総合的かつ大規模なエネルギー最適化による省エネルギー事業

株式会社加賀屋

平成29~30年度 エネルギー使用合理化等事業者支援事業

宿泊業

★ボイラ・変圧器・ディーゼルコジェネの高効率化とポンプ駆動のインバータ化
★EMS導入で既存設備も含めた運用効果を最大限引き出し、省エネ意識の醸成
エネマネ事業組み込み(補助率 1/2)
★省エネを通じてSDGsへ積極的な取組み、地域との共存共栄へアピール

ディーゼルコジェネの廃熱回収熱交換器
ディーゼルコジェネの廃熱回収熱交換器
  • 高効率ボイラの導入
  • アモルファス変圧器へ集約・更新
  • 新型ディーゼルコジェネで廃熱回収
  • 給湯・空調系ポンプをインバータ化
  • EMS導入で運転台数・スケジュール制御
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事業の概要

 石川県和倉温泉の老舗旅館である加賀屋は、旅行業界のプロが選ぶ日本のホテル・旅館100選ランキングにて不動の1位で知られ、多くの観光客に支持されている名実ともに日本一の宿泊施設として名を馳せている。
 その加賀屋が省エネ補助金を活用して高効率な設備への更新を行い、大きな省エネ効果を発揮している。平成29〜30年の2年に亘り、蒸気ボイラの高効率化、ポンプのインバータ化と変圧器の集約合理化更新、ディーゼルエンジン駆動のコジェネ効率化に加え、エネマネ制御による設備運用の最適化を狙ったものである。

導入設備の概要

○蒸気ボイラ
高効率ボイラ2t/h×2台を導入(A重油焚、ボイラ効率97%以上)
従来の2t/hボイラ4台は2台を残し予備機化

○ポンプ駆動のインバータ化
給湯・空調系のポンプ13台(11〜37kW)のモーター駆動をすべてインバータ化し、必要最少流量に設定

○受電変圧器
38年経過していた3台(300kVA×1、200kVA×2)を最新のアモルファス変圧器2台(300kVA、150kVA各1台)に集約・更新

○ディーゼルコジェネ
18年経過していたA重油焚ディーゼルエンジン600kW×2台を高効率かつ廃熱回収型580kW×2台のディーゼルコジェネ設備に更新回収蒸気の活用でボイラ燃料削減に寄与。夕方〜夜の電力ピークカット用にスケジュール運転しデマンド制御に活用

○EMS導入(エネマネ事業)
蒸気圧力1、給水流量2、A重油流量7、電力18、熱量3、温度22点を計測し、エネルギーを「見える化」
熱源機(蒸気ボイラ、温水ボイラ、蒸気吸収冷凍機など)台数制御、コジェネの電力デマンド制御、各種機器のスケジュール運転化で運用改善効果を発揮



A重油焚ディーゼルコジェネ
A重油焚ディーゼルコジェネ インバータ制御盤
インバータ制御盤
新設の2t/hボイラ 2基
新設の2t/hボイラ 2基
変圧器(手前が新設、奥の2台が既設)
変圧器(手前が新設、奥の2台が既設)

省エネルギー効果

事業所全体(宿泊棟4棟合計)で
平成28年度 3838.9kL/年 → 令和元年度 2965.4kL/年(原油換算値)
削減効果 873.5kL/年、削減率22.8%
当初計画値405.2kL/年、削減率10.6%の2倍以上を達成
内訳は、
ボイラ更新72、インバータ化215、変圧器更新8、コジェネ47、エネマネ59、その他473kL/年
計画以上の大きな効果は、更新機器の複合的な効果による上積みがあったこともあろうが、それ以上に「見える化」による運用改善効果の波及効果と、従業員の意識改革が引き出した日常の省エネ活動の積み重ねによると推察される。

事業者・事業名等

事業者名

加賀屋

所在地

石川県七尾市和倉町ヨ部80番地

業種

宿泊業

補助事業年度

平成29〜30年度

補助金事業名

エネルギー最適化による省エネルギー事業

総事業費

400.8百万円

補助金額

200.4百万円

協力企業

株式会社 日立製作所(エネマネ事業者)

これとは別に、平成31年度事業においても、以下の事業を実施している

補助金事業名

加賀屋 熱電効率化による省エネルギー事業

補助金額

81.7百万円

省エネルギー量計画値

335kL/年
・照明LED化(約10,000個) 287kL/年
・エスカレータ省動力化(5機) 6kL/年
・熱源設備の熱融通化     42kL/年
現在(令和2年度)、効果確認中

事業所外観
事業所外観
コンベンションホールのLED照明
コンベンションホールのLED照明

三井部長様へのインタビュー

三井部長様
施設統括部 部長 三井則由様

旅好きの方なら誰もが知っている和倉温泉の加賀屋さんですが、省エネ補助金交付事業者のリストを見ていたら載っているのに目が止まりました。
まずは取組みのきっかけからお伺いします。

私どもはお客様に快適な施設を提供することが使命であり、創業以来112年、この地で歴史を重ねてきました。建物や客室は必要の都度手を入れてきましたが、インフラ設備としてのボイラや変圧器などの老朽化が大きな課題になってきて、更新するにも自己資金だけでは限界があり、どうすべきか悩んでいたのが実態でした。
たまたま宿泊者様としてご縁があった日立製作所様に悩みを相談したところ、省エネ補助金を活用した設備投資ができるとのご提案を頂きました。
ただ設備を取り替えるのではなく、省エネを図り、無駄なエネルギーコストを削減する具体的な設備更新計画を作ってアピールすれば採択されるとのことでしたので、日立さんにリードして頂き具体的な設備仕様を検討し一緒に計画案を作成しました。エネマネ事業を組み込んで省エネ効果を最大発揮させることも盛り込みました。

複数年の事業規模としたのは、更新範囲の広さや工事期間の長さからですか?

ボイラや変圧器は1年目に実施できましたが、コジェネ(A重油焚きディーゼルエンジン駆動)の更新については納期の関係で1年では対応できなかったので2年度に亘る事業として申請しました。

一番苦労したのは工事の時期ですか?

そうですね。それまでは創業以来一度も休館することなく、いつでもお客様に来ていただけるようにするのが当たり前でしたので、2018年1月10〜11日に初めて2日間の全館停電期間を設けて休館とし変圧器の入替え工事を行いました。関係者は全員泊まり込みで復電後の設備点検に備え対応しましたが、その翌日から北陸地方は記録的な大雪に見舞われ、1日ずれていたらと思うと大変だったかもしれませんね。日立さんの総合力の凄さを実感しました。

省エネ効果は計画値を大幅に超える成果になっていますね。

事業所全体で見て計画値の2倍以上となりました。個々の設備の高効率化更新以外に大きな効果が出ていますが、これはEMS導入による「見える化」での運用改善が大きいこともあります。加えて、手を付けていない設備の運用改善やちょっとした改善の積み重ねと従業員全体への省エネ意識の広がりで、これだけの大きな成果につながったと分析しています。

なるほど、それはとても素晴らしいことですね。従業員全体への波及効果が大きかったと。

今回の工事による休館で従業員の意識が劇的に変化したと思います。だからこそ皆の省エネルギーを意識した日頃の活動が効果を発揮したのでしょう。
それからは、過去の統計データにて一番予約が埋まらない日を算出し、年間12日の休館日を設定しています。これで設備メンテナンスや工事が計画的に実施でき、それに従業員の働き方改革にもつながっています。

H31年度には、続けて別の省エネ事業を立ち上げていますね。

さらに範囲を広げて、「加賀屋 熱電効率化による省エネルギー事業」として、照明のLED化(未実施の共用部分中心に約1万個)、エスカレータの駆動力低減化(5台)と4棟ある建物間で熱源蒸気・冷水を融通し効率化できるような改善案を検討・申請して補助金の採択を受けており、工事はすでに完了していて、今は効果確認中です。
先の省エネ事業の効果で1種から2種特定事業者へランク移動できていますが、事業者クラス分け評価制度のSクラスを連続達成できるよう目指します。
この恵まれた自然環境を守り、地域との共存共栄を図り、次の時代に繋いでいくことが大切な使命であると心得ております。加賀屋本館としての設備更新は一段落ですが、和倉では他に3館の旅館も経営しており、そちらにも今後補助金を活用した省エネ設備投資の展開を積極的に図りたいと思っています。

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