX担当者と現場によるシステム改善の様子

データ活用のポイントと更なるデータ活用に向けて

データ活用のために重要なのは、「まず何を改善したいのか」、「どういう指標を改善したいのか」を明確にした上で、目的に沿った必要最低限のデータを取捨選択し、収集すること。最初から様々なデータを収集すると、目的の焦点がぼやけてしまう。最低限の内容で実装し現場の声を聞いてみて、データが足りないということであれば随時追加する方がより早く現場に使ってもらえるシステムを構築することができる。

今後は生産計画作成の完全自動化に加え、社内のナレッジを学習したAIエージェントの開発や原価管理などに挑戦する。

  • 現場と作り上げたシステム

    現場と作り上げたシステム

会社概要

団体名 株式会社高瀬金型
社長 高瀬 喜照
所在地 愛知県稲沢市西島一丁目138番地(本部開発棟)
従業員数 126名(2025年時点)
設立 1982年1月
HP http://takasekanagata.co.jp/外部リンク
 

株式会社高瀬金型
株式会社高瀬金型外観

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