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中部発きらり企業紹介 Vol.118

更新日:令和元年7月19日

未利用資源を活用し、ヒートアイランド現象緩和へ

増岡窯業原料 株式会社
  • 愛知県瀬戸市
  • 珪砂(けいしゃ)
  • 長石
  • 粘土
  • ガラス繊維再生加工
  • 各種粉砕加工
  • 粉砕分級等委託加工業
スター★ちゅぼっと君
増岡 錦也 代表取締役会長/増岡 順 取締役社長
増岡 錦也 代表取締役会長/増岡 順 取締役社長
 今回は日本有数の陶磁器、瀬戸焼の生産地として知られる愛知県瀬戸市において、ガラスの原料となる珪砂(けいしゃ)・長石の粉砕・精製加工を行っている増岡窯業原料株式会社の増岡 錦也(ますおか きんや)代表取締役会長、増岡 順(ますおか じゅん)取締役社長にお話をうかがいました。 同社は良質なガラス原料の加工技術を開発する一方で、その加工過程において発生する未利用資源「きら」を用いた舗装用セラミックブロック「モイストペーブ」を開発。モイストペーブは、ヒートアイランド現象の緩和に貢献する舗装用ブロックです。(モイストペーブの製造はグループ会社のダイワセラミックス株式会社が担当。)
 この度、平成31年4月22日、同社及びダイワセラミックス株式会社が製造している「きらを用いた舗装用セラミックブロック」に関するJISが制定されました。
Key Word

「JIS A 5216 きらを用いた舗装性セラミックブロック」
JIS (日本産業規格:Japanese Industrial Standards)
我が国の産業標準化の促進を目的とする産業標準化法(昭和24年)に基づき制定される国家規格 (日本産業標準調査会HPより引用)

珪砂(けいしゃ)
板ガラス・ビンガラス等様々なガラスの主原料となる

長石(ちょうせき)
ガラスの副原料及びレンガ、タイルの原料となる(増岡窯業原料株式会社HPより引用)

きら
窯業原料精製時に発生し、通常、廃棄される粒径1~200μmで、粘土が少量含まれたメジアン径10~40μmのけい(珪)砂、長石などの微細な粒状物。“キラ”ともいう。(「JIS A 5216 きらを用いた舗装性セラミックブロック」の用語及び定義より引用)
未利用資源きらの有効活用へ 窯業原料製造会社ならではの挑戦
同社の歴史
 弊社は、1932年(昭和7年)、創業者である増岡錦多が瀬戸の街に琺瑯(ほうろう)用原料及びガラス原料製造所を設置したのが始まりです。 瀬戸では、大量に埋蔵されている窯業原料を水車で砕き、ガラス製品の産地に送っていましたが、大阪の商社から先代が瀬戸工場を任されることになったのが製造所設置のきっかけです。 戦時中の、1940年(昭和15年)頃からは全国的に鋳物砂の需要が増えたのと同時に、瀬戸の珪砂が大手商社を通し供給も増え、瀬戸の珪砂が鋳物砂の原料産地として形を成しました。 しかし、戦後は全国各地の多くの鋳物砂工場が閉鎖し、鋳物砂への供給が減るようになると、珪砂の供給はガラス用原料へと一変しました。1951年(昭和26年)頃から、国内で板ガラスの生産が可能になると、需要が一気に増加し、珪砂鉱業として瀬戸における珪砂業界の基盤ができました。

未利用資源に着眼
 1987年(昭和62年)頃から、珪砂及び長石を精製する過程で大量に排出される未利用資源きら(微砂と少量の粘土の混合物)をなんとかできないか考えるようになりました。 きらは、窯業原料として流通することなく、鉱山の埋戻し材として多大なコストを伴い、他に利用価値のない資源として取り扱われてきました。 弊社は3R(Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル))を主体とした環境問題にも注力していますので、このきらを何とか活かす方法がないものかと思ったのです。
 きらは微細な粒状物であり、100gのきらは100gの水を吸水するくらい毛管吸水性に優れています。我々は、この特徴を活かし、高い吸水性・保水性の機能を持つ舗装材を開発できないかと考えました。 きらを使った舗装材であれば、気化熱による冷却効果が期待できるのではないか、その様な商品ができれば、ヒートアイランド現象の緩和に役立つのではないかと着目したのです。

支援制度を活用!
舗装用保水性セラミックブロック「モイストペーブ」(R)
舗装用保水性セラミックブロック
「モイストペーブ」®
 2006年(平成18年)、中部経済産業局の「平成18年度中小企業新事業活動支援補助金」(中小企業・ベンチャー挑戦支援事業のうち実用化研究開発事業)を受け、商品の開発が始まりました。 この間、多くの試作に取り組み、当初計画していたセメント系での製造から、より保水量を高くできる焼成系に変更するなどの試行錯誤を重ねました。 その結果、毛管吸水性により、ブロック下からの吸水性も高く、保水性も良く、気化熱による冷却効果が持続するセラミックブロックの開発に成功しました。湿った歩道という意味を込めて商品名は「モイストペーブ」とし商標登録しました。

JIS化への取り組み
 出来上がった製品をヒートアイランド対策に貢献する舗装用ブロックとして売り出しましたが、既存のJISで定められているコンクリート製の舗装用保水性ブロックの市場に切り込むことが難しいという現実に突き当たりました。
 その様な折に、名古屋工業大学の先生から、経済産業省の支援策の中に企業1社でも規格作りにトライできる新市場創造型標準化制度があることを知らされました。 きらを用いた舗装用ブロックのJISができれば、その性能を公に示すことができる、その上、既存JISのコンクリート製の舗装用ブロックとの差別化を図ることができると考え、当該制度の支援パートナー機関である瀬戸信用金庫さんを通して、制度に申請し採択されました。
 日本規格協会のもと、規格作りが始まり、コンクリート製の舗装用ブロックのJISとの調整に戸惑う場面もありましたが、2019年(平成31年)4月22日に、「JIS A 5216 きらを用いた舗装用セラミックブロック」として制定、告示されました。
 JISの内容は、既存のコンクリート製ブロックのJISとの差別化を出すため、特に蒸発性試験、敷き砂上での吸水試験(吸水高さ)、保水性(保水量)試験にこだわりました。 中でも、弊社のセラミックブロックはブロック下にある敷き砂からの吸水性が高いことが特徴であり、この性能を盛り込むことができたことは、非常に良かったと実感しています。
Key Word

新市場創造型標準化制度
中堅・中小企業等が開発した優れた技術や製品を国内外に売り込む際の市場での信頼性向上や差別化などの有力な手段となる、性能の評価方法等の標準化を支援する制度 (一般財団法人日本規格協会HPより引用

JIS A 5216きらを用いた舗装用セラミックブロック
日本産業標準調査会のHP内 右上「JIS検索」から検索して閲覧できます。
         
都市の熱環境対策に期待!
モイストペーブとは・・・?
温度上昇を持続的に低減するメカニズム

2017愛知環境賞表彰式にて「優秀賞」受賞
2017愛知環境賞表彰式にて「優秀賞」受賞
 既存JISのコンクリート製の舗装用保水性ブロックとの大きな違いは、高い保水力とその効果の持続性です。弊社のモイストペーブの場合、降雨で浸透した水をその保水機能によって溜めることができ、併せて、下地からの水を毛細管現象により吸水することが可能なため、 気化熱による冷却効果を持続することができます。夏期降雨日以降、正午~3時頃の日射時のブロックの表面温度を測定すると、モイストペーブはアスファルト舗装面より、10~17℃低いことが分かっています。
しかもこの効果を10日間程持続させることができるので、ヒートアイランド現象の緩和に大いに貢献できる商品であると自負しています。
 こうした成果は、「未利用資源きらを有効活用した日本初の保水性ブロックの開発とヒートアイランド現象の緩和」として評価をいただき、2017愛知環境賞優秀賞を受賞しました。

★取材当日(6月21日:晴れ)に地面の温度を測定(※直近降雨日:6月16日)
アスファルトの上:49度を計測
アスファルトの上:49度を計測
モイストペーブの上:39度を計測 アスファルトと比べ10度低い!
モイストペーブの上:39度を計測
アスファルトと比べ10度低い!
         
モイストペーブの製造工程
【増岡窯業原料株式会社にて】
 珪砂の原砂を水洗いし、溶けて漂った分を粘土分として回収します。対して沈んだものは別の工場で粉砕し、同様に粉砕した長石の微粒分と合わせて、きらとしてモイストペーブの原料に使用します。
工場写真


【ダイワセラミックス株式会社にて】
〔1〕増岡窯業原料から運ばれてきたきらを水と合せて粘り気を出します。
 その後、ブロック状に形状を整えます。押し出し成形を開発したことで製造コストを抑えています。
 

〔2〕ブロックを乾燥させる。
 ただ単に水分を抜いて乾燥させようとすると割れてしまうため、乾燥させながら蒸気と熱風がでる(=湿度を管理しながら乾燥させる)乾燥機に入れます。
 本設備は愛知県の補助金を利用して製作し、1回(丸3日)で計10トンものモイストペーブを乾燥させることができます。(個数にすると5,000個、100平米くらい)


〔3〕最終工程として、連続焼成炉というトンネル窯で焼き上げます。
 トロッコに乗った製品は長さ65m、およそ1200度の熱さのトンネル内を丸2日(48時間)かけて進みます。トンネル窯に入れる際には、〔2〕の乾燥機でしっかり乾燥させたものから入れるようにして、ブロック内の水分による水蒸気爆発を防いでいます。
 


様々な色のラインナップを取りそろえています!
お客様のご提案に合わせて、様々な色合いを出せます。


【採用実績】
施行例(1) 明治神宮外苑アイススケートリンク
施行例(1) 明治神宮外苑アイススケートリンク
施行例(2) なばなの里
施行例(2) なばなの里
         
今後の展望
 例年、夏の猛暑がニュースとなっており、ヒートアイランド現象への対応は急務です。モイストペーブは、ヒートアイランド現象の緩和に貢献する舗装用ブロックであり、熱中症対策や空調エネルギー消費量の低減にも繋がります。 JISとして制定された、このブロックの国内における採用実績を増やすとともに、海外に展開していくことも目標としています。多方面で活用いただき、多くの方々に、このブロックの素晴らしさを実感していただきたいです。
         
 企業プロフィール 
  • 増岡窯業原料 株式会社
    増岡窯業原料 株式会社
  • 企業名
    増岡窯業原料 株式会社
    法人番号
    6180001079226
    本社所在地
    〒480-1207 愛知県瀬戸市品野町1丁目198番地
    事業内容
    珪砂(けいしゃ)・長石・粘土・ガラス繊維再生加工・各種粉砕加工・粉砕分級等委託加工業
    創業
    1932年(昭和7年)創業
    代表者
    代表取締役会長 増岡 錦也
    取締役社長 増岡 順
    資本金
    3,200万円
    従業員数
    120人
    HP
    増岡窯業原料 株式会社 ホームページ外部リンク
    電話番号
    0561-41-2411
 グループ会社 
  • ダイワセラミックス 株式会社
    ダイワセラミックス 株式会社
  • 企業名
    ダイワセラミックス 株式会社
    法人番号
    1180001123104
    本社所在地
    〒480-1207 愛知県瀬戸市西古瀬戸町4番地
    事業内容
    タイル・レンガ・保水性レンガ等の製造販売、陶壁の制作・取り付け・補修・取り外し・移設
    設立
    2016年4月
    HP
    ダイワセラミックス 株式会社 ホームページ外部リンク
    電話番号
    0561-89-5545
         

このページに関するお問い合わせ先

中部経済産業局 総務企画部 情報公開・広報室
住所:〒460‐8510 愛知県名古屋市中区三の丸二丁目五番二号
電話番号:052-951-0535
FAX番号:052-951-0557

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