株式会社艶金 - 企業の取組事例

株式会社艶金

事業を継続していくための変革

きっかけは、基幹システムの更新ができなくなったこと。30年間使い続けてきたいわゆるオフコンだが、保守できるプログラマーがいなくなってしまったため、新規システムの導入の検討を開始。

日本のアパレル市場における輸入浸透率は97.7%と言われており、国内で染色整理業を続けて行くためには、海外ではできない少量のオーダーや複合素材で色の調整が難しい生地等、何でも対応できなければいけない。

いくつかのITベンダーを比較したかったため、公益財団法人ソフトピアジャパンに相談したところ、ものづくりをよく知る地元の事業者と出会え、また、経営面から生産性の向上による効果を一緒に考えてくれる専門家の派遣までサポートしてもらえたことは大変ありがたかった。

新システムへの投資は決して安くはないが、今後も事業を継続していくためには、会社全体を再構築する必要があると決断できた。

工程スケジュールの見える化で納期管理もスマートに

これまで、生産工程の見直しに合わせてプログラムを追加してきたことから、不効率であることは感じていた。特に染色データと基幹システムが結合されておらず、データ入力のために作業者を確保する必要があった。

また、生産計画はあるものの、染色整理工程は複数の機械を同時に動かさなければいけないため、運用は複数の生産管理担当に任せていた。そのため、急な受注対応はそれぞれの現場主任の都合で現場判断せざるを得ず、非効率な管理体制となっていた。結果、納期遅れが発生する等、取引先からの評判を落とす原因となっていた。

そこで、生産スケジューラを導入し、生産計画の変更権限も現場の裁量では変更できないよう工場長に限定した。それにより、急な受注に現場判断で都度対応する必要がなくなり、現場負担の軽減とともに納期遅れ改善にもつながった。さらに、加工伝票にビーコンをとりつけ装置単位で染色着手時間と完了時間、進捗状況等を自動的に収集できるようにした。それにより生産性アップへの意識付けが進み、超過時間を短くしようとする改善につながった。

また、工程管理を一元化することで、リアルタイムで製品ごとの加工状況が工場と事務所に設置されたモニターによって共有できるようになった。事務職員が取引先から問い合わせがあるたびに現場へ確認する必要がなくなり、事務所に在席しながら正確な納期を即座に答えることができるようになった。

  • リアルタイムで加工状況を共有するモニター

    リアルタイムで加工状況を共有するモニター

戸惑いや不安は丁寧な説明で解消

新しいシステムを導入することで作業方法が変わることへの戸惑いや不安の声はあったが、ITベンダーが頻繁に来社してくれ、現場主任レベルから作業担当者まで丁寧に研修を行うことで解消していった。また、デジタル化により二度手間になっていた手入力作業が不要となり、余剰となった人員はもともと不足していた別の工程へ配置転換することができた。

当初は大きな期待はしていなかったが、外部の目が入ることで、今まで当たり前と思っていた作業を見直すことができ、「ムダ」に気づくきっかけにもなった。

AI活用による人材育成への挑戦

ITベンダーからの提案で、色味の検査工程にAIを活用した自動色目チェックシステムを導入。色味の判断は品質に直結する重要な工程であり、これまで熟練者の経験に頼っていたため、当初は大きな期待はしていなかった。測色データをAIに学ばせテストを繰り返すうちに熟練者の判断と近い結果を得られるようになり、若手作業員の補助的な役割として十分活用可能であることがわかった。

現状はまだ試験運用だが、熟練者の高齢化が進む中、今後は、これまでの経験をAIにより数値化し、精度を高めることで次世代の人材育成に活用できる環境整備にも挑戦している。

  • AIを用いた自動色目チェックシステム利用の様子

    AIを用いた自動色目チェックシステム利用の様子

担当後記

完全なスマート工場化(無人化)が目標ではなく、今作業している従業員の作業効率をデジタル化によって高めることに、トライしている好事例である。

会社概要

団体名 株式会社艶金
代表取締役 墨 勇志
所在地 岐阜県大垣市十六町字高畑1050
従業員数 130名(2021年度)
売上高 1,790百万円(2021年度)
設立 1956年
事業内容 ファッション衣料向けニット(丸編、トリコット)、織物などの染色整理加工、ファッション衣料向け生地企画製造販売、布地産業資材、雑貨小物等縫製品企画製造販売
HP https://www.tsuyakin.co.jp/外部リンク
 

株式会社艶金 代表取締役 墨 勇志
代表取締役 墨 勇志

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