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中部発きらり企業 Vol.90

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協和工業株式会社
ジョイントのあるべき姿を追求して独自の冷間鍛造製法を開発、自社開発にこだわり高精度・高品質なジョイントで自動車や産業機械の安全性、快適性を提案

 今回は、協和工業株式会社の鬼頭佑治社長にお話を伺いました。同社は、自動車や産業機械の動力伝達を自在に変換するユニバーサルジョイントの専門メーカーで「KYOWA」ブランドとして知られています。自社で開発した冷間鍛造製法によるステアリングジョイトは、高品質で機能性が優れ自動車や産業機械に広く使われています。近年の車の高機能化に伴い「柔らかく、滑らかに揺動する」「アソビが少なく、応答性がよい」といった操作の快適性を実現する新商品を開発し、車分野などの販路開拓に取り組んでおられます 。
 
協和工業株式会社  [社屋]
 
【協和工業株式会社  [社屋] 】
インタビュー
御社の創業からユニバーサルジョイントの専門メーカーとなられた経緯をお教えください。
 
説明 鬼頭社長
 私の父が、当時の豊田自動織機の自動車部で働き技を磨いて、1942年にゲージ職人として個人創業しました。豊田自動織機の下請けをしていたのですが、1952年にトヨタ系工作機械メーカーから、エンジンの製造ラインにあるジョイントが壊れて機械がたびたび止まるため、壊れないジョイントを作ってほしいという依頼を受け、職人の技で、作り方や検査方法をいちから考案をして製造しました。それが壊れない耐久性のある部品だったので、製造設備用の専用ジョイントとして納入することになったのが、ジョイントを作るようになった発端です。
ユニバーサルジョイント  
【ユニバーサルジョイント】  
メーカー向けの専用ジョイントのため「10年間門外不出」でしたので、10年後の1962年に、パテントを取り自社製品として販売を始めました。この頃、私は学生だったのですが、この頃から販売業務に関わっていました。当社の製品は、従来品に比べて20倍以上の耐久性があり、最初はエンジンを製造しているメーカーに納入することができ、それから農業機械へ販売しました。当時、農業の機械化が始まった頃で、しかも農業機械は耐久性のある部品が求められていたため、当社の製品はバインダーやコンバインの各メーカーに採用され、販売を大きく伸ばすことができました。この頃に、量産への対応ができるようになり、ジョイントメーカーとしての基礎を築くことができました。しかし、農業機械は季節商品であり、年の半分が忙しくて半分が暇だったので、会社の経営上は厳しく、年間平均した受注を取る必要があり、新たなマーケットの開発に取組みました。この時期に九州にある農耕用の運搬車メーカーと取引を始めました。その会社は、中古部品を使っていたので、当社への発注は、新品の発注でも安く、早く納入してほしいとの条件で、その注文に対応するために作り方から見直しました。ジョイントのあるべき姿を追求して、開発したのが冷間鍛造製法でした。何故、冷間鍛造かと言えば、最初に職人の技で作ったジョイントの作り方の基本の考え方で作ると冷間鍛造製法に行き着いた。この冷間鍛造製法で作ったジョイントは、低コストで耐久性があり、1982年頃から軽自動車に使われましたが、1991年にバブルが崩壊すると、軽自動車業界では、コストダウンが顕著になり、当社のジョイントは過剰品質という理由で使われなくなりました。一方で、トラクター等の農業機械はデザインが変わり始めた時で、車より品質の高さが求められていたので、当社の製品が採用されることになり、国内の農業機械、産業機械の小型分野ではほぼ100%のシェアを獲得するまでになりました。
 
インタビュー
自動車は下請け構造で取引関係ができあがっているので、中小企業から自社開発製品を提案することが難しいと思います。御社は自社開発製品を車メーカーに販売されていますが、どのように販路開拓をされましたか。
 
説明 鬼頭社長
 自動車マーケットは大きいので、新規分野を開拓しようと、1997年に初めて「東京モーターショー」に出展し、それ以降毎回出展しています。最初の出展の時は、
 
2013t東京モーターショウ出展ブース
【2013年 東京モーターショウ出展ブース】
約2年かけて自動車用ではこれ以上無いという新製品を開発して出展しました。展示会にトヨタ自動車VEチームの方(6人のエンジニアの集まり、系列を越えたサプライアーを見つける)が来てくれて、その中のシャシー担当の方が当社の製品に関心を持ってもらえました。その方を頼って売り込みに行ったところ、初代「プリウス」のマイナーチェンジの時で、コスト削減と従来の仕様より7~10倍の強度に耐えるジョイントを開発するということでした。そのためには「鍛造」で作る必要があり、業界の常識では熱間鍛造で作るのですが、当社は冷間鍛造で作って提案したところ、コストと、強度を満たし、当社のジョイントがプリウスに搭載という許可をもらうことができました。当時のプリウスは生産量が少なかったので、当社のような小さな企業も取引開始することができたと思います。これが縁でカローラについても、受注が約束されない条件で開発にだけ参加できることになり、図面をもらって見積もりしてくださいといわれたが、「この図面で作っては、品質、コストが満たせない。我が社のやり方にしてください」とお願いして、当社から図面を出して承認をもらうことができました。業界の常識では、熱間鍛造で作るのが常識であり、冷間鍛造は、作り方が難しく、納期が長いのが一般的ですが、当社は金型から自社で製作するので1週間で作り、設計変更も直ぐに対応できる強みがあります。受注は約束されていなかったが、開発が終わって1ヶ月後に、注文をもらうことができました。2000年9/8がラインスタート。こうして当社はトヨタ自動車のtier1になりました。その後は調達方針もありトヨタとの取引は減少しましたが、こうした実績が評価され、他の自動車メーカーにも当社の部品が採用されるようになりました。「東京モーターショー」には継続して出展し、車メーカーが抱えている品質問題とか課題を聞き、情報収集し、そういったメーカーの課題を解決するよう製品を自社で開発して、次の取引につなげるようにしています。
 
インタビュー
戦略的基盤技術高度化支援事業(通称:サポイン事業)を使って開発された内容を紹介してください 。
 
説明 鬼頭社長
サポイン対象製品  
【サポイン対象製品:中間軸にフローティング加工されている】  
 モーターショーに出展する中で、車メーカーは、「低騒音」「低コスト」の課題があることを聞き、開発したものです。「防振・防音機能を持つ低コストなステアリング用高伸縮型スプライン伝達機構の開発」で、ポイントは中間軸に薄くかつ均一なナイロンコーティングを加工する技術です。振動音が無くなったり、上下の誤差、振動を吸収してくれる、鉄とナイロンは相性が良く、摩耗は少ないが、薄く均一にかつ堅固に塗布する技術がない。この技術が確立すれば、ジョイントの価値が高くなるので、開発に着手しました。平成21年度(2009年度)の戦略的基盤技術高度化支援事業に認定され、技術開発の支援策を利用しました。これまでは細々と開発していましたが、支援策を利用することで少し大きな開発に取り組むことができました。研究成果は、直ぐに事業化に結びつき、ニッサンのインフィニティに採用されました。他社製品との差別化ができ、当社の製品が高級車に使われるという実績ができました。また、海外の車メーカーにも販路を広げることができ、他のメーカーにも販売の予定です。
 
インタビュー
御社の技術力を支える人材育成について教えてください。
 
説明 鬼頭社長
  製造設備
 
【製造設備 】
 
冷間鍛造製ステアリングジョイント
 
【冷間鍛造製ステアリングジョイント】
 常に技術力を磨くことに力を入れてきました。業界の常識ではなく、ジョイントに適したやり方を追求する当社流のやり方を社員には指示しています。業界のやり方では、最初に設備投資をして生産するので、限りなくコスト競争になります。当社流のやり方は、金型の開発から製品評価試験まで、すべて自前で開発するので、小さい設備でできるやり方です。小さい設備で立ち上げて、能力が足りなくなれば、増加していくやり方。加工が難しい「冷間鍛造製法」の設備も自社開発しています。こういった様々な開発には、技術力と創造力が必要です。そして会社の「あるべき姿」実現のため、①品質のリアルタイム保証、②コスト改革「異常と正常」「0・1/2・2」、③リードタイムの限りなき追求をキーワードに、月1度、入社1年目の社員から平等にOJTを通した改善活動を、社長が自ら指導する若手リーダー育成のシステムも構築しています。(これを「あ4会合」と呼んでいる)
 
インタビュー
今後の展開についてお教えください 。
 
説明 鬼頭社長
 ジョイントの専門メーカーは他にはないが、これまでジョイントに特化して様々な部品を提供するとともに材料や製法、性能評価など周辺環境も研究してきた実績があるので、今後もこの専門性を追求して、ユニバーサルジョイントの機能を使いたいというところに届けたい。「つくり」の強さを活かして、新しい分野のマーケットを作っていきたい。例えば、環境分野などでもジョイントの活用で、太陽の動きに沿ってパネルが動くような太陽光発電装置など、新機能とか、新商品の可能性があると思っている。介護・福祉機器なども機能性向上にともないジョイントの需要があると期待している。車関係も、まだ一部の車種にとどまっているので、国内メーカーをはじめ海外メーカーにも販路を拡大していきたいと考えている。
 

本日はありがとうございました。業界の常識を越えた作り方でジョイントの価値を創造し、ジョイントのグローバルな普及を目指す姿勢が印象的でした。ご活躍に期待します。
 
《《《 会 社 概 要 》》》
SP  

  会 社 名   協和工業株式会社 鬼頭 佑治   社長
鬼頭 佑治    社長
本   社   愛知県大府市横根町坊主山1-31
創   業   1942年(昭和17年)3月
設   立   1953年(昭和28年)4月
代 表 者 代表取締役 鬼頭 佑治
事業内容   ユニバーサルジョイント
ステアリングジョイント  
資 本 金 1,200万円
従 業 員 150名
U R L http://www.kyowa-uj.com
T E L 0562-47-1241
F A X 0562-48-0550  


 

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