中部経済産業局長 寺村 英信
令和7年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
昨年は、能登半島地震、奥能登豪雨と大規模な災害が相次いで発生し、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。 中部経済産業局では、発災直後から現地へ出向き、被災地の復旧・復興支援に取り組んでおります。公費解体も徐々に進んできていることから、 より一層事業者に寄り添いながら、なりわい再建に引き続き全力を挙げて取り組んでまいります。
さて、我が国経済は、1991年以来33年ぶりの高水準の賃上げの実現や設備投資が史上最高水準となるなど、成長と分配の好循環が動き始め、コストカット型経済から脱却し、 「賃上げと投資が牽引する成長型経済」に移行できるかの分岐点にあります。一方で、足元の物価上昇や原材料価格の高騰が継続するなど、地域企業を取り巻く状況は厳しさを増しています。 これらの課題を乗り越え、我が国経済を確たる成長軌道に乗せるためには、企業の「稼ぐ力」を高め、旧態依然とした取引慣行などの経済・産業構造を変えていく必要があります。
そのため、経済産業省としましては、総合経済対策に基づき、価格転嫁等の取引適正化を始め、成長型経済への移行に向けた中堅・中小企業の成長投資、 生産性向上投資や省力化投資等の一体的な支援に取り組んでまいります。特に、東海・北陸地域の主要産業では、生産能力増強など数多くの投資計画が進められているものと承知しております。 このような成長意欲のある中堅・中小企業に対しては、売上の拡大、賃上げや雇用確保につながるよう、当局としましても重点的に支援してまいります。
また、昨年10月には、「地方こそ成長の主役」として、地方創生2.0が始動しました。当地域は技術力のある製造業が多く集積していることから、 既存産業とスタートアップとの融合による新たなビジネスや産業の創出が地域経済の好循環を生み出し、そして、当地域が我が国経済を一層牽引する存在となるよう、支援機関等との協業支援を進めてまいります。
今年の4月13日から10月13日まで開催される大阪・関西万博では、空飛ぶクルマ、自動運転・自動給電搭載のEVバスやバーチャル空間など、様々な最新技術に触れることができます。 加えて、国内外から約2,820万人の来場が見込まれることから、当局では、伝統工芸品を始めとした地域の魅力を全面に押し出し、多くの方々に当地域へも足を運んでいただける取組を仕掛けているところです。 未来社会と地域の魅力に触れていただくべく、ぜひ万博に足を運んでいただけますと幸いです。
さらに、エネルギー安定供給、経済成長、脱炭素を一体的に目指す取組であるGXの実現に向けて、今年度内に取りまとめられる第7次エネルギー基本計画を踏まえながら、 更なる省エネの推進や脱炭素効果の高い再生可能エネルギーの活用促進などにも取り組んでまいります。
足元では、地域紛争等による地政学リスクの高まりを始めとした経済安全保障など、社会は不確実性を増しております。 今年の干支である乙巳は、再生や変化を繰り返しながら発展していく年になると言われています。当局では、このような不確実性の社会に柔軟に対応していくため、 既存の枠に捉われない自由な発想で、変わることを恐れず、地域産業を支えてまいります。最後になりますが、皆様の御多幸と御健勝を心から祈念いたしますとともに、 経済産業行政への引き続きの御理解と御協力をお願い申し上げまして、新年の御挨拶とさせていただきます。
最終更新日:2025年1月6日