経営企画部門のリードで計画的に設備を省エネ化

中日本ダイカスト工業株式会社

平成29年度 エネルギー使用合理化等事業者支援事業
★溶解保持炉の更新(設備単位の申請:低炭素工業炉)
★工場照明をLEDに更新(設備単位の申請:高効率照明)

平成30年度 エネルギー使用合理化等事業者支援事業
★コンプレッサを高効率化更新(設備単位の申請:高効率産業用モータ)

平成31年度 エネルギー使用合理化等事業者支援事業
★溶解保持炉の更新(設備単位の申請:低炭素工業炉)

ダイカスト部品製造業

更新したガス燃焼式溶解保持炉No.5号機
更新したガス燃焼式溶解保持炉No.5号機
アルミダイカスト設備模式図
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事業の概要

 アルミ合金・亜鉛合金のダイカスト部品製造企業であり、65tから670tまでの中小型サイズの領域で33台のマシンを揃えて自動車用部品、ガス器具部品を主体に工作機械部品の製造まで手掛けており、金型の製作から鋳造、加工、検査、出荷までを一貫して行っている。
 現在の事業所は、それ以前にあった岐阜県内5か所の工場を統合する形で2007年に新設され、第一種エネルギー管理指定工場となっており、これを契機に省エネへの取り組みを始めた。
 当初は、機器のこまめなON/OFFやエア漏れチェックなど、一般的な運用改善としてできることに取り組んでいたが、より効果的かつ抜本的な取り組みの必要性を感じ、設備の高効率化更新の検討を始めた。とりわけ工場のエネルギー使用量の約1/2を占める工業炉の更新を主体に省エネ補助金を活用した計画的な設備高効率化更新を継続的かつ計画的に実行している。
 平成29年度にアルミ溶解保持炉1基の高効率化更新と工場照明のLED化を行い、続いて平成30年度にコンプレッサ設備の高効率化を、平成31年度は溶解保持炉1基と継続的に補助金獲得を果たして更新工事を実施し成果を出している。

導入設備の概要

○平成29年度事業
・低炭素工業炉 1基(NO.16号機)
最新のガス燃焼式アルミ溶解保持炉に更新
アンダーホーメル炉(メイチュー製 UHM-20-060S)、能力0.20t/h
ホットプレート設置による間接溶解でメタルロス低減
溶解保持用アンダーバーナー設置にて燃費効率向上 

・LED照明 528台
鋳造、加工、金型工場および入出荷ヤードの蛍光灯41W×360台、高天井水銀灯415W×168台を、それぞれ12.5W、100WのLED照明に更新

○平成30年度事業
・産業用モータ 2台(No.6,7号コンプレッサ)
既設スクリューコンプレッサ100W×2台を最新の高効率機75W×2台に更新
三井精機工業製 ZV75AX、インバータ搭載
なお他2台はすでに高効率機に更新済みで、予備機2台を除く計4機で台数制御実施

○平成31年度事業
・低炭素工業炉 1基(NO.5号機)
最新のガス燃焼式アルミ溶解保持炉に更新
クリーンホーメル炉(メイチュー製 HMC-15-055NP)、能力0.15t/h
燃焼空気予熱機能内蔵のバーナー加熱方式
特殊耐熱スリーブ装備の材料投入タワーにて材料充填率向上


溶解保持炉 No.5号機
溶解保持炉 No.5号機
75kWスクリューコンプレッサ 6,7号機
75kWスクリューコンプレッサ 6,7号機
溶解保持炉 NO.16号機
溶解保持炉 NO.16号機
加工ヤードのLED照明
加工ヤードのLED照明

省エネルギー効果

平成29年度事業
・NO.16号溶解保持炉
事業実施前エネルギー使用量 62.9kL/年(原油換算値)
削減効果 15.73kL/年(計画値14.62kL/年)、削減率25.0% (稼働日数で補正)
・LED照明
事業実施前エネルギー使用量 91.9kL/年(原油換算値)
削減効果 68.64kL/年(計画値61.78kL/年)、削減率74.7%

平成30年度事業
・NO.6,7号コンプレッサ
事業実施前エネルギー使用量 233.1kL/年(原油換算値)
削減効果 66.20kL/年(計画値57.18kL/年)、削減率28.4% (稼働日数で補正)

平成31年度事業
・NO.5号溶解保持炉
事業実施前エネルギー使用量 112.6kL/年(原油換算値)
削減効果(原油換算値) 78.46kL/年(計画値49.18kL/年)、削減率69.7%

事業所全体で見ると、
平成28年度 エネルギー使用量(原油換算値) 3,522kL/年、原単位(指数)1.0
平成29年度 エネルギー使用量(原油換算値) 3,872kL/年、原単位(指数) 1.16
平成30年度 エネルギー使用量(原油換算値) 4,126kL/年、原単位(指数) 1.27
平成31年度 エネルギー使用量(原油換算値) 3,177kL/年、原単位(指数) 1.14
生産規模の変化、品種構成差の影響が大きく、また、平成30年度は製造過程で特別に稼働時間が増えるような事情が生じたので、上記の省エネ効果が明確に表れていないが、平成29年度→平成31年度を見ると、エネルギー使用量、原単位指数とも削減されている。

事業者・事業名等

事業者名

中日本ダイカスト工業株式会社 本社工場

所在地

岐阜県各務原市那加山崎町87番地1

業種

ダイカスト製品・金型製造業

補助事業年度

平成29年度、30年度、31年度

補助金事業名

本社工場の省エネルギー化事業

総事業費

平成29年度 25.47百万円
平成30年度 7.38百万円
平成31年度 11.53百万円

補助金額

平成29年度 7.50百万円
平成30年度 2.13百万円
平成31年度 3.48百万円
各年度とも設備単位区分の申請、補助率1/3

協力企業

共友リース株式会社(共同提案者)

事業所外観
事業所外観

長尾経営企画室長様へのインタビュー

執行役員経営企画室長 長尾憲三様
執行役員経営企画室長 長尾憲三様

御社はここ数年、省エネ補助金を活用されて設備の高効率化を精力的に行っておられますが、まずは取組みのきっかけからお伺いします。

当社は2007年にこの地に工場を集約し、エネルギー管理指定工場になりましたが、当初は蛍光灯や空調の入り切りの管理やエア漏れチェックなど、ありきたりの省エネ取り組みしかできませんでした。7~8年経ってこれまでの取り組みに限界を感じ、高効率な設備への更新による抜本的な改善を活動の柱とするべく舵を切りました。

省エネ補助金という仕組みはご存じでしたか?

その頃、中部経済産業局主催の省エネセミナーで省エネ補助金という仕組みを知りました。アルミダイカスト製造ラインの基幹設備である溶解保持炉は、設備寿命が短く(法定耐用年数8年)、耐火物の劣化や熱変形などで作業性に支障が出たり、燃費が悪化するなど悪影響が出てその都度補修工事をしても限界があったりで、結構短い周期で設備を入れ替えている状況にあります。したがって、炉の更新時に最新の省エネ性に優れた設備を導入するのが効果的な省エネ策となると判断し、33台のダイカストマシンそれぞれに炉を持っていますので、順次計画的に炉を更新することを考えました。当然ながら投資が必要ですが、補助金申請のノウハウがある設備リース会社さんに共同申請者となっていただいて事業を進めてきています。

申請区分でいうと設備単位の区分に低炭素工業炉がありますね。

ええ、リース会社さんと話をする中で、工業炉以外の設備も更新して省エネになるなら申請してみようと。照明やコンプレッサも補助金の活用で更新できました。    実は、補助金の活用は今回の一連の申請が初めてではなく、平成26年度補正予算で公募のあった省エネルギー機器導入支援事業から始めており、設備寿命が迫ってきて更新時期にある溶解保持炉を中心に順次申請していて、今年も申請し継続して採択を受けています。

なるほど、計画的に更新投資を行っているのですね。

こういう企業活動は、製造現場から上がってくるニーズを企画部門で評価し投資に値するかを判断するのが普通というか一般的なんでしょうね。当社は企画部門が主導する形で省エネ補助金を使った省エネ投資を計画的に進める形を採っています。中小企業でこういった経営企画室がリードするやり方は珍しいのかもしれません。それだけトップダウンで進めているので現場からは喜ばれていますし、生産性や品質の向上効果にもつながっています。

生産性向上や品質向上以外にもどんな効果があったでしょうか。

当然、設備の故障率低下や安定稼働にもつながりますし、社員の省エネ意識が高まり、日常の運用改善も幅が広がってきていると感じます。エネルギー管理士試験合格者も増員でき、他の資格にもチャレンジするなど社員のスキルアップ意識が向上しています。

申請はスムーズにいきましたか?

当社のような中小企業ではエネルギー分野の人材や財務知識などリソースに限界があり、最初の頃は補助金取得から工事、成果報告など一連の事業の実行がうまくできるかどうか不安がありました。以前からお付き合いのあった外部コンサルの方に的確なアドバイスをいただき、さらにリース会社の実務支援で社員の負荷が予想したほどかからずうまく出来ました。とはいえ、国費を使って設備更新する重みや責任を実感しており、また綿密な資金調達計画の重要性を実感しています。

省エネ効果は実感できていますか。

更新した設備の省エネ効果は実績として申請時の計画値以上に発揮できているとの評価になっています。実際に炉の燃費も下がっていますし、コンプレッサ動力も削減出来ています。ただ、工場全体で見て年度単位ではエネルギー原単位が必ずしも下がっていない年度もあり、この辺りはエネルギー管理面で一工夫して省エネ投資効果を明示できるようになればと思っていました。受注量や品種によって製品の構成差が大きく変動するので、いわゆる「原単位の分母」について単に生産量トンではなく、より合理的な管理につながるような指標を検討してみようと思います。

中小企業で省エネの取り組みを考えている方に何かヒントがあればと思いますが・・・

そうですね、はじめは手探り状態で、運用改善でやれることから始めたのですが、そのうち行き詰ってネタがつきてしまい、専門的な支援を仰ぐことで活動の再開のきっかけをつかみたいと考えました。省エネ診断を受診し改善テーマをいくつかもらいましたが、そこで気づいたのは、老朽化している設備自体の効率を高めるには、思い切って高効率化更新をしないと抜本的な省エネ効果が得られないということでした。経営にとっては設備投資は財務面で決して容易ではないですが、得られるコストダウン効果と老朽更新のメリットをしっかり把握し、補助金制度を最大限活用して少しづつでも更新投資をすることだと思います。特にダイカスト設備では炉の劣化が早く設備寿命がなかなか伸ばせないので、我慢して使い続けるのはやはり無理があり、最近は炉メーカーさんの技術進歩もあるので期待が大きいです。欲を言えば、もっと設備を長寿命化してもらいたいのですが・・・この業界では皆さんこれで悩んでいるみたいですね。

今後も補助金活用を計画的に進めていかれるのですね。

ええ、溶解保持炉はダイカストマシンそれぞれに1基づつ設置していますので、計画的に更新して行かねばならないということです。令和2年度もNO.3炉の更新で補助金をいただきました。省エネの取り組みを事業の継続と発展を支える活動と位置付け、リース会社と連携しつつ、今後も経営企画室主導で進めていくつもりです。

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