PRODUCT逸品

長江紙器株式会社(愛知県春日井市)

ooparts-001corncob:コーンコブ(組立てスツール)

商品の特徴

100%ダンボールのパーツを組み立てできるスツールcorncobは、親子で組み立てを立体パズル感覚で楽しめて、おうち時間を豊かに

 ころりんと丸く、側面はダンボールの断面の波模様が特徴的なcorncobは、子ども向けのスツールとしてだけでなく、サイドテーブルなどとしてインテリアのアクセントになる逸品。

 強化ダンボールを特殊な構造に組み立てる設計により、接着なし、工具なしで、76のパーツを組み合わせるだけで完成し、軽量(1.5kg)なのに、耐荷重800kgの高い耐久性を実現。

 組み立てるプロセスをアクティビティとして、できたスツールをインテリアとして、おうち時間を豊かにします。

仕様・価格
corncob stoolの場合
[素材] ダンボール
[サイズ]直径280mm×高さ220mm
[重量] 約1.5kg
[耐荷重]約800kg
[価格] 7,920円(税込)
※2021年4月下旬より一般発売開始予定。
ホームページ
「corncob」[クラウドファンデングサイト]
「AICHI DESIGN VISION」[一般販売サイト]
SNS
「corncob」[Instagram]
PROFILE企業プロフィール

株式会社セイワ

企業名 長江紙器株式会社
代表者 代表取締役 長江 晃
所在地 愛知県春日井市高山町2-16-9
設立年 1967年(昭和42年)
資本金 1,000万円
従業員 34名(パート含む)
事業内容 各種緩衝材、組仕切り、パットなど付属内装材貼合ダンボールの設計・製造
電話番号 0568-31-5887
ホームページ 長江紙器株式会社

長江紙器株式会社(愛知県春日井市)

 1967年創業。自動車部品や家電製品などのダンボール製梱包資材、緩衝材、化成品内装材の設計・製造・販売を行う。近年は、設計開発能力の強化、少ロット生産、短納期対応能力を高めるために、カッティングプロッターやインクジェットプリンター設備を充実させている。
 また、2016年からダンボール事業での航空機産業との取引をきっかけに、子会社(株)nTECHを設立し航空機部品に特化した耐熱合金用の工具製造の設計製造に取り組む。
 ダンボール製造、工具製造のいずれの事業も、顧客の問題解決を第一に、設計提案を積極的に行う。

INTERVIEW創り人にきいてみよう

創り人

NAGAE AKIRA
代表取締役 長江 晃 さん

corncobは、初めての自社開発商品とのことですが、どのようなきっかけで取り組まれたのでしょうか?

 コロナ禍での事業環境の激変が大きなきっかけです。当社ダンボール事業は、100%BtoB向けです。ダンボールといっても、ミカン箱のようなシンプルなものではなく、特定の工業部品の形状にあった緩衝材付のダンボールを設計し、製作しています。
 例えば、自動車外装部品では、取引先の要望に応じて、輸送時の破損やキズ防止のために、不織布・プチプチ・ウレタンなどの緩衝材と、組仕切など、梱包する部品に応じた付属内装品を含めて設計から行っています。1日に数百個製造する量産品もありますが、家電製品など機種品番ごとに形状が異なったり、ダンボールに印刷する機種番号が異なるなど、小ロット(5個程度)の需要がありますので、当社は小ロット品を得意としてきました。
 特に、私が入社した後は、強化ダンボールに対応できるカッティングプロッターや、短納期のため自社内で印刷までできるように大型のインクジェットプリンターを導入するなど、当社が培ってきたダンボール設計技術を活かし、試作段階からの取引や、小ロット・短納期対応の強化に力を入れました。
 そして、高い成長が期待されてきた航空機部品については、部品の種類が多く、海外輸出に向けて丁寧な梱包が求められるため、当社の力が発揮できる分野として取引を広げてきたところでした。
 ところが、コロナ禍により、様々な産業の部品生産が落ち込み、特に、航空機業界の状況が一変。当社は、航空機部品向けが2割ほどを占めるようになっていたため、大きな影響を受けました。
 そんな中、外部デザイナーと「Afterコロナ生活を楽しくする商品」を開発できるというお話をいただきました。BtoBでは、当社なりに自社の強みを活かして仕事の幅を広げつつあったのですが、将来予測が一変する事態に対して、どう対応すべきか答えが出ない状況の中、今こそ新しいことにチャレンジすべきだと思いました。

写真は、航空機エンジンのシャフト。従来、発泡緩衝材だった部分を段ボールでの組立内材への変更を提案し採用された。

corncobは、どうのように開発したのでしょうか? 

 ダンボールは、ダンボールを作る段階での古紙利用率90%以上、ダンボール利用後の回収率95%以上という、エコフレンドリー素材です。しかし、身近過ぎるのか、素材自体に高級感・プレミア感はないので、社内の発想では、事業性のあるような商品開発は難しいだろうと、かねてから思っていました。
 このチャンスではデザイナーの石垣さんによる新たな視線で、ダンボールの魅力を引き出すデザインをしていただこう、と思いました。当社としては、これまで強化してきた、設計、試作の力を活かして、デザイン-設計―試作のサイクルを素早く回すことで、短期間で突き抜けた商品開発に結びつくように努めました。


共に商品開発に取り組んだのは石垣 純一さん。本業ではメーカーで医療分野のUI/UXデザインに従事する。

corncobの開発は、どのような流れでしたか?

 7月に石垣さんに工場内で当社の強みなどを見てもらってからは、コロナ禍もあってオンラインでの打ち合わせが中心でした。石垣さんが作ったデザインデータをメールでもらい、当社の設計担当がCADに変換して、カッティングプロッターでカットして組み立て、写真又は現物を送ったりフィードバックしたり、といった流れです。
 石垣さんからは夜中にデータが届くことが多かったので、翌朝から設計、試作して即日で対応するなど、10月中旬にcorncobに決まるまで、数十といっていいほど、たくさんのデザイン-設計―試作のサイクルを回しました。私の前職(重工メーカー生産技術者)の経験もあって、DTC(Design To Cost)の観点からも設計、構造、品質面から意見を伝え、改良を重ねていきました。
 当初は、ランプシェードや、フロアマット、イスなど、全く違う商品も候補にありました。また、corncobは組み立てプロセスも楽しむ商品になっていますが、はじめは、完成品としてインテリアになるデザインとなることに主眼を置いていました。開発のサイクルを回す中で、パーツの状態で商品化し、コロナ禍のおうち時間で組み立てという作業を子どもが楽しめるようなアクティビティにしてはどうか、というアイディアが生まれました。


試作品のひとつ、円形のダンボール製フロアマット。

corncobの特徴はどんなところですか?

 まずは、完成品をインテリアとしてみていただけると嬉しいです。ダンボールは、波形に成形された中芯にライナーという厚い紙を貼り合わせたものです。 垂直水平の断面は、日常で見かけると思うのですが、45度の角度をつけて切断することで、中芯切断面の波模様が美しく、それを寄せ集めることで、特徴的な断面のスツールになったと思います。

 また、アクティビティとしての特徴ですが、100%ダンボール製の76パーツを工具や接着材を使わず、素手だけで組み合わせて完成します(大人だと40分程度)。
 断面のデザインのために、45度の角度をつけつつ、パーツの形状・配置をどうするかで、商品に必要となるダンボールの枚数=コストが変わるので、デザインやイスの構造・耐久性と両立させながら、試行錯誤の結果、68cm×42cmの強化ダンボール6枚にまとめました。
<手順>
(1)パーツを外す;パーツの切り込みが入ったダンボール6枚から、「ぱこっ」と指でおしてパーツを抜き取ります。
(2)脚を組む;土台になるダンボールに、脚70パーツを組んでいきます。数が多いのでブロック遊びの感覚でじっくり楽しめます。
(3)天板をはめる;脚をギュッとまとめながら天板をはめて、完成です。


側面は70枚のパーツが中芯の断面を見せるような構造。

初の自社開発商品ということですが、品質・耐久性の確認や、知的財産権についてはどのようにされましたか?

 形状や構造が全く新しい商品ですので、耐久性について数値で説明する必要があると思い、あいち産業科学技術総合センター(公設試)で、耐荷重試験を行いました。 わずか1.5kgの商品ですので、耐荷重300kgくらいを目指して構造に気を配っていましたが、試験の結果、想定を上回る800kgに耐える強さがあることが分かりました。
 また、初めての自社ブランド商品を発表前に商標登録をすべきだと思い、INPIT愛知県知財総合支援窓口に相談に行きました。すると、特殊な構造で高い耐荷重を実現した構造について特許出願ができるのではないかとのアドバイスいただきました。 手間はかかりましたが、相談員さんに助言をいただきながら、商標出願はもちろん、自力で特許明細書を作成し、特許出願も果たしました。


1月30日に開始したクラウドファンディングは目標達成で終了し、corncobは4月下旬から一般販売開始されます。corncobや御社の事業の今後の展開はどうお考えですか?

 corncobの一般販売開始イベントは、親子体験会を計画しています。子どもたちにダンボールに触れて楽しんでもらい、その様子をcorncobのシリーズ化のヒントにできたらと思っています。ECサイトやSNSを活用して、ターゲットとなる方にお届けしたいと考えています。
 クラファンで注目いただいた後、大手生活雑貨ショップや、JETROの紹介でフランスの日本雑貨を扱うインテリアショップのバイヤーとの商談を控えています。また、英字新聞THE JAPAN TIMIESにもcorncobの写真を大きく掲載いただけました。エコに敏感なヨーロッパでは、ダンボールを素材とするインテリアが評価されているとも聞きますので、今後の展開を楽しみにしています。
 corncobは、当社としては従来の事業分野を超えたチャレンジです。従来事業、特に航空機部品向けでは厳しい事業環境が続くかもしれません。全社的な事業のバランスや、それぞれの事業性を見極めつつ、corncobもシリーズとして育てていければと思っています。

商標のcorncob:コーンコブは、「とうもろこしの芯」。子どもが大好きなとうもろこしのように長く愛されることを願って命名。

upcoming逸品では、AICHI DESIGN VISION(以下「ADV」)連携企画を4回シリーズでお届けします。
ADVは、(株)AMNが主催し、愛知県を中心としたモノづくり企業と、その企業の技術に惹かれ想いに共感したデザイナーを繋ぎ、 コロナ禍において立ち上がったプロジェクトです。4か月という短い期間でオンラインにより打合せを重ね、新商品開発に取り組みました。

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