取材:2022年1月
同社は、平成8年に設立されたシリコーンや超柔軟ゲル素材の製造加工販売メーカーです。独自開発素材「クリスタルゲル®」・「タフシロン®」・「メディピュール®」を生み出し、美容・ヘルスケア製品のほか、医療分野・ロボット・航空宇宙分野と製品領域を広げています。中でも、医療用シミュレータは国内外からニーズが高く、皮膚や臓器、血管等のモデルを製造販売しています。
模擬皮膚・模擬筋肉・模擬腱・模擬骨を組み合わせた可視化ハンド
医療用シミュレータの1つである模擬骨は、現状、海外製品が国内シェアの8~9割を占めています。海外製品は、輸入コストがかかり納期に時間を要する、骨格が欧米人仕様のため日本人(アジア人)には大きすぎるといった課題があります。同社が開発した模擬骨は、短納期で、日本人(アジア人)の骨格データに基づく模擬骨ができ、カスタム対応が可能といった優れものです。
ところが、JIS(日本産業規格)のT0311及びT0313の本文に「模擬骨はSawbones社(米国)製を選択するとよい」旨の記載があったため、関係業界内において模擬骨はSawbones社のものを使うという共通認識があり、同社が製造する模擬骨の市場開拓を進めるにあたって大きな壁となっていました。同社は、JISの原案作成事務局である産業技術総合研究所の専門家らに粘り強く働きかけ、結果、同社の模擬骨がSawbones社製のものと遜色ないことが認められ、令和4年2月25日にJISが改正されました*。今後は、人体用だけでなく、動物用の医療用シミュレータにも展開しようと取り組まれています。
*JISの本文からSawbones社に係る文言は削除。JISの附属書に「T-bone及びS-boneは、TANACBONES及びSAWBONESでの結果を示す」との注記のもと、同社とSawbones社の模擬骨の測定データが掲載された。
TANACBONES(模擬骨)
新型コロナウイルス感染症拡大を機に、同社では超柔軟ゲル素材に関するノウハウを活かしたマスクカバー「マスピタ」を慶応義塾大学と共同開発。柔らかいゲルによるマスクの隙間をなくすことで、飛沫の隙間漏れや侵入を防ぐ製品です。これまでに10万枚以上を売り上げ、同社を代表する製品の1つに成長しました。令和3年10月には、内視鏡検査時に患者の口から漏れる飛沫軽減が課題となっていることに着目し、医療法人山下病院と共同で、感染リスクを軽減させる「マスピタ」応用製品を開発。単回使用で大量消費・廃棄されている他社製品に比べ、洗浄・消毒可能で繰り返し使えるため、環境にも配慮しています。
共同開発に積極的に取り組まれており、超柔軟ゲル素材のトップニッチメーカーとして、医療現場を取り巻く課題の解決に向け常にチャレンジし続けている同社。今後も超柔軟ゲル素材にフォーカスし、更なる研究を重ね、社会貢献していく会社を目指しています。
企業名 | 株式会社タナック |
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HP | https://www.k-tanac.co.jp/ |
お問合せ先
- 中部経済産業局 地域経済部 航空宇宙・次世代産業課
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メール:bzl-healthcare-chubu■meti.go.jp
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最終更新日:2025年4月25日