Q.新しいことへの挑戦として、御社はアロマに着目し、経済産業省の地域資源活用型研究開発事業や農商工等連携対策支援事業などの施策も活用しながら、
日本産アロマの研究開発や販路開拓に取り組んでおられますが、どのようなきっかけでアロマ事業を展開するようになったのでしょうか?

日本産アロマ
「Yuica (結馨) ゆいか)

「オークヴィレッジ(株)の3つの理念」
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A.稲本代表

水蒸気蒸留法によって精油(エッセンシャルオイル)を抽出
アロマとの出会いは、平成11年にアマゾンを旅した際にローズウッドという香水の「シャネルの5番」にも配合されている木に出会ったのが最初です。
私は、それまでアマゾンの森林は人の手が入っていない太古から続く原生林だと思っていたのですが、インパ(=国立アマゾン研究所)の森林研究員であるニイロ・ヒグチ氏から、この豊かな森林でもローズウッドだけがヨーロッパ人による伐採で絶滅の危機に瀕していることを教わりました。
そんな話を聞いて帰国した後、仕事をしていた中で、乾燥工程で木材の水分を取っていた際に、その水分から香りがすることに気がつきました。
ただし、その水分をまとめて土中に戻す場所では嫌な臭いが発生していたため、ヒノキならヒノキというように他の種類の水分と混ざらないように抽出できれば良い香りのアロマができるのではないかと思い、小さな抽出機を試作し実験した結果、もみの木から精油(エッセンシャルオイル)の抽出に成功しました。
その後2年ほど様々な木について実験を行っていた過程で中部経済産業局と接点ができ、日本で使われるアロマの約98%が外国産ですが、それを日本産として商品化できればビジネスになるのではないかと提案を受けたことと、
ローズウッドの例のようにアロマを扱う企業の多くは環境破壊をしながら原料を採取していたので、何とか環境を破壊せずにアロマができないものかと考えたことから、本格的な研究開発に挑戦することにしました。
その際に、地域資源活用型研究開発事業を活用して、飛騨に産する種々の木の葉・枝・木屑を原料とした精油を安定的に抽出する技術を確立し、それを木製品と融合させた商品開発を行うとともに、専門研究機関や東京農業大学と協力して、その成分分析や、人体への影響について安全性の確認、
気分測定等の検証を実施しました。この研究の最大の魅力は、それまでは家具の材料として捨てていた枝葉の部分までがアロマとして活用できるということで、木を隅から隅まで、全部無駄なく活用することができるようになりました。
この精油抽出に係る研究成果は、兄弟会社である正プラス(株)に引き継ぎ、日本産アロマ「Yuica(結馨 ゆいか)」の製品化に至りました。その後、アロマの材料となる様々な木の枝葉等が大量に必要となったため、飛騨高山森林組合と連携し、
正プラス(株)として農商工等連携対策支援事業を活用してパンフレット作成など、販路開拓の支援も受けました。現在、多くの森林組合は、木が使われないため間伐ができず、森林が荒廃してしまうという問題を抱えていますが、アロマの材料としては間伐材も利用できますし、幹よりも枝葉が大量に必要になります。
枝葉を採取する過程は森林を手入れすることと同義で、森林環境が改善され、豊かになっていきますので、これは良い連携だと思っています。