A.能作社長

【鋳ぐるみによる商品例】
大手手芸用品メーカーの目打ち。
先端側はステンレス、
手持ち部分は錫。
受注が急激に伸びてきたため、生産が追いつかない状態にあります。生産効率をどう上げるか、在庫管理や物流をどうするかといった課題に対応し、次の段階へとステップアップしていく過程にあります。今は中小機構北陸支部に専門家の派遣を依頼し相談し始めています。
現在、PRに力を入れている技術の一つに、異素材を高純度の錫でくるむ「鋳(い)ぐるみ」があります。高純度の錫は柔らかく加工しにくいため、他の金属と接合するのは一苦労ですが、当社では開発したシリコン鋳型鋳造法を応用し、ガラスやステンレス等の異素材を高純度の錫でくるむ鋳造を可能としました。
今後、抗菌作用が強いといった錫の特性を活かし、様々な分野における用途開発が期待されるところです。
伝統産業は、伝統の形・技法・販路を守りすぎているきらいがあります。伝統は創っていかなくてはいけない。100年後には今やっていることが伝統になるわけです。新しい伝統を創っていくことが、伝統産業に携わっている者の役目であると思います。そうでないと日本の伝統産業はだめになってしまいます。
産地の下請け企業であった当社が、新たな分野を開拓し、様々なメディアに取り上げられ、高岡を始め、全国の伝統産業の方々が当社を見てくれるようになりました。当社の取り組みが伝統産業の発展に少しでも貢献できればと思います。
高岡銅器の全体の売上げは、1990年をピークに下がり続け、現在はその3分の1にまで落ち込んできているのが現実です。目指すところは、当社の独自の取り組みをいずれは地元産地の事業として拡げ、高岡の伝統的工芸鋳物を次世代にしっかりとバトンタッチできる形で盛り上げていくことです。
また、能作ブランドを世界に通用するブランドにし、日本の伝統産業の格上げにつなげていきたいと思っています。