Q.御社はウォータージェット加工技術について非常に高い評価を受けており、それを武器に新規参入が難しいと言われている航空機産業への参入を果たされたと聞いていますが、どのような経緯があったのでしょうか?
A.打田社長

穴の断面を斜めに加工することにより、
円柱部品がスッポリ収まる
航空機産業に参入したきっかけは、ウォータージェット加工機を導入して、カーボンなどの特殊な難削材の加工を手がけてしばらくしてからです。およそ5年前、 ある航空機メーカーからのカーボン加工の打診にさかのぼります。
当時、そのメーカーが打診してきた素材は、自社ではその素材の切断が困難か、切断に丸一日を費やすといった状況でした。ところが、当社はそれをものの数分で加工することが可能でした。それをきっかけにして そのメーカーとの取引が始まり、その結果、航空機産業界への参入を果たすことができました。
また、ウォータージェット加工技術の導入以前の切削現場では埃や粉塵が発生して環境が悪かったのですが、ウォータージェット加工なら埃も出ませんし、加工スピードも格段に速く、生産効率が大幅に向上しました。
さらに、ウォータージェット加工は機械加工、レーザーカット、ワイヤーカットなどとは異なり、摩擦などによる熱が発生しないので、加工対象の素材の分子構造を破壊しないというメリットもあります。加えて、素材に負荷がかからないので、固定できないものや隙間があるようなものでも加工が可能といった特長もあります。
このように、ウォータージェット加工は、特に難削材や複合材の加工に優位性があるわけですが、それだけでなく柔らかい素材も加工できるので、アイデア一つで様々な加工技術や新しい商品の実現が可能となります。現在も、いくつかのアイデアを練っています。
難削材の加工については、航空機だけではなく、あらゆる分野で需要があり、幅広い応用が可能です。例えば、今後は低炭素社会の実現に向けて、自動車の軽量化が一層加速されて、自動車の構造材がカーボン材料に置き換わっていくようになります。
その結果、我々のコア技術が今後もっと活躍できる場面が増えていくのではないかと期待しています。