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サポイン好事例

竹の流動成形による高音質な薄肉・複雑形状スピーカー振動版の実用化

チヨダ工業株式会社

木質を変える特殊技術で美しい音の再現に成功

原材料革命となった「木質流動成形」とは

同社は自動車関係のプレス加工品をメインに、金型の設計・製作、試作までを手掛ける金型メーカー。金型製作前の成形シミュレーションをほぼ全部品に展開して、不良低減・納期短縮などニーズをとらえた技術力で勝負している。
これまでに培ってきた自動車部品の金型製造の延長として、産業技術総合研究所と共同で行ったのが、木材が持つ「木質流動成形」を活かした商品開発だ。これまで木材の加工といえば「切る」「削る」「接着する」「曲げる」が主で、圧力を加えると簡単に折れてしまうという使用上の弱点があるが、この「木質流動成形」は繊維を柔らかくして圧力をかけると、ストロー状の細胞を束ねた構造が壊れずに結合、鉄筋コンクリートにたとえられるほどの強い構造を維持し、まるでプラスチックのように自在に変形できるのである。つまり、この技術を使えば、塊状の木材をプレスするだけで複雑な3次元形状製品を量産できてしまうのだ。
この性質を利用して作られたのが、振動板に竹を使用したスピーカーコーンだ。その理由について試作・開発部長の山田満雄さんは「研究チームの山田哲也がオーディオマニアだったから」と言うが、実は満雄さん自身も生演奏を身近に聴けた環境が長く、耳には自信があった。世界初の技術で、生演奏に近い音を再現する作業には「仕事と思えないほど、楽しかった」と白状する。
部屋をコンサートホールに変える竹製スピーカー

そもそもスピーカーが良い音を発生するためには、スピーカーコーンが音声信号に忠実に振動することが必要である。そのため、振動に合わせて細やかに動ける素材の「軽さ」、振動の動きに負けず形をキープする「硬さ」、素材の中を伝わる「音速の高さ」が重要だ。木や竹など天然系素材は良質の音響特性を持つが、これまでの製法では製造過程が複雑でコスト高となり、製品として現実的な素材ではなかった。
サポインでは、プレスで成形する「木質流動成形」によって、スピーカーに合うよう極薄肉化が実現。様々な木質材料で試作を繰り返したところ、最もリアルな音を出したのが竹だった。「例えばヒノキは最も澄み切った音を出しましたが、竹には、演奏者の出す空気感まで表現するような臨場感があり、求める音に近かった」と山田さん。
原材料を竹にしたのは、放置竹林の解消という目的もある。豊かな森林形成を蝕む竹を工業材料として利用し、健全な里山の回復を図るというねらいだ。「愛知県では森林組合を通じて供給ルートは確保できました。次は安定的に供給ができるよう整備が必要。各方面と手を組みながら、解決していかなくてはいけない課題ですね」。
研究開発を通じて社会を豊かに

ブランド名は、バイオリンの名手ヒラリーハーンの愛器“ヴィヨーム”から「ヴィヨームオマージュ」とした。目の前で演奏しているかのようなライヴ感ある音色には、オーディオマニアからの関心も高く、商品化が期待されている。また「目の不自由な人にこそ最高の音を」と三重県立盲学校へスピーカーを寄贈し、社会貢献活動も行っている。「私たちの研究開発が、少しでも社会を豊かにしたり、役立っていることに喜びを感じます。サポインでの成果を活かし、スピーカー以外への事業展開もあわせて検討していきたいです」。
原材料革命と呼ばれた流動成形の竹スピーカーは、オーディオ業界に、そして地域社会に革命を起こすか、今後に注目だ。

事業化&マッチング成功のポイント

◆「世の中にまだないものを出したい」という思い
都合のいい結果ばかり出るわけじゃないので、開発者に「世の中にないものを作ってみたい」という精神がないと、続かない。
◆テーマは主軸事業の応用となるものを選ぶ
全く新しい事業を行うのは難しいが、これまで蓄積していた主軸事業からの応用なら、持っている知見を活かしてピンポイントでの研究開発ができる
◆究極は「好きこそものの上手なれ」
ニッチな世界への参入は、市場やニーズをよく知る人材が関わるべき。

活用のためのアドバイス

代表取締役社長 早瀬 一明さん
共同研究でよかったのは、豊富な知見やデータを共有できるということでした。通常、社内だけで行う開発では、ここまで分析を積み重ねてじっくり行うことは稀。出てくる分析結果に驚いたり喜んだり、充実した日々を送ることができました。3年という長い研究期間ですから、お互いのモチベーションが下がらないよう、密に連絡を取り合うことも大切です。サポインの挑戦は、展示会で注目されるばかりか、求人にも役に立っていますよ。

紹介動画

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