PRODUCT逸品

株式会社加藤数物(愛知県豊川市)

monohito monohito:ものひと(ものづくり体験事業)

商品の特徴

「ものづくり」+「ひとづくり」~ものづくりから学び、人と人がつながる場づくりに挑む~

 自動車部品製造を中心とする金属プレス加工の町工場が、自社のルーツである教育「ひとづくり」と「ものづくり」の原点に立ち戻って、ものづくり体験事業を立ち上げ。
 ものづくりから学び、ものづくりを通して人と人がつながる場をつくる取り組みは、自社ブランド商品開発にもつながるなど、自社の原点や強みを活かした新しい価値を生み出しています。

仕様・価格
工場見学+ものづくり体験「カラビナカトラリーづくり(2つ)」の場合
サイズ:スプーン・フォーク長さ約11.5cm、ミニスプーン長さ約9cm
体験料:アルミ素材2,500円、真鍮素材3,500円(税込、材料代含む)
ホームページ
「monohito」(ものひと)[ものづくり体験事業]
「k+」(ケイ・プラス)[自社ブランド]
「hitode bracket」(ひとで・ぶらけっと)[幾何学ドーム金具]
PROFILE企業プロフィール

加藤数物

企業名 株式会社加藤数物(かとうすうぶつ)
代表者 代表取締役 加藤 昌明
所在地 愛知県豊川市足山田町西川94
設立年 1932年(昭和7年)
従業員 16名
事業内容 金属加工、プレス加工品製造
電話番号 0533-93-2048
ホームページ 株式会社加藤数物
SNS Facebook[加藤数物]

Instagram[加藤数物]

株式会社加藤数物(愛知県豊川市) 

 1932年創業。数物(すうぶつ)という社名は、創業時に数学や物理の教材を手がけていたことに由来。木製の学校教材の製造・販売からスタートし、その後金属加工分野へ進出。日用品や建材の部品の製造などを経て、現在の主軸となっている自動車部品の製造を開始。創業から88年、優れたプレス加工技術で自動車部品などを作り続けている。
 2006年に創業者から4代目となる加藤晶平さんが入社。2012年教育やものづくりといった自社の原点に立ち戻って、自社の原点や強みを活かした新たな取り組みを始める。
 

INTERVIEW創り人にきいてみよう

今月の創り人

SYOHEI KATO
取締役 加藤 晶平 さん

入社当時、自動車部品製造が主要事業だったとのことですが、新事業に取り組むきっかけは?

 当社は、曽祖父が数学と物理の教材を製造・販売する会社として創業しました。当初は木製教材の加工でしたが、その後、多種多様な金属加工の仕事を請けるようになり、1970年以降は自動車部品を中心に建材部品や農業設備器具などを製造し続けています。
 私が2006年に入社して気づいたのは、元請けの製造拠点の海外展開や現地調達化の進展によっては、今製造している部品の市場は縮小していくのではないかという危機感と、いわゆる下請けという立場は自己でコントロールできる領域が少ないということです。一方で、製造現場で地道に仕事を覚えるうちに、自社には自社なりの良さや優れたプレス技術があることも分かってきました。

 しかし、自社から出荷する段階では、いち部品であり、複数の納品先を経て最終製品となることから、エンドユーザーの反応を得る機会がなく、スタッフもやりがいを見いだしにくく、日々機械と向き合うだけではなく、お客さんとの関係性を築くことで、自社を進化させられるのではと思いました。



“コトづくり”という言葉が耳に馴染む前の2012年に、先駆けとなる体験事業開始されています。どのように「ものづくり体験事業」にたどり着いたのでしょうか。

 まず、社名に「数物(すうぶつ)」という数学物理の教材販売で創業したという原点が残っているとおり、自社のルーツである「教育」と「ものづくり」っていうのを大事にしたい、という思いがありました。
 自分自身は、自然豊かな豊川市で生まれ育ち、家業が町工場であって、子供の頃に家族でキャンプをしたり、社会人になってからも自然学校でボランティアしたりと、身近に「ものづくり」があったのですが、今の子供たちって完成品に囲まれていて、素朴な「ものづくり」を自分の手でする機会が減っていると思うのです。

 「ものづくり体験事業」では、一例として、プレスで切り抜いたアルミや真鍮の板をお客さんが木槌で叩いて、オリジナルのマイスプーンをつくるのですが、金属を叩いて形を変えるっていう、原始的ともいえるものづくりさえ、今の時代は貴重になる中、年齢とか性別を超えた人たちが体験から学ぶような場づくりを提供したら喜ばれるのでは、と思ったのです。



大規模イベントでは、行列ができてスタッフを増員してあたることも

「体験型ワークショップ」を採算事業として行うという発想はユニークであるがゆえに、どう収益を得ていくのかなど、立ち上げはいかがでしたか?

 当初は、どういうイベントでどういうやり方で出店したらいいか、まったくの手探りでした。最初に参加したイベントでは、物産展にスーツを着て出向いたりして、その場に立って場違いだって気づいたのは、もはや笑い話です。試行錯誤を繰り返しながら参加いただいた方や知人に趣旨のあうイベントや施設を紹介してもらって活動の場を広げていきました。
 2017年には、広告代理店勤務経験のあるスタッフが運営に加わって体制が少し整ったことで、デザイナーなどへの外注コストをかけることなく会社のロゴや、HPやパンフレット等での情報発信を強化することができました。
 最近ではアウトドア系のイベントに出店が多いです。料理研究家とマルシェに共同出店して、つくったスプーンでカレーを食べるっていう試みも好評でした。
 そして、場数を踏んで得た経験をもとに、子ども向けに金属の性質を学ぶ実験講座も開発しました。トヨタ産業技術記念館をはじめとした様々な施設で、ものづくりを体感する情操教育型の講座をさせていただいています。

 さらには、子供だけではなく新社会人や社員の研修向けの、ものづくりやチームワークを養うプログラムも展開するなど、取り組みを加速させています。



製造業の企業の新入社員研修

自社ブランド「k+」(ケイ・プラス)についても、お聞かせ下さい。

 ものづくり体験事業では累計4千個を送り出しているスプーンですが、このようなアルミ製のスプーンは、素材・軽量・コンパクトにこだわるアウトドア派の方に喜ばれます。「k+」というブランドを立ち上げて、自社の技術で成形したスプーンを自社ブランドとして売り出すことにしました。
 ブランド名の「k+」は、会社名のロゴにも使用しているのですが、加藤の頭文字のKと、漢数字の「十」(とう)で「かとう」とも読めます。「十」を進化やポジティブな意味がある記号の「+」に置き換えて、「k+」(ケイ・プラス)としています。

 商品やパッケージなどにもこだわって自社ブランド商品として『k+ MINI SPOON』を商品化しています。アルミの熱伝導率の高さが活きて、握る手の温度が伝わって掬いやすいアイスクリームスプーンとしてもオススメです。

 ものづくり体験事業の場で、思い出の詰まった土産として買ってくださる方や、紐がレザータイプは名入れもできますのでギフトに買っていただくことも多いです。 常設の売り場としては、小さなお店が集まったニューショップ浜松の実店舗とオンラインショップで販売しています。


『k+ MINI SPOON outdoor』。紐を付けたまま食洗機でも洗浄可能。

「hitode bracket」(ひとで・ぶらけっと)についても、お聞かせ下さい。

 2020年2月に、新たな取り組みとして、幾何学ドーム金具を売り出しました。ホームセンターで売っているような一般的な角材とビス留めすることで結節点となる金具です。金具の穴の位置や形状を工夫しているので、この金具のガイダンスにあわせて角材をビス留めすると、耐久性のあるドームの骨組みができあがります(サイズに関係なく、hitode bracket 26個、角材65本、ビス300本で完成)。
 金具の形がヒトデのような形なのも理由ですが、一人で組み立てるのではなく、仲間や家族と協力してつくるものなので、「ひとのて」を結ぶという意味合いも込めて命名しています。

 DIYのツールとしてドームの形も購入者でどんどん工夫して、いろんなドームが出回ってほしいと思っています。既に購入して組み立てていただいたフリースクールや遊園地施設では、校庭や広場スペースに様々な大きさのドームを並べて子供たちが楽しんでくれています。


金具は2種類、6角形のhitode6と5角形のhitode5。

新型コロナウィルスの影響が経済社会活動に大きな影響を与えており、ものづくりの現場に欠かせない人と人との直接の接触が制限されるなど、誰も先行きが見通せない事態に直面しています。

 出店予定のイベントが今は全て中止になっています。それでも、下を向いてばかりではいられません。フリースクールの校庭にあったhitode bracketでつくったドームが、屋内での開催が危険視された卒業式の会場になったり、思いがけない活用も生まれています。また、三密をさけるためにアウトドアやキャンプも改めて注目されています。

 「ものづくり」や「ひとづくり」の本質的な大切さは変わることがありません。世の中の状況や変化に対応した事業そのものや、やり方を考えて、これからも展開していきます。

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