企業の取組事例

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企業の取組事例

株式会社エヌテック

顧客への提案力強化を目指し、見える化目標の共有からスタート

株式会社エヌテックは「容器の動きを科学する」をミッションに、装置開発設計から製造まで全て自社で行う生産設備装置メーカーで、設計、制御、画像処理、AI・IoT、ハンドリングの5つの技術を強みとしている。顧客への提案力向上を目標とし、社内のものづくりをスマートにしたいという思いから、2021年4月に3名のDX課を新設し、DXに着手。
最初は何から始めてよいか分からず、身近な小さなことでも良いので見える化したい事項とその取組について毎月DX取組み報告(社内見える化会議)を行うことからスタートした。当初は何を発表すれば良いか分からないという雰囲気があったが、他部署の取組発表を聞いて自部署に展開するなど、自分たちで効率化を進めるという考えが徐々に定着した。また、毎月実施される社内全体会議でDX取組み成果の情報を共有し、報告会に参加しない社員を含め全社社員へ浸透するように取り組んでいる。
報告会で発表された取組の進捗はExcelで管理・共有し、必要に応じてDX課が各部署のサポート相談に乗るなど、全社でのDX推進に向けた牽引体制を作った。

オンライン「社内見える化会議」の様子

タイムラグの無いオープンな情報共有のメリット

画像処理技術を強みの一つとする同社では、6年前から岐阜大学とAIに関する共同研究を行っている。 そこで出会った先生に、報告会で発表される見える化の取組内容で活用できる、身近なツールやAI/MR/AR等の先端技術情報、利用上の注意点などについてアドバイスをもらい、DXの取組を推進している。見える化・デジタル化したいと思った際に、気軽に相談できる窓口があることが非常に大きな推進力になっている。
また、DXで活用するツールは固有(特化)製品ではなく、誰でも手に入るツールの活用がポイントというアドバイスを受け、Microsoft365 Teamsを導入。案件ごとのチーム設定や画像・動画の投稿などでわかり易さを重視し、全社員が各案件の進捗状況やトラブル等を共有・把握できるようにした。この取組の先に、トラブル発生前から進捗状況・問題・課題を把握・共有し、トラブル発生時には装置の状況や状態動画を共有、本社技術者が現地に行かずともリアルタイムに状況を把握するができるようになることで、スピーディなトラブル対応=お客様満足度向上やトラブル対応コスト削減の実現を目指している。
更に、Teamsに投稿されるトラブル情報をまとめ、事例集を作成。過去のトラブル対応検索チャットボット機能をスマホでも利用できるようにして、何かあった際に過去の事例を見て対応できる仕組みを検証中。最終的には、トラブルを未然に防ぐことができるよう情報収集を継続的に実施している。
DX推進について当初は現場からの反発もあったが、こうした取組を継続したところ、ITツールを活用することで作業性が向上するなど、従業員自身がメリットを実感できるケースが増加。全社員の認識合わせに繋がるようDX課を中心とした活動を継続している。

Teamsを活用したリアルタイム情報共有

取組の中で育つDX推進人材とデータの組み合わせ方

これまでExcelとメールで報告・管理していた日報を、スマートフォンでどこでも簡単に入力できる日報アプリを社内で作成し、DX課より全従業員へ配布した。
この日報アプリにより、日報入力の頻度・精度が飛躍的に向上し、個々の従業員がどの作業を何時間行ったのかという時間実績を素早く把握できるようになった。更に、日報からあがってくる作業内容と時間のデータを一元管理・集計し、作業内容項目で分析したところ、実業務に関わる時間のうち、移動時間が最も多いことが判明。リモート対応できるようにするべく、MR/AR技術を使った遠隔支援ツールの開発・導入メリットの裏付けとなった。
また、各従業員の作業内容・作業時間(実績)データと作業計画時間を比較することで、目標に対する進捗率や作業コストをリアルタイムに把握できるようになった。現在は、作業員に負担のない方法で業務成果情報を収集し、作業効率の変化を数値化する仕組みの構築に着手。
こういった取組を進める中で、ITに関心がある従業員が自主的にデジタル技術を習得し、現場の声を受けてさらに使いやすくなるようアプリを改善するなど、業務でIT活用できるDX人材が自然に育ち、積極的に取り組むようになったことは大きな成果だった。

社内開発した日報アプリ

「人」を大事にするデータ活用×経営の実現

今後は、これまでの取組から蓄積された工数データ等を踏まえ、どの従業員にどの業務を割当てると、どれだけの時間で業務が完了するのか等を予測し、最適な業務の振分けを検討することで、データに基づいたプロジェクト編成計画や従業員配置計画が立案できるようになり、受注案件に対する売上予測精度が向上、経営判断における重要な指針となることを目指している。
さらに、主観的な判断になりがちな人事評価にも、データを活用することを検討。作業内容、経験年数の作業基準やどれくらいの成果があれば次の役職に進むことができるかを明確にする「人事評価の基準作り」を目指しつつ、個人の成長の見える化・モチベーションアップに繋げることも目指している。但し、他人と比較し優劣をつけることで従業員のモチベーションを下げる仕組みにならぬよう注意が必要と感じている。
また、同社で実際に行ったDX推進の取組を同規模の中小企業へアドバイスする、DX推進サービスを新たな事業として立上げ、新しいビジネスの構築に取組んでいる。

担当後記

工数・顧客データといった社内のデータを既存のツールを用いてリアルタイムに収集し、外部人材の力も借りつつ改善し、データを経営判断や人事配置の最適化に活かす好事例である。

Company
PROFILE

会社概要

団体名 株式会社エヌテック
社長 堤 俊一郎
所在地 岐阜県養老郡養老町豊字川原134
従業員数 179名
設立 1988年
HP https://www.ntech.co.jp/
(代表取締役 堤 俊一郎)
(代表取締役 堤 俊一郎)

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