株式会社メイドー(愛知県豊田市)

「技術革新や日常改善等による省エネ活動、関係企業、取引先の
協力を得て、2050年カーボンニュートラルを目指す」

業種:製造業(輸送用機械器具における高強度ボルト、ナット、冷間鍛造部品の製造・販売)

 住所:愛知県豊田市三軒町四丁目5番地

エネルギー測定コストダウン

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取り扱っている製品群

取り扱っている製品群

製品の製造工程

製品の製造工程

事業の概要

○自動車の基本性能を支える重要保安部位のボルトを専門に製造・販売

○第1種エネルギー管理指定工場として、改善活動等を通じてエネルギー消費量の年1%削減を継続。現場における省エネの意識向上に向けて、段階的指導を進める。

○サプライチェーン排出量の算出に向けて、取引先を対象に説明会を開催。取引先に対し、施策や事例、エネルギー消費量の算出方法の説明や、アンケート等のフィードバックを行いながら協力を求める。

○2050年カーボンニュートラルを目指し、技術革新や日常改善など、省エネ活動によるCO2削減量を増やしていくことが課題。

省エネ取組の主な概要

カーボンニュートラルのロードマップを作成

2030年にCO2排出30%削減、2050年カーボンニュートラルを目指す。

カーボンニュートラルのロードマップ

カーボンニュートラルのロードマップ
改善活動におけるCO2削減量の算出

改善活動を整理するフォーマットに、改善後の成果の1つとして「CO2削減量」を書く欄を設けている。

改善活動におけるCO2削減量の算出
再生可能エネルギーの導入

みよし物流センターの屋根に
太陽光発電設備の導入を検討。

みよし物流センター
再生可能エネルギーの導入
カナディアンソーラパネル 700枚
(パネル容量 395.5kW、パワコン出力 300kW)

省エネ取組による省エネ効果

各取組での効果

※2012年以降の取組におけるエネルギー削減量(原油換算)
平成24~30年度
◆洗浄機ボイラーを高効率簡易ボイラーへ更新  2kL/年
◆めっきボイラーを高効率簡易ボイラーへ更新  4kL/年
◆熱処理クーリングタワーの統合 56kL/年
◆低損失変圧器をトップランナー型変圧器へ更新(F1変台)  4kL/年
◆事務所照明設備のLED化 11kL/年
◆サブ変台を統合し負荷効率向上による損失低減  2kL/年
◆事務所空気調和設備の更新(省エネタイプ) 10kL/年
◆技術センター
油圧式荷物エレベーターをロープ巻上式荷物エレベーターへ更新  8kL/年
◆廃棄物置場天井照明設備のLED化  1kL/年
◆資材倉庫高天井照明設備のLED化 13kL/年
◆デスクトップ型パソコンをノート型パソコンへ更新  3kL/年
◆社員食堂厨房機器の更新  5kL/年
◆メッシュベルト式熱風循環式乾燥炉設備総合効率の向上 18kL/年
◆空気圧縮機吐出圧力の改善  8kL/年
◆メッシュベルト式熱処理炉設備総合効率の向上(本社工場) 79kL/年
◆空気圧縮機台数制御システムの導入(本社工場) 89kL/年
令和元年~令和4年
◆空気圧縮機台数制御システムの導入(三好・藤岡工場) 74kL/年
◆メッシュベルト式熱処理炉設備総合効率の向上(三好工場) 71kL/年
◆高天井用照明設備(セラミックメタルハライドランプ)のLED化(三好・藤岡・本社) 250kL/年
◆工場照明(Hf蛍光灯)のLED化(三好・藤岡・本社) 50kL/年

※再生可能エネルギーの導入
発電量:  約300,000kWh/年
CO2排出削減量: 145t-CO2/年

担当者インタビュー

株式会社メイドー
ESG推進室 室長  伊藤 雅人 さん

担当者インタビュー

省エネの取組推進のきっかけ

熱処理工程や表面処理工程で、多くのエネルギーを消費。

 メイドーは、自動車の基本性能を支える重要保安部位のボルトを専門に製造・販売しています。ボルトの製造は、冷間鍛造、ねじ転造、熱処理、表面処理、検査という工程を通って出荷しています。基本的に、社内で一貫して材料の受入れから完成品までを生産できるのが当社の強みです。
 このうち、焼き入れと焼き戻しを行うことで強度と粘り強さを出す熱処理工程と、電気亜鉛メッキとジオメット処理の2つの方法を採用している表面処理工程の2工程が、エネルギー消費量が非常に大きく、2つを合わせると全体の75%を占めています。

第1種エネルギー管理指定工場として、改善活動等を通じてエネルギー消費量の年1%削減を継続。

 当社は第1種エネルギー管理指定工場です。そのため、1999年に指定されてから、エネルギー消費量の年1%削減の努力義務を継続して実践してきました。
 当初、費用対効果も考慮しながら、効果の出やすいものから取り組んできました。コンプレッサーや変圧器、受電設備をトップランナーに更新していくところから始めていきました。
 また、当社では継続的に改善活動を行っています。テーマを決めて改善活動を一定期間行った後、経営層が現場を訪問し、担当者が改善内容をその場で発表し、経営層が直接アドバイスを行います。活動の一連の情報は全て社内データベースに蓄積されるようになっています。このデータベースの中に、省エネに関する設備改造や取組も多く含まれます。

取組推進のポイント

現場における省エネの意識向上に向けて、段階的指導を進める。

 省エネ活動において、現場には「設備総合効率を1%上げる取組をしてください」とまずは伝えるようにしていました。設備総合効率とは、端的に言うと時間あたりの製品の出来高のことで、当社では昔からよく使用している指標です。
 現場の人に対し、「CO2削減をしなさい」「電気量を10キロ下げてください」と言っても、何をすればいいかがよくわからない。しかし、設備総合効率は現場の人にもなじみがあるし、同じエネルギーで出来高が増えれば結果的に省エネになっている、という説明の方が現場の人も理解しやすいようです。
 ただし、最近はカーボンニュートラルという言葉がメジャーになってきたこともあり、現場でも把握できるようにするため、以前から実施してきた改善開発発表会の発表用フォーマットの中に、改善後の成果の1つとして、「CO2削減量」を書く欄を設けました。事務局の方でエネルギーの種類等による算出係数を提示し、できるだけ現場で算出してもらうようにしています。
 また、省エネ活動の事務局だけが省エネ活動をしていても、現場での実行にはつながりません。私はエネルギー管理士ですが、省エネに対する意識啓発に向けて、エネルギーを使用する部署の責任者にはエネルギー管理員の資格を取るよう指導しており、現在、当社ではエネルギー管理員が30名以上おります。結果的に、意識も知識も高まってきているように思います。

メッシュベルト式熱処理炉設備総合効率の向上を、トヨタ自動車の協力を得て実現。

 最近の省エネ効果の高かった取組としては、メッシュベルト式熱処理炉の設備総合効率の向上の取組があります。
 メッシュベルト式熱処理炉は全長30mほどあり、ベルトコンベア式に製品が流れていくことで、焼き入れ焼き戻しを進めていきます。この流れのスピードアップを図るべく、トヨタ自動車の担当者様と改善活動グループの共同で検証しました。
 どのくらいまでスピードを上げても、不良品が出ずに製品の生産スピードをあげることができるのか、製品ダミーを使って、それぞれのポイントで温度分布を測定。必要な温度を保つころができるスピードを検証しながら確定しました。
 まずは三好工場の1台の炉からスタートし、スピードを確定してからは三好工場の全ての炉に、さらには他の工場へと展開していきました。

サプライチェーン排出量の算出に向け、取引先を対象に説明会を開催。

 サプライチェーン排出量の算出に向けて、これまでにサプライチェーン向けの説明会を2022年と2023年の2回開催しています。1回目はリモートで開催しましたが、決まった時間での開催だったので、2回目は期間内でビデオ配信を行う形式で開催しました。
 1回目は、カーボンニュートラルの基本の説明から始まり、公的機関が進めている支援策の紹介、省エネ実践事例の紹介を行いました。また、各サプライヤーが1年間でどれくらいエネルギー消費しているか、地球温暖化対策推進法で使用されるエクセル表を配布し、大まかな数字を把握するよう依頼しました。
 2回目は、1回目に回答いただいた取引先のエネルギー消費量のデータを元に、取引先のCO2排出量の傾向を分析した結果をフィードバックしました。その際、取引先90社の合計よりも当社の方がCO2排出量は大きいという結果を提示しましたが、「取引先の協力なしにはカーボンニュートラルは達成できないので、一緒に取り組んでいきましょう」と説明しました。
 また、各説明会の開催後にはアンケートを実施し、説明した内容や、相談したいことやお困り事についても聞くようにしており、今後の取組の参考材料としています。今後は、取引先への個別説明や、省エネ効果の高い機器や公的支援策の資料等の情報提供を進めていくことになると思います。

取組効果、今後の課題

省エネにかかる実績、目標について。

 当社では、エネルギー消費量の年1%削減を継続して実践してきましたが、2030年にはCO2排出量30%減、2050年カーボンニュートラルを目指し、今後も取組を進めていきます。
 ロードマップを整理する中で、削減量の約5割はグリーンエネルギー調達になるのではと予測していますが、今後は技術革新や日常改善など、私たちの努力で削減できるかが課題だと考えています。
 また、ロードマップにおける削減量の15%を想定する再生可能エネルギーでは、当面はみよし物流センターに自家消費型の太陽光パネルを設置することを計画しています。

取引先や関係会社との協力を得て、取組を進めていく。

 現在、水素バーナーの導入も検討を進めていますが、実用化に向けて、水素を安全に貯蓄・運搬する方策を検討する必要があるのと、関係会社による評価が必要になります。
 また、サプライチェーン排出量の算出に向けて、いろんな取引先と一緒に頑張っていけるように、取引先に寄り添いながら地道に取り組んでいきたいと思っています。

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