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サポイン好事例

量産加工ラインに対応した「省スペース・トラブルレス・高剛性」な
横形マシニングセンタの開発

株式会社紀和マシナリー

スピード感ある研究で時流のタイミングをつかむ

業界のニーズを深堀できるのが共同開発のメリット

紀和マシナリーは、技術力に定評のある工作機械メーカーである。1869年の創業時より、ボール盤や横形マシニングセンタ「Triple」シリーズなど自社ブランドを多数開発製造し、時流の中で成長を遂げてきた。その中で培ってきた最大の強みは、大手の参入できない細かなユーザーニーズに機敏に対応できる体制づくりだ。設計から製造、販売、アフターフォローまですべて社内で行っており、長期にわたって信頼関係を築いている。
そんな同社がサポイン事業を行うきっかけとなったのが、三重県産業支援センターからの勧めだった。「サポインは採択されるのが難しいと言われていたので、できるのかなと不安もありましたが、外部機関の見方やアドバイスなどが得られる貴重な機会となるのが魅力で、挑戦することにしました」と製造部の松山恭男次長。採択を受け、社内からは、製造部や設計部、営業部といった各部署から12名の精鋭が招集された。
相反する特長をひとつに!難問に挑む

自動車関連分野では、少品種大量生産から多品種中小量生産への流れが強まっており、設計変更や設備転用にも容易に対応できる、強くてコンパクトなマシニングセンタの需要が高まっている。さらに、自動車パーツの中でも、足回りやブレーキ部であるブレーキキャリパーやマウンティング、ローターなどの加工には、硬い素材であるタグタイル鋳鉄を使うため、高精度・高能率で加工するためには、さらに強さ(高剛性)を持たせなくてはならない、という課題があった。
従来型の「クイル型コラムトラバース方式」「ショートノズル型コラムトラバース方式」「テーブルトラバース方式」では、省スペース(機械幅を狭くすると強さが保てない)と剛性(強さを確保すると機械幅を大きくせざるを得ない)という、相反する特徴をうまくまとめることができない。また、加工の際、切屑やクーラント液が機械の駆動部に侵入して機械トラブルを起こすという問題もあった。
そのため、駆動部と加工部を分けた「クイル型コラムトラバース方式」をベースに、重切削に対応できるようコラム一帯で前後左右に移動できる機能を付けた「ロングノーズ型コラムトラバース方式」を考案。開発へ向けて梶をきった。
事業化へ向けてさらなる機能向上を目指す

ところが「コラムトラバース方式」は長い主軸が特長だが、それにより切削能力が低下することも懸念された。そのため、振動・たわみ抑制機能(パワーガイド)や加工精度を安定させる熱変位補正機能も同時に開発する必要に迫られた。
1年目は「振動・たわみ抑制機能(パワーガイド)」の研究開発に注力。もともと同社には、独自で開発していた「ハイブリッドガイド」という振動抑制機構がある。それはすべりガイドを転がりガイドの上面1面だけに押し当てたものだが、これを応用展開し、2面で押し当てる構造に変更。これにより、従来はX・Y・Z軸の3軸が必要だったものを1軸だけで、同等の機能を満たすことができるようになった。
 2年目は「熱変位補正機能」の研究開発を行う。これは省エネ志向からのニーズに対応したもので、機械本体温度があがりきっていない状態(コールドスタート)から安定した加工ができるようにする機能である。従来型は熱膨張によって約80μmの変位が起き加工精度に影響していたが、センサーで補正する機能を搭載した結果、目標の5μm以下をはるかに超え2μm以内に収めるという大きな成果を得ることができた。
技術力をためてさらに長く生き残れる企業へ

開発の難しさ以上にスケジュールに振り回されたと振り返る松山次長。パーツの入荷が遅れるなどのトラブルもあったが、各機関とやりとりを重ね、計画の順番を見直すなど柔軟に対応することで、予定内で終えることができた。現場を見守る社長の紀和伸政氏も「現場はきつかったでしょうが、あえて2年という短い期間で設定しました。開発はスピードであり、かつシビアなことが要求されます。そんな中で開発前から外部の意見を聞けたり、膨大で正確なデータ解析が得られてよかった」と語る。「私たちは、技術力が命。これを貯めないと長く生き残っていけません。今回のサポインの成果を受け、事業化へ向けてブラッシュアップしたり、別の技術にも応用したりしていければと思います」。
 開発は1日にしてならず。紀和マシナリ―の挑戦はこれからも続く。

事業化&マッチング成功のポイント

◆2年というタイトなスケジュール
最初からスケジュールに余裕がないことが分かっていたため、その中でどうするか?をシビアに検討。計画や進め方にも精度が要求されたことで、緊張感を維持しながら進められた
◆外部機関を積極的に活用
様々な立場の研究者、アドバイザーの意見によって、社内とはまた違った化学反応が生まれた。この機会により多くの知見を取り入れるよう、頼りながら学んでいった
◆経営者の強力な支援
サポインに関わるスタッフには、そこに集中できる環境を整えた。国の採択事業であるという自信が励みとなって社員の士気もアップ

活用のためのアドバイス

代表取締役 社長       紀和伸政さん
サポイン事業を行って得たことは、新しい開発技術だけではありません。これまで何とかしないと、と思っていた社員の経理意識の改善に効果がありました。国の事業ですから、職員の方々が入って帳簿に目を通すわけですが、今までのやり方では不十分なため、きちんとしたやり方を一から学びました。そして、そのやり方を社内のスタンダードにすることができたのが大きかったですね。おそらくそれは、大企業では当たり前のやり方ではないかと思うのですが、自社だけではなかなか気づかないことを、サポインを通じて気づかせてもらったと感謝しています。機会があればぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。

紹介動画

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