Q.御社はCFRP(炭素繊維強化プラスチック)等難削材加工で技術力を発揮され、当省の戦略的基盤技術高度化支援事業でも「難切削金属材料に対応した切削加工技術の開発」として採択されていますが、
難削材加工に取り組まれようとされました理由や問題点等をお教えいただけけないでしょうか。
A.徳田社長

チタン加工部品
航空機は新しい機種が出るたびに加工機械や材質も替りますので、それに付随した加工技術等が常に開発されます。
部品加工を行なう上では航空機会社の求める材質と技術水準を満たしていかなければいけません。従来はジュラルミンのプロファイル加工が中心でしたが、ボーイング787ではCFRPの比率が高まり、従来使えたジュラルミンが使えなくなり、チタン合金にせざるを得なくなりました。
当社では、CFRP部品同士を繋げるフィッテイングという部品をチタンで作りますが、チタン合金はすごく粘りけが強く熱が伝わりにくいため、加工するには難しい材料です。

穿孔用治具(FRP)
また、CFRPは炭素繊維とエポキシ樹脂という、まったく性質の異なる材料で作られた複合材料であるため、これもチタン合金とは違った意味で、非常に加工が難しい材料です。
更にCFRPの成型用金型には難削材のインバー材(鉄とニッケル36%の合金)が用いられますが、CFRPは金属と異なり、ほとんど伸び縮みしませんのでCFRPで部品を作るにはCFRPとほとんど線膨張率係数が同じものを型材として使用しなければならず、この点も課題といえます。
現在は加工技術の確立を開発中ですが、量産体制に合う早くて安定した加工条件を見つけたいと思っています。顧客の要求に合致し、かつ安価で刃持ちも良く品質も損ねない加工方法を見つけるためにはエンドレスの研究となります。
納期と加工速度も従来と同じものが要求されますが、部品加工は労働集約的な面が多く、現在の状況ではコスト面や生産速度でも量産体制といえるような状態にはいたっておりません。
当社ではCFRPやチタン合金の加工に適した機械を投入して対応しておりますが、顧客の要望に合うような技術水準を確立していくには技術開発が常に必要であり、研究開発と設備投資が不可欠ですが、研究開発スタッフは限られており、かつ資金調達の面でも大変であり、
戦略的基盤技術高度化支援事業は資金や人材不足の中小企業にとりましては国がリスクヘッジをしていただけるということで大変助かる制度です。