2019年3月18日更新
・感磁部に励磁電流を通電しない新型高感度磁気センサの開発
・感磁部のヒステリシス・温度特性、及びセンサの磁気分解能を改善
・ハンディ磁界検知器を製作し、医療への応用を検証
フジデノロ株式会社
プロジェクト名 | アモルファス金属材を用いた新方式超高感度磁気センサの量産技術確立と用途探索 |
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対象となる川下分野 | ヘルスケア、自動車、産業機械 |
川下企業におけるニーズの対応 | 高機能化(精度・性能の向上など) 質量低減(小型化、軽量化など) 信頼性・安全性(信頼性の高い検査技術の実現など) 低コスト化(ランニングコスト低減、ロス削減、 省力化など) |
上記ニーズに対する具体的な数値 | ・感磁部のヒステリシスについて、従来のアモルファスワイヤの1/3に低減。 ・従来のMIセンサが温度特性1%/度であるのに対し、温度特性0.2%/度まで向上。 |
事業実施年度 | 平成26年度~平成28年度 |
事業化状況 | 補完研究中(完成に向けて現在研究中) |
対象としている素材 | 鉄、ニッケル、コバルト、銅、アルミ |
- プロジェクトに至った背景・経緯
- 名古屋大学と当社の研究グループは、高感度磁気センサであるMIセンサよりもさらに分解能を向上させた新しいセンサ構造と作動原理を考案した。新型センサは感磁部の体積を小さくとどめながら、感度・分解能を飛躍的に向上させることが原理的に可能となった。高価で普及が進まないSQUID(超伝導量子干渉デバイス)に近い磁気分解能を有する小型センサを低コストで実用化できれば、脳磁、心磁などの生体磁気計測の医療応用や様々な日常的応用(マン・マシーンインターフェースなど)の可能性が広がる。
- 研究開発のポイント
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従来のMIセンサのようにアモルファスワイヤを用いるのではなく、アモルファス金属に代わる新型の軟磁性材料を用いたセンサ構造による新しい作動原理であり、新型センサの分解能を向上するに最適な構造を探索すると共に、製品化するに足る品質安定性を実現する材料品質の確保、組み立てプロセスを確立する。
一方、センサを駆動する信号処理回路についても、励磁用パルス電流回路の低インピーダンス化と新型センサの出力特性に合わせて、アナログ回路、デジタル回路、データ処理方法を再設計し、高分解能を実現する。
- 研究開発の具体的な成果
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1.新型の軟磁性材料を用いたセンサ構造により、磁気ヒステリシスの非常に小さい高性能なセンサ素子を作ることに成功した。現状の感度は当社MIセンサ比1/5倍であるが、磁性材料を改善による高感度化が可能である。
2.従来のMIセンサと同じ構造で磁気シールドを不要とする磁気直列式グラジオセンサを実現した。
3.信号処理回路の改善により目標設定時の回路ノイズRMS914pTからRMS80pTまでの改善し、目標のノイズレベル1/5を達成した。
4.開発したセンサと高精度化した処理回路を再設計し、ハンディタイプ磁界検知器を製作した。
5.胸部磁界と心電図(I誘導)の同時計測を実施し、ECGと相関する磁界変動が確認された。
6.頭部表面の磁気計測を実施。アルファ波(開眼・閉眼時)の明確な信号差まで捕らえられず、更なる分解能向上が必要であることがわかった。
- 利用イメージ、今後の活用が見込める分野・製品等
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これまで磁気シールドルーム内でしか使用できなかった高価な生体磁気診断装置による心臓機能・脳機能検査を広く一般の病院や研究室、さらに家庭にまで普及させることができる。また、細胞組織に対する薬理作用の研究や再生医療培養組織の機能評価において、非接触・非侵襲の新しい評価手段を提供できる可能性がある。
医療以外の多方面の産業用途にも活用可能な中核的技術の一つとなる可能性がある。簡便に脳磁信号を検出することが可能となる段階に到達すれば、思考情報を読み取ることで何らかの装置とのインターフェースとして様々な用途に活用することができ、非常に大きな市場創出が期待される。
知財・広報活動 | 本事業にて取得した特許(特願2016-216746、名称:計測装置(磁性体との間の距離を計測する計測装置)に加えて、新たに磁性メッキに関する特許(特願2017-094313「磁気センサ」など)を申請し、今後審査請求を実施することにより、センサ技術の優位性と独自性を明確化する。また、海外においても権利化すべく、これら申請特許のPCT出願及び国内移行を進めている。 また、広報活動としては、医療関連のみならず、他分野へのセンサのPR活動を行っており、様々な企業や機関にご興味をいただいている。 主な活動内容としては、展示会を利用しており、本年度においては、危機管理産業展などに出品をした。 これらの結果得られたニーズに基づいた研究開発を積極的に推し進めている。応用案件としては、凶器発見などのセキュリティ応用、金属の疲労部分の検知などがある。 |
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今後の見通し | 名古屋大学やiPS関連企業との共同研究のもとに研究開発を進めており、平成32年での生体応用磁気センサの製品化を目標としている。 現在では、2017年度採択されたA-STEPを活用するとともに、脳磁計測を専門とする大学の研究室と新たな共同研究契約を締結して、より実用に即した装置性能を明らかにするとともに、今まで以上に製品化を加速すべく努めている。 特に2018年度においては、磁気シールドルーム内での脳波と本磁気センサの同時計測を行い、脳内での電流のインパルスと磁気信号の関連性を分析して、センサの有用性に関する実証実験を行っている。 |
事業管理機関 | フジデノロ株式会社 国立大学法人名古屋大学 |
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法認定事業者 | フジデノロ株式会社 |
1. pTレベル(地磁気の10万分の1以下)の微弱な磁気を検知可能な超高感度磁気センサを研究等の現場で利用可能。
2. 通常の地磁気環境下で飽和することなく、高分解能な磁気センシングを実現。
3. ヒステリシスが小さく、優れた感度リニアリティ実現。
4. 測定用磁気センサと処理回路をパッケージ化した評価システムを構築可能。
5. お客様のニーズや各種用途に合わせて、システムをカスタマイズ可能。
研究開発成果等報告書(概要版): | https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/sapoin/portal/seika/2014/0420g.pdf |
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研究開発成果等報告書: | https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/sapoin/portal/seika/2014/0420h.pdf |
超高感度磁気センサシステム『 iMus(イムス)』: | https://www.fujidenolo.co.jp/technology/ultrahigh-sensitive-magnetic-sensor-system.html |
社名 | フジデノロ株式会社 |
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所在地 | 〒485-0053 愛知県小牧市多気南町361番地1 |
電話番号 | 0568-73-7575 |
社員数 | 320名 (男性 240名、女性 80名) |
資本金 | 9,800万円 |
業種 | プラスチック製品製造業(別掲を除く) |
事業内容 | 各種プラスチック部品製造 医療機器の製造販売およびヘルスケア製品の製造販売 |
URL | https://www.fujidenolo.co.jp |
保有する生産設備と スペック |
機械加工設備・成形加工設備 保有 マシニングセンタ 50台 NC旋盤 15台 他 |
生産拠点エリア |
国内 所在地:愛知県小牧市多気南町361番地1 |
海外生産対応 | 不可 |
主要な取引先 | 株式会社SCREENセミコンダクターソリューションズ |
本プロジェクトに 関する問い合わせ先 部署名 |
技術開発部 |
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