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中部発きらり企業紹介 Vol.56

更新日:平成21年12月25日

個々ユーザーに最適な切削工具でモノ作り企業をサポート、
SiC(炭化珪素)切削工具の開発により切削加工の概念を変え、産業発展に貢献

ビーティーティー 株式会社 ビーティーティー 株式会社
  • 愛知県名古屋市
  • 切削工具の設計・製造
  • 工具研削盤の設計
  • 工具測定器の設計
スター★ちゅぼっと君
今回は、平成20年に戦略的基盤技術高度化支援事業(通称:サポイン事業)の採択を受け、 難削材を素材として用いる航空機の機体材料の開発や高精度自動車部品の開発の現場で強く求められている硬度と耐久性を兼ね備えた切削工具の開発に取り組むなど、中部地域のモノ作りを下支えするビーティーティー(株)の青木渉社長にお話を伺いました。
Q.はじめに御社の創業の経緯などについてご紹介いただけますか?
A.青木社長
ビーティーティー(株)[本社]
ビーティーティー(株)[本社]

ビーティーティー(株)[第2工場]
ビーティーティー(株)[第2工場]
刃物の切れ味を蘇らせる再研削
刃物の切れ味を蘇らせる再研削
 創業は平成元年で、切れ味が悪くなった金型用や部品加工用の刃物、工作機械で使う切削工具の刃物を再研磨して、切れ味を再生させる「再研削」という工具の修理業からスタートしました。
 もともと私の祖父と父が名古屋市中川区で(株)光研磨という会社を設立して切削工具の再研削業を行っており、その関係で私もその会社に入社し、そこで12,3年ほど研磨技術の経験を積んだ後、独立して有限会社ビーティーティーを設立しました。
 当初は(株)光研磨と同じく中川区で操業していたのですが、平成2年に設備増強のため尾張旭市に移転しました。その後、平成10年の株式会社への改組を経て、名古屋市から企業誘致の話があり、その優遇措置や産総研といった研究機関も近いなど条件も良かったので、 平成16年に現在の所在地である守山区のなごやサイエンスパークに移転しました。
 当社の売り上げ構成としては、個別ユーザーの切削環境に最適な切削工具の作製が約70%(うち再研削が約40%)、自社ブランドの刃物(Prismシリーズ)が約20%、その他研削盤や測定器などが合わせて約10%となっており、用途別(最終商品別)でいうと、自動車関連が約60%、 航空機関連が約30%、残りは家電関係といった具合です。最近は、航空機産業に動きがあり、その設備投資に伴い工具・刃物にも動きが出ているので、以前は10-20%くらいだった航空機のウェイトが増えてきたという感じです。
         
Q.御社は、再研削の仕事だけでなく、ユーザーが加工する素材や切削条件など、それぞれのユーザー個別の状況を考慮したオーダーメイドの切削工具の作製も取り扱っているとのことですが、それにはどのような経緯があったのでしょうか?
A.青木社長
SiCを活用した切削工具
SiCを活用した切削工具
SiCを活用した切削工具
 再研削として修理を依頼される切削工具は、金型用の鉄を削るもの、プラスチックを削るもの、木を削るものなど、ユーザーによりその加工をする素材は異なりますが、それらはその刃がひどく欠け・割れしていたり、摩耗していたり、逆に全然摩耗していないのにそれでも切れなくなっていたりと、その状態は様々です。 そのようなものを数多く研磨しているうちに、なぜそうなったかという原因について関心を持ち、ユーザーに対して使用状況について調査をさせて頂いた結果、同じ素材を、同じ道具で、同じ加工方法で使用する場合であっても、ユーザーごとにそのベストな切削条件は異なり、結果的にできあがる製品は全て違ってくるなど、 様々な事象が分かってきました。また、切削工具について、市販の工具では対応ができないとか、寿命が短いなど、ユーザーの工具に対する不満や苦労を知ることもできました。
 そこで、再研削により工具の修理・再生をする際に、刃物の形状を各ユーザー専用の仕様にしてしまう、つまり各ユーザーの設備・環境といった切削現場の条件の中で最適な刃物を提供することで、生産効率の向上やコストダウンに貢献できるような企業になることを目指しました。 ユーザーの切削現場に出向き、ユーザーと研究開発をしながら一緒に工具を作り込んでいくという試行錯誤を繰り返すことで、様々な条件に対応可能な刃物についての経験・ノウハウを蓄積することができ、その結果、個別のユーザーにとって最適な切削条件の提案や切削工具の開発が可能となりました。
         
Q.再研削の仕事は、基本的にユーザーから修理に出されてくる工具を待つという姿勢になりがちだと思いますが、それだけではなく自らが主体的に動き、新しい需要を作り出すことが重要だということから、経済産業省の施策を活用して新技術の研究開発に取り組まれ、 新商品の開発を手がけておられますが、これはどのような研究なのでしょうか?
A.青木社長
ユーザーに最適な切削工具を提案、作製
ユーザーに最適な切削工具を提案、作製
 特に航空機の部品にはCFRPなど非常に硬い難削材を素材に使う部品が多いため、それを切削加工するのに高価な工具・刃物を用いてもその摩耗が激しく、耐久性の不足から加工工程のわずかな部分にしか切削工具・刃物が保たないという問題があります。 CFRPの最適な加工方法の確立については大学や各種研究機関で研究中ですが、その一方で切削工具・刃物の消耗の早さが工具費のコスト増になり、結果的に航空機部品のコスト高を招く要因の一つとなっています。ここに、切削工具・刃物の耐久性を改善する開発ニーズがあります。
 そこで、「従来の切削工具よりも5倍以上の製品寿命を持ち、かつ、サブミクロンオーダーの仕上げ面を創成する切削工具の開発」をテーマとして経済産業省のサポイン事業に申請したところ、必要性が認められ採択されました。 今までは刃物の研究といえばその形状を変えるだけでしたが、この研究は刃物の材料についてSiC(炭化珪素)単結晶を活用しようとしていることが特徴 になっています。
 きっかけは、以前にコンソーシアムを組んで産総研や工具メーカー、素材メーカーなど10社ほどでレアメタルレスな工具の開発を3年間かけて行ったことがあるのですが、その過程で刃物に関する材料を研究する機会があり、その重要性を認識しました。 また、名古屋工業大学で電子物性を研究されている江龍教授と知り合いになり、SiCという半導体の単結晶は刃物の材料としても考えられると教えていただきました。この教えを元に、熱伝導率が高く超硬合金の約1.5倍という非常に高い硬度を持ち、 高価なダイヤモンドに比べて安価に大きな単結晶を生成できるというSiCの特徴を活用するため、切削工具の刃先部分にSiCを搭載した切削工具を開発する研究を始めました。
 従来の刃物の多くは超硬合金を材料としていますが、これは炭化タングステンとコバルトの焼結体(多結晶)ですので、それを電子顕微鏡レベルで拡大すると表面は凸凹になっています。 それで素材を加工すると摩擦や化学反応の発生により加工素材の組成が変化するという問題や、その切削面が凸凹になり、その結果として製品の内部に歪み(内部応力)が残ってしまい、そこから形状的な割れや折れが発生して劣化するという問題が生じます。 それに対して、SiC単結晶を材料に活用した刃物で加工すれば、切れ刃エッジ部が極めてシャープになり、摩擦や反応性が小さくなることで内部応力を発生させない加工が可能となり、長寿命の部品・製品を作製することとができます。 今までの切削加工の工具は、高精度で削れること、高能率で速く削れること、工具(刃物)の長寿命化という3つの条件を満たせば良かったですが、SiC単結晶を刃物に活用すると加工する素材に負荷をかけず、製品に歪みを残さないという4つ目の条件を加えることが可能になります。
 現在の切削加工は、現状の刃物(主に材料が超硬合金)を前提に考えられていますので、大量の切削油が必要であったり、切削加工法や切削条件に大幅な制約を受けることになりますが、SiC単結晶を活用すれば、単純に切ることだけ考えれば加工が可能になります。 現在の切削加工は、その名の通り「切って、削る」という処理ですが、これが「切る」だけになり、「削る」という概念がなくなりますので、この研究は現状の切削加工のあり方そのものを変える可能性を秘めており、実用化すれば今後のモノ作りが劇的に変わるのではないかと考えています。
 またSiC単結晶の特徴として、焼結体である超硬合金を材料とした切削工具では限界のあった微細加工の分野でもナノレベルの非常に微小な加工への活用が可能であり、また人体に無害ですので、 精密性と安全性が問われる医療分野への応用を経済産業省の「新連携」施策を活用(人工股関節用加工用の工具、骨の穴あけの際の手術用工具の開発)して取り組んでいます。 このようにSiC単結晶を活用した切削工具の適用・応用範囲は非常に広いと考えています。
         
Q.モノ作りにおいて、道具は何をするにも必要で、良い道具を持つことは良いモノ作りにもつながるでしょうから、そこで超高機能な切削工具を提供できるようになれば御社の最大の強みになりますね。また、医療分野については当局も今後の成長産業として注目していますので、そこでの御社の活躍も期待いたします。 最後になりますが、今後の御社の方針をお聞かせいただけないでしょうか?
A.青木社長
 私は、現状の切削工具には限界があると思っていて、今後の刃物材料はSiC単結晶しかないだろうと考えています。ただし、SiC単結晶を使えば何でも良いかというとそうではなくて、刃物の形状も重要です。 例えば、形状の工夫だけでも加工の際に出る切り屑の量や形態の改善を図ることができ、作業現場の環境改善に寄与できたりします。切削加工において、刃物の形状の工夫だけで改善を図ることが可能なこともありますが、これにSiC単結晶を組み合わせれば更に良い効果を期待できます。
 当社はこのSiC単結晶を文字通り原料から成長させていますが、切削工具用に成長させているのは世界でも当社のみです。切削工具用の単結晶としては、SiCもダイヤモンドと同じで、割れやすい原子配列の方向性というものが存在しますが、それを補うために物性を改良する研究も成長過程で行っています。 この確立を含め、SiCはまだ研究段階ですから、これを早く実用化段階に持っていくことが重要だと考えています。
         
本日はお忙しいところ色々とお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。モノ作りが産業活動の基盤といえる中部地域において、その生産性を向上させる道具の開発は非常に重要な意味を持つと思います。SiCで今までの切削加工の概念を変え、中部地域のモノ作りのみならず、 日本全体の産業発展への貢献を目指す御社の今後益々の御発展と皆様の御活躍をお祈り申し上げます。
         
 企業プロフィール 
  • 青木 渉 社長
    青木 渉 社長
  • 企業名
    ビーティーティー 株式会社
    本社所在地
    愛知県名古屋市守山区花咲台2-801番地
    事業内容
    切削工具の設計・製造 工具研削盤の設計/工具測定器の設計
    設立
    平成元年
    代表者
    代表取締役社長 青木 渉
    資本金
    1,000万円
    従業員数
    20名
    HP
    ビーティーティー 株式会社 ホームページ外部リンク
    電話番号
    052-736-8441
         

このページに関するお問い合わせ先

中部経済産業局 総務企画部 情報公開・広報室
住所:〒460‐8510 愛知県名古屋市中区三の丸二丁目五番二号
電話番号:052-951-0535
FAX番号:052-962‐6804

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