株式会社ウーケ(富山県下新川郡入善町)

「地域の自治体、企業とウィンウィンの関係で海洋深層水を活かし、
 省エネ活動を積極的に実践」

業種:製造業(無菌包装米飯の製造・販売)

 住所:富山県下新川郡入善町下飯野232番地の5

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主な商品例
主な商品例 工場外観
工場外観

事業の概要

○パックご飯メーカー。環境省認定の名水百選に選ばれた「黒部川扇状地湧水群」の天然水で炊飯し、先進的な殺菌システムを採用するなど、「おいしい」ごはんを追求。

○富山県入善町の海洋深層水パーク内での海洋深層水の多段活用を会社設立当初より検討し、2009年より操業開始。2019年の第3工場の建設時には、廃熱の有効活用、既存工場も含めた照明のLED化に取り組む。

○建設時よりプラントメーカーの協力を得て、省エネ対応を実践。生産管理のため、一食当たりの燃料使用量を算出し、2021年は原油換算量を1%削減する目標を達成。 

○環境負荷低減による地球に優しい工場運営を進めることで、当社全体で10数%のCO2排出量削減を達成。地域の自治体や企業とともにさらなる廃熱の有効活用を目指している。

省エネ取組の主な概要

海洋深層水を他施設と多段活用

工場の製造エリアの冷房に、海洋深層水の冷熱を利用すると共に、温まった海洋深層水を、アワビの養殖や牡蠣の浄化に利用。

全体像

全体像


整備イメージ

整備イメージ


廃熱の有効利用

第3工場の建設時に、工場から排出される廃熱を、ボイラー水の加温、及び天然ガス(LNG)気化器の熱源として利用。

廃熱の回収元となる炊飯器(左)と殺菌設備(右) 廃熱の回収元となる炊飯器(左)と殺菌設備(右)

廃熱の回収元となる炊飯器(上)と殺菌設備(下)


照明のLED化

照明の大部分を蛍光灯ないし水銀灯からLEDへと交換。

LED化した工場室内

LED化した工場室内


省エネ取組による省エネ効果

海洋深層水を他施設と多段活用

※CO2排出量削減効果
 製造エリアの冷房節約 年間約 1,000トン
 海洋深層水活用施設 年間約 400トン

廃熱の有効利用

※CO2排出量削減効果
 第3工場における廃熱の有効活用 年間約 170トン

照明のLED化

※CO2排出量削減効果
 第1,2工場照明のLED化 年間約 110トン

担当者インタビュー

株式会社ウーケ
品質保証部長 舟見恵一さん(左)
工務部長 吉田忍さん(右)

担当者インタビュー

省エネの取組推進のきっかけ

富山県入善町の海洋深層水パーク内での海洋深層水の多段活用を前提として、2009年より操業開始。

 当社は2007年に設立し、2009年からパックご飯メーカーとして、富山県入善町の「海洋深層水パーク」で創業を開始しました。
 「海洋深層水パーク」では、海洋深層水を水産業などの産業活動に利用されます。海洋深層水は高ミネラルという特徴がある一方、水温が1~2度と低く、水産加工で活用するには加温が必要になります。一方、当社は炊飯や熱殺菌などで熱をたくさん放出するため、製造エリアの室内空間を冷やす必要があります。
 そのため、会社設立当初より、海洋深層水を当社工場の室内空間の冷却媒体として活用し、熱交換器を介して12~15度に温まった海洋深層水を、深層水活用施設で養殖されているアワビや牡蠣の浄化を行うためのかけ流し水に使用するよう、工場建設を行いました。
 また、入善町には、当社まで海洋深層水を引き込むパイプを整備いただきました。

第3工場の整備時に補助金を活用し、工場内の廃熱活用を実施。

 2019年4月の第3工場の建設時には、廃熱の有効活用にかかる設備導入と、照明のLED化に取り組みました。
 廃熱は、各種空調設備に加え、殺菌時にドレンから出てくる蒸気や、炊飯時に出てくる蒸気など、様々なところから回収しています。回収した廃熱は、天然ガス(LNG)の気化器の熱源や、各種ボイラーの加温に利用しています。
 照明のLED化は、第3工場の照明をLEDで整備した後、同年10月に第1工場・第2工場においても、照明の大部分を蛍光灯ないし水銀灯からLEDへと交換しました。
 2019年は環境省の補助金を活用しています。当社の場合、社内に加えて当社の親会社への説明も必要になるので、補助金を活用できることでスムーズに社内等への稟議が進めることができたと考えています。

取組推進のポイント

建設時よりプラントメーカーと省エネ対応を協議。第3工場の建設時には省エネプロデューサーも参画。

 海洋深層水の多段活用に関する全体構想は、工場を設計したプラントメーカーから提案いただきました。その後の取組についても、プラントメーカーの協力を得て進めています。
 また、第3工場の建設時には、プラントメーカーからの紹介で省エネプロデューサーの協力も得ながら取り組みました。
 例えば、廃熱の有効活用については、省エネプロデューサーに相談して廃熱の量を測定・算出し、廃熱をどこで活用できるか、省エネプロデューサーと一緒に検討しました。蒸気による廃熱量については、排出口で熱と流速を確認し、その数字から算出しています。

一食当たりの燃料使用量を算出。2021年は原油換算量を1%削減する目標を達成。

 生産管理のため、一食あたりの燃料使用量を算出しています。燃料使用量の減少量は、省エネ効果の指標になるのと同時に、コスト削減の指標にもなります。
 今年度は、「一食あたりの原油換算量を1%削減する」という省エネ目標を掲げ、高効率ボイラーへの設備更新や、蒸気廃熱を利用した機器の増設などに取り組み、既に達成できたことを確認しています。

取組効果、今後の課題

省エネにかかる実績について。

 年間のCO2排出の削減量として、海洋深層水の多段活用における製造エリアの冷房節約では年間約1,000トンを、第3工場の廃熱の有効活用では年間170トンを、照明のLED化では年間約110トンを、それぞれを実現しています。これらにより、当社全体で10数%のCO2排出量削減につながっています。なお、照明のLED化については、5年で投資回収できる見込みです。
 当社は、入善町に牡蠣の養殖施設とウィンウィンの関係でマッチングいただき、とても有難く思っています。一般的に、牡蠣を浄化している地域では、牡蠣の浄化のためにUV殺菌を行っているようですが、海洋深層水パークでは、牡蠣を浄化する水をきれいにすることやボイラー等で水を加温することが不要となるので、地域においても省エネ効果が高いのだと思います。

さらなる廃熱の有効活用を目指す。

 当社では生産量の増加に伴い工場を増設しているため、まだ冷やす必要がある室内空間があります。また、40度程度の温度の高くない廃熱の活用方法についても検討を進めています。廃熱をうまく活用できれば、電気代削減にもなるし、ひいてはCO2排出量削減にもつながります。今後も、補助事業をタイミングよく活用して取り組むことが出来ればと考えています。
 入善町では、新たな深層水取水施設の増設も計画されています。BCPという観点でも、企業団地として必要だと思いますし、取水量が増えることで、当社だけでなく、他の立地企業も有効活用できるのではないかと期待しています。

環境負荷を低減し地球に優しい工場運営を進めていく。

 この他にも、食品残渣を焼却処分するのではなく、外部の処理施設でメタン発酵させてバイオガスエネルギーとして活用し、資源循環を図る取組も行っています。
 省エネに限らず、環境負荷低減による地球に優しい事業活動を展開することが、社会に求められており、当たり前の取組だと認識される時代に既に突入しているように思います。一般消費者からの評価はこれからだと思いますが、今後も環境にやさしい工場運営を進めていきたいと思っています。

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