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中部発きらり企業 Vol.86

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CK シーケー金属株式会社
常に新しいニーズに挑戦し、世界初を世に送り出す

 今回は、シーケー金属株式会社の釣谷宏行社長にお話を伺いました。同社は、配管を接続する鉄管継手を自社で一貫生産し、地球環境に配慮したオリジナル商品を開発しています。また、戦略的基盤技術高度化支援事業(通称:サポイン事業)を活用し、独自のめっき技術を使った新しい工法開発にも取り組んでいます。
 
シーケー金属株式会社 [本社]
 
【シーケー金属株式会社  [本社]
インタビュー
御社のこれまでの沿革について教えてください。
 
説明 釣谷社長
 大正9年、大阪の河内長野で修行した人達が高岡市京町において中越可鍛製作所として創業し、鉄管継手鋳物の製作を開始しました。昭和11年には、中越可鍛株式会社を設立し、会社組織を整えました。当時、重量物を運送するには河川による水運が主流で、京町は伏木港から小矢部川をさかのぼった所であり、港で荷揚げしたものを運ぶにはとても良い場所にありました。戦時中は、軍用関係の物資もつくっていたのですが、戦後は可鍛鋳鉄製管継手に専業化して成長していきました。その頃は、1ドルが360円の時代で政府の輸出奨励もあったので、世界中に輸出をしていました。輸出増加に伴い業容を拡大するにあたり、住宅地になった京町では手狭であったので、昭和35年から現在の本社がある高岡市二上地区に移転を開始し、昭和47年に完了しました。
配管継手  
【配管継手】  
 昭和49年には、「中越」と「可鍛」の頭文字を取り社名をシーケー金属株式会社に改めました。継手に表示したCKマークは、海外のユーザーには、覚え易いと好評でした。しかし、ドル・ショック以降、輸出市場は一変します。業界は厳しい対応に迫られ、当社は国内の水道配管関係へ事業をシフトし、現在では、ほとんどが国内需要向けになっています。平成5年には、子会社であった北陸亜鉛株式会社を合併し、めっき事業部として事業拡大を図りました。私は、地元金融機関を辞めて、当社に入社したのですが、平成9年に8代目社長として就任して以降は、「脱塩ビ継手」や「鉛レスめっき」など地球環境に配慮したオリジナル製品の開発を行い新しい工法やシステムを常に提案しつづけています。
 
 
 
【管端の錆を防止するコアコート継手の構造】
インタビュー
御社の主力製品であり、環境に配慮したオリジナル製品が揃っている配管機器についてお聞かせください。
 
説明 釣谷社長
 当社は、パイプを接続する鉄管継手を日本で唯一100%自社工場で生産し、独自の「CKブランド」で販売しています。日本の水道配管の歴史は、錆との戦いの連続でした。日本では、高度成長期に工業用や住宅用に、上水道の水が大量に使われるようになりました。消毒のため水に入れられる塩素は鉄を酸化しやすくするため、配管が錆びて赤水が出たり、錆が配管内でこぶ状になり水を詰まらせたりする事故が多く発生しました。当初は、亜鉛めっきをして錆を防止していたのですが、水質の悪化とともに水道水中の塩素の濃度は高くなり、亜鉛めっきだけでは配管が錆びるようになりました。そこで当社では、内面を樹脂でコーティングした配管継手「CKコート継手」をつくりました。これが公団住宅で使用され、JIS規格にも指定されましたので、多くの建設現場で使用されることになり、ヒット商品となりました。しかし、樹脂コーティングされた配管でも切断したパイプの端部では鉄が露出してしまい、ここから腐食する問題が発生しました。その問題を解決するため、管端を樹脂部品でカバーし、流れる水が全く鉄に触れない「CKコアコート継手」を開発し、配管の内側の錆問題を解決しました。一方、世の中の電化が進み、家電製品があふれるにつれて地中にアースをとるようになり、現在の日本の地中には、放電された電気が走り回る時代になりました。この迷走電流による電蝕が埋設した金属配管に穴を開けてしまうので、継手の外面も樹脂で被覆する「CK被覆継手」をつくりました。
配管継手  
【グッドデザイン賞を受賞したCK脱塩ビ透明被覆継手】  
しかし今度は、外面を被覆したことにより配管工事の際、ネジをどこまで締めたら良いのか見えなくなってしまい、浅ネジ込み、深ネジ込みによる事故が多発しました。そこで被覆を透明にした「CK透明被覆継手」をつくりました。この製品は機能性の良さが認められ、平成19年にグッドデザイン賞をいただきました。また、これらの改良の中、地球環境に配慮した製品をつくりたいとも考え「脱塩ビ化」を宣言しました。発売当初は、業界になかなか認知されず大変厳しいときもありましたが、社会的にダイオキシン問題などが大きく取り上げられるようになってから、当社の製品への関心が高まり右肩上がりに事業が成長しました。その後も日本総合住生活株式会社の技術開発研究所と耐震性に優れた「転造ネジ対応プレシール継手」をつくるなど、常にニーズに応えた新しい商品開発に取り組んでいます。
 
 
 
世界初!鉛、カドミウムレスCKメッキ
【世界初!鉛、カドミウムレスのCKeめっき】
インタビュー
第2回ものづくり日本大賞優秀賞を受賞した「CKeめっき」を開発した溶融亜鉛めっき事業についてお聞かせください。
 
説明 釣谷社長
 従来の溶融亜鉛めっきは、亜鉛地金に蒸留亜鉛を使用しており、蒸留亜鉛には、カドミウムや鉛が含まれていました。鉛を添加しないとめっきの密着性が不十分になったり、鉄製のめっき釜の寿命が短くなったりするといわれていました。当社は、亜鉛地金を蒸留亜鉛から、電気亜鉛地金に換え、さらに鉛を添加せずに、世界で初めて、従来のめっきと同等以上の品質の溶融亜鉛めっき「CKeめっき」の開発と量産化に成功しました。鉛レス、カドミウムレスを宣伝文句に販売を開始しましたが、世の中では「安ければ良い」との風潮があり、見向きもされない時期もありました。しかし、欧州で平成18年7月に、環境保全を目的として、RoHS指令(電気電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限)が施行されました。CKeめっきの化学成分は、カドミウム0.001%(10ppm)以下、鉛0.005%(50ppm)以下でRoHS指令を完全にクリアしており、鉛とカドミウムを含む電気・電子機器製品の販売が禁止されたことによって、大阪の大手電機メーカーにCKeめっきを使用していただけるようになりました。
日本海側最大のめっき槽  
【日本海側最大のめっき槽】  
平成19年の第2回ものづくり日本大賞優秀賞の受賞で、良い製品であるとのお墨付きをいただき、国土交通省新技術情報提供システム「NETIS」にも登録していただきました。NETISの指定を受けたことにより、橋梁メーカーなどからは、工事入札時の評価点が高くなり落札率が良くなったと、とても喜んでいただいています。現在では、橋梁メーカーの鋼材めっき処理に関する仕事を当社で受注させていただくだけでなく、サポイン事業においても協力していただいています。現在、当社では日本海側最大の大型鋼材専用のめっき槽を1ラインと北陸地域で唯一の小物専用めっき槽を2ライン保有し、幅広いニーズに対応しています。また、CKeめっきの技術は、フランチャイズ方式をとっており、使いたい人がいればどんどん使って欲しいと思っています。当社からはCKeめっきの原料供給と成分調整等の技術的サポートをさせていただきます。
 
インタビュー
戦略的基盤技術高度化支援事業(通称:サポイン事業)を活用して取り組まれている「橋梁鋼構造物の施工現場における高力ボルト接合部への長期防錆金属溶射施工技術の開発」についてお聞かせください。
 
説明 釣谷社長
 橋梁等の鉄鋼構造物の躯体は、金属溶射による長期防錆処理が可能ですが、躯体接合部のボルト・ナットについては、従来の溶融亜鉛めっきの上には溶射ができないため防錆機能が劣っていました。潮風にあたる沿岸部はもちろん、雪国においても凍結防止対策として散布されている融雪剤が付着することにより、すぐにボルトなどが腐食してしまうのが現状です。よって、鉄鋼構造物の長寿命化・維持管理の軽減を飛躍的に向上させるためにも躯体接合部のボルト・ナットへの金属溶射が求められており、橋梁などの現場組み付け作業時に適した溶射施工技術と溶射装置を開発したいと思いました。従来の溶融亜鉛めっきがされたボルトに金属溶射しても溶射被膜の密着性が不十分なためすぐに剥がれてしまいます。これに対処し、亜鉛めっき被膜成分を調整することで、試験レベルですが金属溶射が可能な下地亜鉛めっきが開発できました。この亜鉛めっきも環境に配慮して電気亜鉛地金を使っています。鉛が入っていないから、金属溶射の密着性が良いのです。平成24年内にも地元の橋梁メーカーの協力を得て、実際の橋梁に使用する予定です。いろいろな施工方法を実施し、作業の効率性や耐食性などを今後も調べていきたいと思っています。
研究開発した技術の試験結果
従来めっき
従来めっき+溶射済鋼板
eめっき
溶射可能なボルト+溶射済鋼板
■ボルトへの容射前
■溶射後
溶射不可 研究開発した技術の試験結果
■腐食促進試験後(複合サイクル試験 1000h)
■実機橋梁

塩害地域に施工され十数年後

塩害地域に施工して1ヵ月
(試験中)
 
インタビュー
最後に現状の課題と今度の展望などをお聞かせください。
 
説明 釣谷社長
 東西に交通の便のよい高岡市内で事業用地が確保でき、地域の若い優秀な人材を採用することもできています。しかし、北陸新幹線が開通することにより、優秀な人材が首都圏へ流出しないか心配しています。 当社の平均年齢は34歳です。若い社員の才能を伸ばすため、各工場には多くの技術コンサルタントや大学教授の方々を招いて技術指導等をしていただいています。今後も常に新しい工法やシステムを提案し続けることで業界をリードしていきたいと思っています。  
 また、現在、黄銅製品を扱っているサンエツ金属株式会社など、いくつかの会社がグループ会社となっています。これらは、業界再編の際に、相乗効果を目的にグループ化して来たものです。市場が縮小する経営環境下で、採算が合わずに撤退してしまう同業者の事業を、ローテクであっても世の中が必要とする事業であれば、当社が集中的に継承し、事業を存続させていくことも大切な使命だと思っています。そこに当社独自の技術も加え、新しい事業を展開していければと思っています。
 

本日はお忙しいところ取材にご協力いただきありがとうございました。常に時代のニーズを読み取り、工夫を重ね、業界のオンリーワン・ナンバーワンを目指す志に感銘を受けました。御社の更なる躍進と皆様の御活躍をお祈り申し上げます。
 
《《《 会 社 概 要 》》》
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  会 社 名 シーケー金属株式会社 釣谷宏行 社長
釣谷 宏行 社長
本   社 富山県高岡市守護町2-12-1
創   業

1920年(大正9年)6月

    1936年(昭和11年)9月
代 表 者 代表取締役社長 釣谷 宏行
事業内容 配管機器製造事業 ・溶融亜鉛めっき事業
資 本 金 1億7669万円  
従 業 員 約300人  
U R L http://www.ckmetals.co.jp/  
T E L 0766-21-1448  
F A X 0766-22-5830  


 

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