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中部発きらり企業紹介 Vol.117

更新日:令和元年5月23日

農産物の未利用資源から魅力あふれる新たな製品を生み出す

辻製油 株式会社
  • 三重県松阪市
  • 食用油製油
  • 機能性素材
  • フレーバーオイル
  • バイオマス
  • 地域活性化
  • 農業
スター★ちゅぼっと君
辻威彦 代表取締役社長/辻保彦 代表取締役会長
辻威彦 代表取締役社長/辻保彦 代表取締役会長
 今回は三重県松阪市嬉野において、「なたね油」「コーン油」の製造、高純度の「レシチン(乳化剤)」の精製などを手掛ける辻製油株式会社の辻 保彦 (つじ やすひこ)代表取締役会長、辻 威彦(つじ たけひこ)代表取締役社長にお話をうかがいました。 同社は「人まねはしない、何処にもできないことに取り組む」という経営理念のもと製油事業で培った技術を応用し、レシチン、セラミド、コラーゲンといった機能性素材や柚子オイルなど、天然香料の研究開発及び製造販売を行っています。 また、地元の雇用を創出する房どりミニトマト農園、みかんジュース工場、地元の間伐材を有効活用したバイオマスボイラー工場の運営に参画、松阪港で国内外の大型タンカーが接岸できる植物油脂タンクターミナルの運営も行っており、地域活性化・環境保護にも積極的に取り組まれております。
どこもできないことに挑戦する研究開発型メーカー
同社の歴史
フレーバーオイル・ドレッシングシリーズ
フレーバーオイル・ドレッシングシリーズ
 当社は1947年に国産なたね搾油専門工場として私の祖父が創業しました。三重県は昭和の時代から菜の花の産地として知られていますが、創業当時も周辺一帯で菜種の栽培が盛んであったこともあり、菜種油を製造することから創業が始まりました。
 その後1960年代にはとうもろこし油の製造や大豆から抽出されるレシチン(乳化剤)の研究開発に取り組み始めました。
 当時、東海地方は甘藷デンプン製造の盛んな地域であり、この業界も国産デンプン原料の減少からトウモロコシなど海外原料に次第に代わってきました。トウモロコシからデンプン(コーンスターチ)を製造した後の副産物の中に胚芽があり、これがコーン油の原料となります。 当社はこの胚芽に着目し、搾油したのがコーン油製造の始まりでした。その後コーンスターチの需要が盛んになり、中京地域から始まったコーンスターチ会社が全国に数多く建設され、同時に副生する胚芽の発生も多くなってきました。当社も全国から胚芽を集め、生産量も次第に大きくなってきました。 増え続けたコーン油は菜種油、大豆油に次ぐ規模となり日本の植物油産業の中でも大きな位置づけとなってきました。胚芽の油はリノール酸を多く含む健康に良い油として注目を集め、油脂業界に大きく貢献させていただきました。現在も根強い需要に支えられ安定した創業をさせて頂いております。
 コーン油産業と同時に始めたのが大豆レシチンでした。大豆レシチンの原料は大豆油製造時に発生するガム状のリン脂質ですが、自然界に存在する唯一の界面活性剤であることに注目し、研究開発を進めてきました。数年間の研究を経て国内で初めて高純度粉末レシチンを作り上げました。
 今まで製油と大豆レシチン精製事業が当社事業の大きな二本柱になっていましたが、製油事業とレシチン事業で培った「抽出と発酵」の技術を生かし、研究開発型メーカーとして当社しかできない独自の製品開発を続けています。

日本で唯一の粉末レシチン開発メーカー
 父である現会長が1960年代に入社してから、大豆油を製油する際の副産物である大豆レシチンの研究開発を進めました。レシチンは天然物中に存在する唯一の乳化剤であります。 レシチンは人の体内の生理作用において重要な役割を果たす物質であるほか、水と油のように混ざりにくい物質同士を混合させた状態で安定させる乳化剤として食品、化粧品、医薬品、工業製品など様々な用途に使用される物質です。 当社は製油で培った技術を応用して大豆レシチン成分をある条件設定のもと分別し、成分の中に含まれる油を除去し乾燥させることで出来上がる粉末状の高純度レシチンの精製に日本で初めて成功しました。 レシチンを粉末状に加工することで乳化力が格段によくなるため、多くの分野において大きな需要を得ることが出来ました。更にリン脂質(リン脂質混合物を総称してレシチンと言う)を分画し成分の高純度化を進めると共に、得意とする発酵技術を駆使した酵素分解レシチンの開発にも成功しました。 これらの技術で用途がより広がり、想定外の需要が出てきています。高純度粉末レシチンの精製から始まった当社の機能性レシチン製品は高度な技術力のもと生産しており、今でも日本で当社のみの生産となっております。
         
素材そのままの香り・味を楽しめるフレーバーオイルを製造
搾汁工程より副生する柚子の皮から新たな付加価値を創出
 製油工程の抽出技術を応用し、天然素材から微量の精油を抽出する研究をスタートさせました。
 柚子の皮には油胞があり、そこに特有の香りある精油が含有されていることに気付き、精油の抽出を試みました。
 柚子は高知県を中心に四国全土で栽培され、その大半が柚子果汁の原料として使われています。しかし、果汁はポン酢などの原料に使われていますが、果皮については殆ど使われていませんでした。 弊社は、この果皮から自社の得意とする抽出技術を使って精油を作れないかと考え、研究開発に3年間かけようやく工業化に成功しました。柚子の生産は高知県を含む四国全土が中心で日本最大の産地であるとともに日本最大の加工工場も併設しており、柚子皮も集中して大量に発生していました。 当社は高知県の協力を得て、柚子皮の最大発生地である安芸市に工場建設を行い、柚子フレーバーオイルの本格的な生産に取り掛かりました。
 低温抽出により得られるフレッシュな香りが食品メーカーに受け入れられ、瞬く間に市場を作り上げることが出来ました。時に国内では柚子のブームに入っており、化粧品、飲料や菓子類、調味料などの香料として人気を博しています。 現在も柚子の精油を供給しているのは弊社のみで、オンリーワン事業に成功しました。
 この事業を成功させたことにより、搾汁工場や農家の方々が処分に多額の費用を必要とした果皮に付加価値が付き、また弊社も抽出した精油の商品価値が上がり、四国県内の柚子農家、JA高知、弊社の「三方よし」が成り立ち、今後もウインウインの事業展開が期待されています。
 更に、この技術を使って生姜の精油を試みました。高知県は日本最大の生姜の産地で、原料供給地域としては最適であり、高品質の生姜エッセンスを製造することに成功しました。
 この商品も軌道に乗り、世界でも類を見ないオンリーワン商品として食品業界に順調に売り上げを伸ばしております。
 柚子・生姜以外にもわさび、バジル、キノコなどの香りをプラスしたフレーバーオイルの製造を行い、国内の高級店などで売上を伸ばしています。

フレーバーオイルの海外展開
フレーバーオイルシリーズ
フレーバーオイルシリーズ
 フレーバーオイル、調味料シリーズの海外市場開拓にも取り組んでいます。柚子やわさび、生姜といった和を基調とした素材は、日本ではスーパーなどで安く簡単に手に入りますが、海外では価格や流通の問題で入手しにくい素材であるため、 当社の製品のように素材の魅力を閉じ込めたオイルや調味料は海外に住む方々にとって大変重宝されています。常温で流通ができる上、保存も効き、素材の味・香り・風味を感じてもらえる当社の商品は、海外においてより一層の関心を得られるものと確信しております。
新感覚調味料シリーズ
新感覚調味料シリーズ
 最近では経済産業省の平成29年度グローバル企業展開・イノベーション促進事業費補助金(JAPANブランド育成支援事業)に採択され、三重県内の食品企業4社と連携して海外展開に取り組んでいます。このプロジェクトは複数社で連携して取り組んでおり、絶大なる信頼関係を作り上げ、 補助事業者同士で有益な情報交換ができています。現在まで当社はBtoC商品に本格的に取り組んだ経験がないため、BtoC商品の販売をメインに事業を展開している共同プロジェクト企業から販路開拓に関するノウハウなどを細かく丁寧に教えてもらえることは大変有意義です。 これまで経験のない当社のBtoCビジネスおいて利益を出していくことは容易ではないですが、こういった取り組みに伴うネットワーク、行政機関や取引先などのサポートをいただき軌道に乗せてまいります。
         
環境に配慮した循環型システムの構築・地域活性化への取組
放置されていた間伐材を有効活用したバイオマス熱利用
バイオマスボイラー施設
バイオマスボイラー施設
間伐材、建築廃材からできた木質チップを毎日燃やし蒸気に変換している。
間伐材、建築廃材からできた木質チップを
毎日燃やし蒸気に変換している。

木質チップ
木質チップ
 当社の製油事業では原料の乾燥や搾油の工程において大量の蒸気を必要とします。10年前まではA重油を用いたボイラーで蒸気をつくっていましたが、イラク戦争の勃発で原油市場が不安定になり、重油の値段が高騰したため製油事業では致命的なコストアップに晒されたことから、 当社の対応策として化石燃料の代替エネルギーを検討していました。そんな時、森林面積が65%の三重県の山において山林を守るために間引かれた間伐材が放置されているという話を耳にしました。 身近なところにある大量の未利用間伐材を燃料に活用できないかと考え、森林組合や製材会社と共同で蒸気エネルギー供給工場となる松阪木質バイオマス熱利用協同組合を設立しました。林業関係者からも、今まで伐採し放置されていた間伐材が商品になるということで絶大な協力を得ることが出来ました。 現在では当社の製油事業で使用する蒸気の大半は、バイオマスボイラーから生み出された蒸気を使用しています。余剰分の蒸気についても本社工場近くのトマトハウスで利用しており、エネルギーの完全利用を実現することができました。更に京都議定書に基づくCO2排出のない環境づくりに貢献していきます。

高い生産性を実現するトマトハウス農園を運営!
 三重大学からの紹介において、県内で高付加価値トマトの高効率栽培に取り組む株式会社浅井農園とご縁ができたことで農業分野にも進出しました。 同社とは、当社が推進する循環型社会の形成ならびに環境保護対策を目的としたバイオマス事業において自家消費しきれない余剰分の蒸気や製油工場から発生する未利用温水を利用した、年間を通して栽培を可能にする植物工場を共同運営することになりました。 この取り組みに賛同した、辻製油株式会社、株式会社浅井農園、三井物産株式会社、イノチオアグリ株式会社の4社の出資により農業法人うれし野アグリ株式会社を2013年に設立しました。 当社が総合経営と熱源供給、浅井農園がトマトの栽培技術と販売、イノチオアグリがハウス設備と設備管理、三井物産が流通と海外戦略というようにそれぞれが得意分野を持ち寄り、役割を分担して運営を行っています。 オランダの高軒高・高効率な栽培方式を採用した約2haのガラスハウスを建設し、人が作業しやすい体制の位置に実がなるような優れた作業効率を実現する設計が行われているほか、収穫状況や空調・労務管理をコンピューターで一括管理し、高い生産性を実現しています。 今般の需要増加に対応するため、LEDライトを使用した1.3 haを有する国内最大級電照型のトマトハウスを新しく建設中です。LEDを使うことで夜間でもトマトの成長が可能となり、生産効率の向上が期待できます。 本施設経営は地域雇用貢献策も担っており、このトマトハウスでは子育てをしながら働く地元の女性約100名に活躍してもらっています。LED使用の新しいハウスが稼働し始めれば、更に多くの雇用を生み出します。
ハウス内で栽培されている房どりトマト
ハウス内で栽培されている房どりトマト
東海地域最大規模のトマトガラスハウス
東海地域最大規模のトマトガラスハウス
建設中の新たなハウス
建設中の新たなハウス
ハウス内に蒸気や温水を通すための管
ハウス内に蒸気や温水を通すための管

過疎地に雇用を創出!道の駅にみかん工場を整備
工場で製造されたみかんジュースシリーズ
工場で製造されたみかんジュースシリーズ
 三重県の南端にある御浜町は三重県最大のみかん産地ですが、高齢化が進む過疎地でもあります。年中通して様々な種類のみかんを収穫できますが、みかんの収穫時期は限られており、一時期に採取するため、未利用目的分のみかんが発生します。 農家が苦労して生産した柑橘を放置しなければならないことに心が痛み、御浜町内の大型道の駅「パーク七理御浜」の経営に携わり、同施設内にみかんジュース工場を建設しました。現在、道の駅は地元の従業員40人以上が働いています。 道の駅には直売所「浜街道」、大型レストラン「ごちそうダイニング」を併設しており、全国や海外から多くの来訪者があります。その観光客に生産状況がよく見えるように造った「見えるジュース工場」を建設し、この地域ならではの特徴を持った安全安心の商品つくりに取り組んでいます。
 地域の活性化に力を注ぎ、地域の過疎化を少しでも食い止めることの重要性を感じています。

今後の取組
 創業以来72年を迎え、地域と共に発展してきました。当社が地域に貢献できることは、今まで培ってきた技術を更に研鑽し、地域の資源を発見開拓し、付加価値を付けて地域に貢献することを最大のテーマとして、地域社会のプラットホームとなることです。
 「抽出・精製・発酵」が当社の最大の技術であり、また最大の知財でもあります。地域資源と当社の技術を使った商品づくりは今後地域の発展の為に大きく貢献できると確信しています。
 アグリ事業ではミニトマト栽培の他、機能性野菜、薬草、特殊柑橘栽培など多種多様な素材つくりと、そこから生まれるこれまで市場になかった新しい商品づくりに取り組んでおります。
 販売面では、今春、東京都港区浜松町に開設した東京事務所の機能を充実させ、海外戦略を積極的に推進してまいります。具体的には農産物栽培、農産物加工、機能性油脂製品、フレグランス市場に提供できる精油製品、香味油、化粧品素材などオンリーワン商品の開発に取り組んでまいります。
 また、植物油脂の輸出入など海外戦略に必要な基地である三重県松阪港に建設した大型タンクターミナルの充実も図り、貿易に力を入れてまいります。
 油脂の海外戦略と機能性素材の更なる開発、地域資源を使った高機能製品の開発に当社技術を研鑽し、地域の発展に寄与してまいります。
         
 企業プロフィール 
  • 本社 社屋
    本社 社屋
  • 企業名
    辻製油 株式会社
    法人番号
    5190001010735
    本社所在地
    〒515-2314 三重県松阪市嬉野新屋庄町565-1
    事業内容
    コーン油、なたね油、脱脂コーン胚芽、なたね油粕、ハイプロテイン吸着飼料、
    ペレット飼料、各種レシチン、各種レシチン製剤、セラミド(とうもろこし胚芽由来)、
    フィッシュコラーゲン、養魚用油脂、天然香料などの製造・販売および研究開発
    創業
    1947年(昭和22年)創業
    代表者
    代表取締役社長 辻 威彦
    資本金
    3,000千円
    従業員数
    134人
    HP
    辻製油 株式会社 ホームページ外部リンク
    電話番号
    0598-42-1711
         

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中部経済産業局 総務企画部 情報公開・広報室
住所:〒460‐8510 愛知県名古屋市中区三の丸二丁目五番二号
電話番号:052-951-0535
FAX番号:052-951-0557

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