ゼネラルヒートポンプ工業株式会社(愛知県名古屋市)

「再生可能エネルギー熱を熱源としたヒートポンプシステムを
オーダーメイドで構築し、省エネ・省コストを提案」

業種:製造業(排熱回収型ヒートポンプの製造、省エネルギーヒートポンプシステムの設計・施工)

 住所:愛知県名古屋市中村区名駅2-45-14 東進名駅ビル7F

コストダウン

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同社で実績のあるヒートポンプシステムで採用した再生可能エネルギー熱
同社で実績のあるヒートポンプシステムで採用した再生可能エネルギー熱
再生可能エネルギー熱は、主に冷暖房、給湯の用途で利用されるほか、プール・浴槽昇温、工場での加熱・冷却プロセス、地域熱供給、透析、融雪などにも利用される。

事業の概要

○排熱回収型ヒートポンプ冷暖房給湯機のメーカーとして創業。現在は、再生可能エネルギー熱を利用したヒートポンプシステムの設計およびヒートポンプの製造を主に展開。

○省エネ・省コスト・環境対策に考慮したシステムプランを制御システムや周辺装置も含めて提案し、設計・製造を実施。導入実績は、地中熱利用を中心に1000件以上に及ぶ。

○ヒートポンプシステムのニーズを丁寧に聞き取り、ニーズに沿ったヒートポンプシステムを開発。地中熱のほか、排熱利用で医療施設や災害時に避難施設として開放されるホテル等にも導入される。

○工場排熱の例では、エネルギー削減量 84%減、CO2削減量 80%減、電力料金削減率 79%減を達成。新しい技術・システムの研究開発も進めている。

【カーボンニュートラル実現に有効な製品・技術・サービス】

ヒートポンプの仕組み

熱を温度の低いところから高いところに移動させる(汲み上げる)ことができる仕組み。
燃焼を伴わないため、CO2の排出を抑えて熱エネルギーを作り出すことが可能となる。
地中熱や地下水であれば、年間を通して温度が一定であるため、外気に対して夏は温度が低く、冬は温度が高いため、地中熱や地下水を利用すると空気よりも効率の高い冷暖房ヒートポンプシステムを構築できる。

ヒートポンプの原理
ヒートポンプの原理
ヒートポンプの能力・効率と熱源温度との関係
ヒートポンプの能力・効率と熱源温度との関係

透析熱回収ヒートポンプシステム

人工透析を行う医療施設において、排出される透析排液の熱をヒートポンプで回収し、透析に使用する透析液を加温する熱の再利用システム。

透析熱回収ヒートポンプシステム システムイメージ

透析熱回収ヒートポンプシステム システムイメージ

海水淡化熱源給湯ヒートポンプユニット

海水淡水化を行っている離島のホテルにおいて、平時においては温室効果ガス排出抑制と省エネが実現する給湯設備として、災害時には水・電気・熱(給湯)が自立可能な避難施設とするため、海水淡水化熱源給湯ヒートポンプシステムを導入。なお、ホテルでは、自治体との防災協定を締結している。

周辺設備を含めたユニットの全体像

周辺設備を含めたユニットの全体像
水冷式ヒートポンプ
水冷式ヒートポンプ
ヒートポンプユニットの外観
ヒートポンプユニットの外観

工場排熱を利用したヒートポンプシステム

自動車部品工場において、洗浄液槽の加温と切削液槽の冷却を同時制御するものとして、ヒートポンプシステムを導入。負荷に応じて、冷却加熱同時・加熱のみ・冷却のみの3モードに切替可能。
同工場内に14台設置している。

従前のエネルギーシステムと、ヒートポンプシステム導入後のシステム比較

従前のエネルギーシステムと、ヒートポンプシステム導入後のシステム比較

【省エネ取組による省エネ効果・例示】

透析熱回収ヒートポンプシステム(病床60~100床の医療施設の場合)

 CO2削減率   78~90%減(電気ヒータからの代替分)
 電力料金削減率   74%減

工場の加熱・冷却用ヒートポンプシステム(工場全体でヒートポンプ14台導入)

 CO2削減量   1,094トン/年(80%減)
 エネルギーコスト削減率   79%減

担当者インタビュー

ゼネラルヒートポンプ工業株式会社
常務取締役 谷藤 浩二 さん

担当者インタビュー
事業の概要について

省エネ・省コスト・環境対策に考慮したヒートポンプシステムを提案し、1000件以上の実績を有する。

 当社は、ヒートポンプを用いた熱の有効活用を行う技術・システムを製造・販売しています。
 ヒートポンプとは、熱を汲み上げる装置で、熱を温度の低いところから高いところに移動させる(汲み上げる)ことができます。熱を発生させるより熱を移動させる方が必要なエネルギーが少なくて済むので省エネルギーであり、なおかつランニングコストの削減につながるシステムの構築が可能です。
 最近は再生可能エネルギーや排熱を熱源とするヒートポンプシステムを提案しており、活用する熱として地中熱のほか、地下水熱、下水熱、温泉熱、河川水熱、さらには工場排熱などの捨てられていた熱を使うこともあります。
 省エネ・省コスト・環境対策に考慮したシステムプランを提案し、設計、製造、まれに工事をしており、ヒートポンプの導入件数を着実に伸ばしており、2021年には導入件数1000件を達成しています。

製品・技術・サービスの導入事例

省エネ大賞を受賞した「透析熱回収ヒートポンプシステム」は、大幅な省エネ、コスト削減を実現。

 2017年度に省エネ大賞を受賞した「透析熱回収ヒートポンプシステム」は、人工透析を行う医療施設において、透析排液の熱(25~30℃程度)を回収し、ヒートポンプで使用する透析液を加温し、熱を再利用するシステムです。従来、病院の透析液は電気ヒーターやガスで加温していましたが、捨てていた透析排液の熱を活用するので、大幅な省エネとなり、年間の電力料金が74%削減されます。
 こちらは、人工透析に詳しい方からニーズをもらったのを機に、システム開発を進めていきました。ユニット内には、ヒートポンプに透析排液や原水(透析液)が入らないよう前後に熱交換器を設置することで、排液と原水が混ざり合う危険のない安全設計となっています。

水資源の乏しい離島に、海水淡水化の熱源を活用した給湯用ヒートポンプシステムを提案。

 沖縄県の竹富島にある「星のや竹富島」では、海水淡水化システムで得た熱源を活用した給湯用ヒートポンプシステムを導入しています。竹富島は離島なので水資源が乏しく、石垣島から運ばれる水も限りがあるようです。そこで、海水から淡水をつくる海水淡水化装置とヒートポンプを組み合わせて、淡水化した水を熱源に給湯を生成するシステムを開発しました。
 井戸を掘って組み上げた海水は、沖縄の海なので30℃と高い温度で保たれています。そこで、ヒートポンプを使って、30℃から熱を取り除いて冷水をつくり、その取り除いた熱で加熱しお湯をつくるというシステムを作り上げました。
 海水淡水化装置の導入に加え、「系統電源が途絶えても、水を供給できるようにしたい」という要望があったので、太陽光パネルや蓄電池などのシステム全体像も合わせて提案し、専門業者の協力を得てこれら設備を設置しました。なお、災害時はホテルの給水・給湯だけではなく、避難施設として開放し、島民に水とお湯を供給することになっています。
 また、ヒートポンプシステムの運転状況や消費電力量、 温度等を表示し遠隔監視できる制御システムを導入し、遠く離れた離島でもヒートポンプの運転状況を遠隔監視し、簡易点検もできるようにしています。

工場内の排熱を加温用に利用するヒートポンプシステムは、多くの工場で導入が進む。

 自動車部品工場であるアイシン(当時はアイシン・エィ・ダブリュ)蒲郡工場では、中部電力との共同研究で、洗浄液槽の加温と切削液槽の冷却を同時に行うヒートポンプシステムを開発しました。
 従来、その工場では蒸気ボイラーを使って洗浄液を加温し、切削液槽はチラーで冷やすという、別々のシステムで加温と冷却を行っていました。効率的に熱移動ができるヒートポンプシステムを採用することで、洗浄液の加温と切削液の冷却を1つのシステムで対応できます。また、蒸気によるシステムでは蒸気を搬送する際のエネルギーロスなども大きくなりますが、このシステムでは搬送ロスや放熱ロスも減り、大幅は省エネになります。
 2011年に省エネ大賞を受賞したこのシステムは、工場内のプロセスでの加熱や冷却を行うヒートポンプシステムとして、他の工場への導入も進んでいます。

取組のポイント、今後の事業展開など

制御システムや周辺装置等を一括して提案し、オーダーメイドでシステムを開発。

 当社ではヒートポンプシステムを1件ごとに、制御システムや周辺機器の提案も一括して、お客さんにマッチしたものをオーダーメイドで取り組むことで、高いコストパフォーマンスを発揮し、他社との差別化を図っています。中には、「ここに頼めば、システム提案から制御関係まで全部やってくれるから」と評価いただき、リピーターとして発注されるお客様もおられます。
 これまで地中熱や地下水熱利用の空調システムは多く手掛けてきていますが、工場などへの新たなヒートポンプのニーズを探し続けています。ヒートポンプシステムのニーズがどこにあるかを発掘するのは難しいものです。例えば、最近は農業従事者からの問合せが増えていますが、私たちは農業を知らないので、何度に加温するべきか、どんなスケジューリングで熱を取得したいかなど、相手方の要望をていねい聞き、ニーズを満たすものを作るよう心がけています。
 なお、ヒートポンプシステムの導入は、捨てたい排熱(または使っていない熱)と加温などの用途先の2つが近くに存在することが必要条件になります。また、100℃ほどの高い温度の熱はそのまま熱交換器で活用できる場面も多いこともあり、ヒートポンプシステムでは見過ごされがちな 30℃前後の温度の熱が排熱として重宝されます。
 照明や空調、動力等の省エネ対応を十分進めて来られた企業の方には、ヒートポンプシステムによる排熱利用は有効かもしれません。今後も、お客さんの様々なニーズに沿ったヒートポンプシステムを整備し、アピールしていきたいと考えています。

様々な補助金を活用し、施設導入や研究開発を進めている。

 ヒートポンプシステムの導入時には、環境省をはじめとする補助金を活用して提案することも多く、お客様の申請のお手伝いも行います。例えば、避難施設としての機能もある竹富島のホテルの例では、環境省の「令和2年度 地域の防災・減災と低炭素化を同時実現する自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業」を活用しています。
 方、当社でヒートポンプに係る新しい技術・システムの研究開発に向けて、補助金を活用しながら取り組むこともあります。最近は、愛知県の補助金を活用し、より高い温度帯で有効活用できるヒートポンプシステムの技術開発について、導入可能な市場の発掘も検討しながら進めています。

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