大福製紙株式会社(岐阜県美濃市)

「ルーツブロアの運転方法の改善など、計画的に省エネ活動を
積み上げることで工場のエネルギー消費を最適化」

業種:製造業(特殊紙の開発・製造販売)

 住所:岐阜県美濃市前野422

エネルギー測定設備更新お金をかけない省エネ

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製品製造の様子
製品製造の様子
和紙粘着テープ用原紙
電気・電子材料用原紙

事業の概要

○緑豊かな山々と清流・長良川に抱かれた和紙の町美濃市にある特殊紙のメーカー。

○乾燥工程などで大量の電気を使用する製紙業において、ISO14001を認証取得した2005年頃より毎年テーマを決めて計画的に省エネ活動に取り組む。

○ルーツブロアの運転方法の改善による使用電力適正化、使用電力最適化、インバーター化、照明のLED化などを、優先順位を付けて取り組んできた。

○ルーツブロアの運転方法の改善で年間155万円のエネルギーコストを削減。4年連続省エネ優良事業者Sクラスも達成。省エネ診断の活用などで、さらなる省エネ活動を目指す。

省エネ取組の主な概要

ルーツブロア(送風機)の運転方法の改善で、年間155万円のエネルギーコストを削減 

乾燥工程において使用するルーツブロアについて、4ヶ所の吸引するセクションにルーツブロアを1台ずつ接続し常時運転する方法から、配管を連結させて3台で4ヶ所を吸引できるよう運転方法を改善。
残りの1台は予備機として確保している。

ルーツブロアの配管を改善

ルーツブロアの配管を改善

※引用元 中部地方電気使用合理化委員会・エネルギー管理優良事業場等の表彰 共有事例


太陽光発電設備を設置し、クリーンエネルギーの活用を推進

2023年に150kWの太陽光発電設備を設置。
工場の消費エネルギーの2%を賄っている。

太陽光発電設備

太陽光発電設備

省エネ取組による省エネ効果

各工程での効果

※ルーツブロアの配管の改善
エネルギー削減量 95,040kWh /年



全体での効果

4年連続省エネ優良事業者Sクラスを達成

担当者インタビュー


大福製紙株式会社
技術部 品質管理課 松久 健司 さん
担当者インタビュー

省エネの取組推進のきっかけ

製紙業はエネルギー消費が大きいため、昔からエネルギー削減が課題であった。

 製紙業は、「1tの紙を製造するには、その1000倍の水が必要」と言われるほど、大量の水を使用します。その水分を乾燥させるためには大量の電気を消費します。エネルギー消費はコストの問題とも直結するので、当社としては昔から経営課題の1つでした。
 なお、当社の場合、紙を乾かす工程で工場全体の約7割のエネルギーを消費しています。加えて、工業用資材原紙をはじめ、重量のある製品を多く取り扱っているため、運搬する際のエネルギー消費も多くなっています。

2005年にISO14001認証した頃から、毎年テーマを決めて計画的に省エネ活動に取り組んできた。

 2005年にISO14001認証を取得しました。その頃から省エネ活動に取り組んでいます。
 毎年、省エネ活動としてテーマを設定し、担当者を付けて取り組んでいます。担当者は、社内の設備メンテナンスの担当者やメンテナンス業者に相談しながら省エネ活動を日々検討しています。毎年のテーマはある程度、中長期計画を立てる中で既に決めているので、計画的に省エネ活動が取り組めていると自負しています。
 また、エネルギー使用に関する報告会を毎月開催しています。報告会には全部門の部長と課長が出席し、先月のエネルギー使用量について情報共有し、今後の改善方法について検討しています。

取組推進のポイント

ルーツブロア(送風機)の運転方法の改善で、使用電力を適正化。

 当社では、それぞれ建屋が異なる3つのラインがあり、それぞれ1年のうち335日は24時間、製品を生産しています。そのうち2つのラインは60年前に建設したもので、これまでの省エネ活動を通じて既に使用電力の最適化が進んでいます。
 現在、残り1つの新しいラインにおいて、2つのラインで実施してきた省エネ活動を横展開し、使用電力の最適化に取り組んでいるところです。
 具体的には、使用電力の最適化のほか、照明のLED化、ポンプやファンなど駆動系機器のインバーター化(=電力変換器を使ってモーターの速度を細かく制御すること。モーターの動作を最適化し、必要以上の電力を消費することなく、効率的に動かすことが可能となる)に地道に取り組んでいます。予算に限りがあるため、効果が高いと思われる箇所から順に、計画的に改善を進めています。

2023年に太陽光発電設備を設置。更なるクリーンエネルギーの活用も検討中。

 2023年には150kWの太陽光発電設備を最も新しい建屋の屋根に設置しました。当社の工場は、400Vを採用しているため、太陽光発電によるクリーンエネルギーを工場でも使用することができます。工場の消費エネルギーの2%をこの太陽光発電によるクリーンエネルギーで賄っています。
 また、更なる省エネ活動を推進するため、クリーンエネルギーを活用していきたいと考えています。但し、太陽光パネルは、耐荷重の問題で建屋の屋根に設置することが難しいため、当面は地面に設置する太陽光パネルでの建設を検討しています。

取組効果、今後の課題

省エネにかかる実績について。

 最も効果が高かったルーツブロアの配管の改善では、投資額120万円で、年間95,040kWhの電気使用量の削減につながり、年間155万円のエネルギーコストを削減できたので、1年以内で償却できたことになります。
 その他、上記の地道な省エネ活動を計画的に取り組むことにより、当社は、4年連続省エネ優良事業者Sクラスを達成しています。
 さらには、長年の省エネ活動の取組が評価され、令和3年度エネルギー管理優良事業者等中部地方電気使用合理化委員会委員長表彰を受賞しました。この受賞を励みに、今後も更なる省エネ活動に取り組んでいくつもりです。

省エネ診断の活用を視野に入れて、さらなる省エネ推進を目指す。

 元々、工場は生産量よりも余力を持たせた形で建設し、稼働してきました。ルーツブロアの運転改善についても、吸引圧に余力があることに以前から気づいていたことから、取組を進めることができました。
 当社では、そういった気づきから1つずつ、省エネ活動を進めていき、エネルギー消費の改善を進めてきました。いろんなことをしてきましたが、まだ気づいていない余分なエネルギー消費があるかもしれません。省エネ診断を活用し、プロのアドバイスを受けて、さらに省エネを推進できればと思っています。

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