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中部発きらり企業 Vol.88

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八幡化成株式会社 
メイド・イン・ジャパンにこだわり、独自の成形加工技術で「心が豊かに満たされる」商品を生み出す

 今回は、八幡化成株式会社の高垣美代子社長にお話を伺いました。同社は、日用プラスチック製雑貨品の製造をおこなっていますが、これまでは製品のパーツでしか用いられなかった柔軟性素材のエラストマー樹脂に注目し、自社で長年培ってきた独自成形加工技術を生かし、柔軟性があり、衝撃、耐久性に強く、多彩なデザイン表現により、使う人が楽しい生活空間まで提案できる日用雑貨の商品開発、販売を行っています。
 
八幡化成株式会社 [本社]
 
【八幡化成株式会社 [本社] 】
インタビュー
御社のこれまでの沿革について教えてください。
 
説明 高垣社長
 1965年、先々代社長が岐阜県各務原市で創業しました。1968年、現在の場所である郡上郡八幡町(現在は郡上市)に移転し、1970年、株式会社化しました。創業当初は、家庭用品等のメーカーの下請けの仕事をしており、おもちゃのプラスチック製部品などを作っていました。
グッドデザイン賞を受賞したダンボールをモチーフにしたバケツ型の商品  
【グッドデザイン賞を受賞したダンボールをモチーフにしたバケツ型の商品】  
先代社長は、プラスチックの成形加工技術を学んで入社し、社長になった頃から技術を生かして最終製品を作りはじめました。 最初は、電化製品等の販促用ノベルティーグッズや100円ショップ向けの商品を開発していましたが、受注が不安定であったため、安定した事業にはなりませんでした。私が社長に就任後は、OEM生産中心の経営スタイルから、自社ブランド商品の製造・販売を中心とした経営スタイルに大きく舵を切り、他社とは異なるオリジナリティ豊かな商品開発をしています。また、経済産業省の地域産業資源活用事業を活用して、自社ブランド「way-be(ウェイビー)」、「sceltevie(セルテヴィエ)」の商品開発や海外にも目を向けた販路開拓をしています。
 
 
日本の伝統的な模様を再現し、樹脂に見えない質感のランチョンマット
 
【日本の伝統的な模様を再現し、樹脂に見えない質感のランチョンマット
インタビュー
オリジナリティ豊かな商品が揃っている自社ブランドについてお聞かせください。
 
説明 高垣社長
 私が社長になってから、定番商品を自社で開発、販売したいと思っていました。1993年、ダンボールの波板形状をモチーフにした、独特なフォルムのバケツ型の商品をつくり、自社ブランド「way-be(ウェイビー)」を立ち上げました。この商品が市場で高い評価を得てグッドデザイン賞をいただいたことにより、日本全国のホームセンターや量販店で商品を販売して頂けるようになりました。しかし、安価な海外製品や模倣品が市場に出回り、せっかく生み出した商品が価格競争に巻き込まれて、厳しい状況が続きました。
ニューヨーク・ギフト・フェア  
【ニューヨーク・ギフト・フェアの展示風景】  
このため、価格競争に巻き込まれることがなく、自分たちが設定した適正な価格で売れる商品をつくりたいと考えました。そこで、従来のプラスチック製品から差別化を図るため、家庭用品ではあまり使われていなかった「エラストマー樹脂」に注目しました。エラストマー樹脂の特徴は、従来のプラスチックにはない「柔軟性」、樹脂には見えない「質感」があり、この優れた特徴を活かすことにより、他社にはない、デザイン性と機能性をもった「独自性」のある商品ができると思いました。しかし、エラストマー樹脂は、軟質かつ繊細であるため成形がとても難しく、それまでは歯ブラシの柄やゴルフクラブのグリップといった商品のパーツなどの小さなものしか成形することができませんでした。この成形しにくい素材を30cm以上の大きな製品に一体成形し、なおかつ素材の質感を活かした多彩なデザイン表現を可能にしようと、これまで培ってきた当社の射出成形ノウハウを注ぎ込みました。何百回も試作を繰り返し、不良等の原因を一つ一つ取り除き、エラストマー樹脂専用の一体成形加工技術「デザインメジャーメント射出法」を確立させました。この成形加工技術を製品全体に活用することにより、外形のデザイン以外においても製品に付加価値をつけることが可能になりました。それまでの販売ルートとは異なる国内外のインテリア専門店やコンセプトショップ向けに「上質で洗練されたデザインを人々の生活に」をコンセプトとした、もう一つのブランド「sceltevie(セルテヴィエ)」を立ち上げました。確固たるブランドを構築するため、積極的にデザインの研究会等に参加し、販路構築を図ってきました。その中で、経済産業省の地域産業資源活用事業を活用し、海外のニューヨーク・ギフト・フェア、フランス・パリで行われるメゾン・エ・オブジェ(国際室内装飾見本市)にも出展させていただき、少しずつ海外への販路も増えてきました。このような場に毎年出展してバイヤーの信頼を得ていくことが、海外市場獲得には非常に重要であることがわかりました。アメリカ大手チェーンストアと契約をし、2013年春より、全米で販売スタートする予定です。
 
 
エラストマー樹脂製品をつくっている射出成形機
 
【エラストマー樹脂製品をつくっている射出成形機】
インタビュー
エラストマー樹脂を多彩なデザイン表現で一体成形できる御社の一体成形加工技術「デザインメジャーメント射出法」についてお聞かせください 。
 
説明 高垣社長
 エラストマー樹脂は、一般的なプラスチック製品に使われるポリプロピレン等に比べてとても柔らかい素材であるため、従来の射出成形法では、大きなものを成形しようとすると内部にガスが溜まり、その痕などの不良(フラッシュ)が発生しやすいため、商品のパーツのような小さなものしか成形できませんでした。また、エラストマー樹脂の特徴の一つである革や布などの質感を忠実に再現させ、多彩なデザイン表現を行おうとするためには、様々な金型を用意し、その複雑な形状に樹脂をスムーズに射出する工夫が必要でした。従来の射出成形機は、一回の工程において最初から最後まで一定の速度でしか射出できませんでしたが、現在の射出成形機は、射出工程の途中で速度を変えることが可能になっています。これを活かし、商品の凹凸や形状ごとに射出速度をメジャーメント(測定)し、射出工程内での温度・湿度・圧力調整や乾燥時間など最適な成形条件を見つけ出してデータ化しました。最初は、売り物にならないくらいのムラ跡や変形が出ましたが、射出速度、圧力等を少しずつ調整し、試行錯誤の上、商品にできる物ができました。当社のこれまでのプラスチック製品製造の経験、ノウハウがあったからこそ、「デザインメジャーメント射出法」が考案でき、この成形加工技術により、エラストマー樹脂の大型一体成形が可能になりました。商品全体に柔軟性を持たせることができるため耐衝撃性、耐久性が強く、また、発色性が良いことから素材の質感を活かした多彩なデザイン表現が可能になりました。使い手にとって使いやすく安全な商品ができたと思います。
 
 
複合素材できたオシャレで機能的なバッグハンガー
 
【複合素材できたオシャレで機能的なバッグハンガー】
インタビュー
最後に現状の課題と今度の展望などをお聞かせください。
 
説明 高垣社長
 当社が扱っている日用プラスチック製雑貨は、新生活スタートの春先から5月の連休までの間が一番商品の動く時期ですが、出荷量は伸びず厳しい状況が続いています。海外の企業・工場から直接取引をされる小売業が増加しているからです。また、意匠権に触れない程度に当社の商品の形やデザインを変えて売る行為が増えてきています。中国には商品の外観を解析する機械があり、単一素材の成形品だと容易にコピーされてします。エラストマー樹脂の場合は、一般のプラスチック製品と違い質感等まではまねできませんが、見た目の似た商品はさけられません。
社内にあるショールーム  
【社内にあるショールーム 】  
今後、エラストマー樹脂の単体素材ではなく、金属や木材、陶磁器のような堅い物と組み合わせた複合素材による商品開発を進めていきたいと思っています。そのような商品が求められるマーケットがあるはずです。アート的なものではなく、デザインと機能性を持ち合わせた、モノマネではないオンリーワンの商品を開発していきたいです。ちっとおしゃれ、ちょっとカワイイ、そこに便利さが加われば売れる商品ができると思います。他社にないデザインと機能性を提案していき、八幡化成がつくったとわかる独自性のある商品をつくっていきたいと思います。そのためにデザインを専攻した方や専門技術を持った方を採用しています。営業の際には、売り場の状況、バイヤーの意見等を調査し、新商品開発の参考にしています。展示会では、必ず新商品のお披露目を行い、お客様に新しい情報を提供していきたいと思っています。英語が堪能なスタッフも採用し、現在では、商社を通すことなく海外の企業と直接交渉できています。海外の企業との取引は、時間、コストがかかりますが、今後も地域産業資源活用事業も活用して、メイド・イン・ジャパンにこだわって海外への販路拡大をしていきたいと思います。
 
 

本日はお忙しいところ取材にご協力いただきありがとうございました。素材の持つ特徴や利点を最大限に生かし、使う人の心が豊かになる商品づくりに対する取り組みに感銘を受けました。御社の更なる躍進と皆様の御活躍をお祈り申し上げます 。
 
《《《 会 社 概 要 》》》
SP  

  会 社 名 八幡化成株式会社 高垣 美代子  社長
高垣 美代子  社長
本   社 岐阜県郡上市八幡町旭182番地
創   業

1965年(昭和40年)7月

設   立       1970年(昭和45年)7月
代 表 者 代表取締役社長 高垣 美代子
事業内容   工業用プラスチック製品製造業   
資 本 金 1,200万円
従 業 員 22名
U R L http://www.hachimankasei.co.jp/
T E L 0575-67-1175
F A X 0575-65-5150


 

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