鋳鉄製プレス金型の鋳造歪抑制による加工代低減の技術開発
光洋鋳造株式会社
どん底から這い上がるため研究に力を入れる
自社のリスクより顧客の利益を優先
プロセスを一から見直して加工代の半減に成功
歪みは、どこでどのように起きるのか。まずは、模型の焼き付き防止のために水溶性の黒鉛系塗型(離型剤)を塗布・乾燥させる工程に目を付けた。平面は早く乾くが、くぼみや溝は時間がかかる。発泡スチロールに塗布する塗型は乾燥すると縮む性質があるため、乾燥時間の違いが歪みを生んでしまうのだ。そこで場所によって塗布・乾燥する時間を変えた。さらに専用の乾燥室を作り、温度や湿度・送風の管理を行い、ほぼ均一に乾かすことに成功。また、砂の枠をすぐに外すと急冷して歪んでしまうため、1日空けて抜いたり、砂の配合も変更したりとありとあらゆるアイデアを試し、5㎜という目標に達成することができた。進化に進化を重ね、今では、2㎜まで迫ってきているというから驚きだ。
提案型営業に力を入れ徐々に信頼を獲得
愛される鋳造会社へ一歩前進
「日本一愛される鋳造会社へ!」・・・過去の苦境を現在の糧とし、未来へ走り続ける同社に今後も目が離せない。
事業化&マッチング成功のポイント
- ●7割ほど完成していた中でのサポイン事業スタート
2か月という短期間でのサポインだったが、開発自体は進めていたため、最後のひと押しとして利用できた
- ●徹底した既存プロセスの見直し
歪みの原因を探るため、常識となっていた工程をひとつひとつ検証し、すべてを現場で調整した
- ●サポインの開発内容をPRし、紹介によって新規開拓を増やした
公益財団法人三重県産業支援センターがアポイントを取り、企業とマッチングしてくれた
活用のためのアドバイス
- 専務取締役 白江肇英さん
- 事業化には、営業方法も重要になります。私たちの場合、はじめは、協力団体からの紹介やお付き合いのある顧客から実績を積み上げ、その実績をもとに新規開拓へというように段階を踏んで、徐々に販路を広げていきました。提案して持っていくと踏みこんで相談を受けることも多々あり、やはりお客様に求められていたんだと感じました。サポインがひとつの看板となって、これをもとにPRできたこと、また顧客の方から「サポインやってみたいんだけど」と相談を受けたりしたことなど、大変良い効果をもたらしました。サポイン事業で行う研究開発というのは、世に必要とされている重要なニーズです。ぜひ信念を持って挑戦してみてください。