Q.御社は、近年、航空機分野へ参入をされて、航空機鋳造部品などを手がける台湾の企業とも合弁会社を設立されるなど、積極的な海外展開を進められておりますが、航空機分野へ参入された経緯や現在の進捗状況などについて、お聞かせ頂けませんでしょうか?
A.駒井社長

航空機用エンジン部品
航空機分野への参入については、先代社長の時代、取引先様から参入しないかと誘われていましたが、当時は自社にできる範囲からまずは業績を上げていこうということで、
参入には踏み切りませんでした。その後、当社を取り巻く経営環境も変わり航空機需要が今後大きく伸びることが予想される中で、
2010年にイギリスのファンボロ-で開催されたエアーショーで世界的に航空機の需要が伸びていることを目の当たりにしたのが参入を決断したきっかけです。
驚いたのは、航空機部品に使われている砂型鋳造品が多いということ、そして、そこで使われている鋳造品は、日本のメーカーがほとんど手がけていないということでした。
そこで、自社の砂型鋳造技術を上手く活用して、航空機分野へ参入すれば勝機はあると考えました。
その後、以前より取引先から紹介があった台湾のアビオキャスト社と具体的に交渉を重ね、両社が協力すれば、
グローバル企業として成長できると判断し合弁会社設立と言う流れになりました。アビオキャスト社は、航空宇宙産業における特殊工程認証制度(Nadcap)をすべて取得済みで、
多くの海外大手企業とも取引があるアルミ精密鋳造・砂型鋳造の航空機部品サプライヤーです。
アビオキャスト社とジョイントすることで、両社の弱いところを補いなえることが一番のメリットでしたし、日本の小さな会社が海外でモノを売るのはすごく大変なことです。
世界に認知されているアビオキャスト社とジョイントにより、海外企業により近くなりますし、実際に、当社が海外展示会に出展した際に、
海外企業から視察要請があったり現在では具体的なビジネスとして始まっています。
他にも合弁関係を通して海外企業様と取引をすることで、日本の大手企業様からも問い合わせが多くなってきたことが嬉しい誤算です。
航空機部品を作ることができる能力があると国内企業様に認知が広がってきており、実際の取引も増えています。

海外展示会 出展ブース
当社の体制としては、2009年に航空宇宙産業の品質マネジメント規格であるJIS9100を取得しました。また、Nadcapの認証を取得するため、
2012年に航空機事業推進室を社内に立ち上げ、専任3名により、当初苦労はしましたが2014年の12月には、なんとか認証にまでこぎ着けられそうなところです。
また、最近、アメリカのネバダ州、リノで開催された個人用航空機の展示会に行く機会がありました。
アメリカでは、個人所有航空機の登録件数が30万件ぐらいあり、いわゆる自動車の車検のようなレギュレーションがあり、数年ごとに部品の交換義務が発生します。
それが、年間で約3万件ぐらいの需要が見込めることがわかりました。航空機でも国内・海外大手メーカーなどとは違う、
日本人が知らない領域の航空機ビジネス分野もあるということがわかったのは新たな発見で大変興味を持ちました。

海外展示会
ただし海外のビジネスは不安も多く、本当に成り立つのだろうかと思いましたが、実際に海外から試作依頼があり、今では年間単位でまとまった受注するなどしています。
現時点では、まだまだ製造できる数に限界がありますが、今後は投資し製造数を増やして、この分野で事業拡大していければと考えています。
現在、当社全体の売上げの5%程度を航空機分野が占めておりますが、6割がアビオキャスト社向け、今年は国内企業様向けも増加、
アメリカ向けの個人用航空機ビジネスもそれなりに売上げを伸ばしてきています
中期的には、航空機分野で、当社売上げ比率の15%を目指していますが、充分達成可能な目標と考えております。