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中部発きらり企業 Vol.83

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有限株式会ミサト 大津鉄工株式会社  
安心とコストの両立を実現する画期的な基礎工事システムで全国展開を図る

今回は、大津鉄工株式会社の大津尚彦社長にお話を伺いました。同社は、いち早くIT経営によって事務の合理化を図るとともに、新連携支援事業を活用して今までにない画期的な基礎工事システムで全国展開を図っています。また、製造・販売だけでなく施工業の領域まで事業を広げています。
 
大津鉄工株式会社 [本社]
 
【大津鉄工株式会社 [本社]
インタビュー
御社のこれまでの沿革等について教えてください。
 
説明 大津社長
 私は3代目になりますが、祖父が鉄工所で働いていた経験を生かし、大正12年に名古屋市中川区で創業しました。創業当初は、加熱鍛造を行い、材木と材木をつなぐかすがいや農機具などを作っていました。その後、世の中の建物の構造の変化に従って、つまり、木造から鉄骨、鉄筋へと主流が変化する中で、かすがいから建築用のボルトやネジ製品、さらには建物の基礎部分に使われるアンカーボルトへとメインの製品を変えてきました。30年ほど前でしょうか、製造した商品を問屋や同業者へ販売するだけではいけない、エンドユーザーに直接売り込みに行かなければいけないと思い、販売部門を作り積極的に売り込んで行く体制を作りました。その頃から、品質管理を重要視するようになり、ISOなどを取得し、管理された工場へと変わっていきました。また、エンドユーザーとの直接取引を始めたことで、問屋に卸すだけだった頃よりも個別対応の手間がかかるようになりましたが、現場のニーズを把握できるようになり、よりお客様に満足していただける製品の提供につながっています。今では、施工業の領域まで仕事を広げ、「製造・販売・工事」の三位一体となった総合サービス事業を展開しています。
 
商品の進捗状況を管理する小型端末  
【商品の進捗状況を管理する小型端末】  
インタビュー
御社がIT経営に注力した理由をお聞かせください。
 
説明 大津社長
 ITへの取り組みは、事務の合理化に迫られたことが契機となりました。エンドユーザーとの直接取引を積極的に展開したことで、ほとんどが個別受注生産となっています。取引先からの発注内容が細かく、変更、納期確認などの問い合わせがFAXや電話で頻繁に寄せられるため、個々の進捗状況をその都度現場に確認するだけでもかなりの時間を費やします。現場の工程管理をコンピューターで行うことができれば、そこに費やしていた時間を他の作業に振り向けられると考えました。中小企業戦略的IT化促進事業を活用して開発したシステムでは、ICタグを用いることにより、商品ごとの発注から出荷までの進捗状況が現場に行かなくても確認できるようになり、業務が効率化されました。さらに、当該システムをWebシステムと連携させることで、取引先とのEDIを実現する総合情報管理システムを構築しました。
 
 
Dスルー工法で用いるアンカーフレームの設置イメージ
  【Dスルー工法で用いるアンカーフレームの設置イメージ】
インタビュー
新連携支援事業を活用して全国展開を図っている「Dスルー工法」についてお聞かせください。
 
説明 大津社長
 10年ほど前に「Dスルー工法」が特許として登録されていることを知りました。とても、すばらしい技術だったので、眠らせておくことは非常にもったいないと思っていたのですが、ある時、中小企業基盤機構の方から新連携支援事業を紹介され、本格的に事業展開することを決意しました。  
 Dスルー工法は、部材等の特許ではなく、建築の基礎部分と鉄骨の柱をジョイントする時に必要なアンカーボルトを設置する工法の特許です。建築現場では、多くの異業種の方が入って、工程別に分かれて作業していますが、Dスルー工法を採用するとアンカーボルトを設置した後の工程において、従来よりも効率的に作業することができるようになります。建物を建てるためには、まず土台となる基礎部分を作ります。基礎部分を作るには、地面を掘削し、その中にアンカーボルトを設置した後、基礎部分の強度を高めるために、鉄筋の配筋作業を行ってからコンクリートを流し込んで固めていきます。アンカーボルトは正確に据え付けないと鉄骨の柱の位置が定まりませんので、アンカーボルトの周囲はその位置決めのためにたくさんの治具で固められており、建築現場の中でも非常に大変な作業である配筋作業がさらに難しい作業となっていました。Dスルー工法は、アンカーボルト直下にシンプルな架台(Dスルーアンカーフレーム)を設置することにより、正確にアンカーボルトを設置できる仕組みになっています。また、鉄筋との抵触性を大幅に回避していることから、配筋作業がたいへんスムーズに行うことができます。さらに、コンクリートの流入性も高いので、基礎工事を行う上で作業効率が上がり、コストダウンにもつながっています。シンプルな構造をしているので、安定度が少し落ちるデメリットもありますが、私達は施工も行っているので、コンクリートを流し入れる前に必ず責任を持って最終固定作業を行うようにしています。
 
Dスルーアンカーフレームの設置作業 びっしりと配筋されたDスルーアンカーフレーム コンクリート打設・建て方埋め戻しされた状態
 【Dスルーアンカーフレーム
の設置作業】

 【びっしりと配筋されたDスルーアンカー
フレーム】

 【コンクリート打設・建て方埋め戻しされ
た状態】
 
 アンカーボルトの世界は、施工規格や標準化の面で遅れており、個々の事業者任せになっていました。そのため、アンカーボルトを設置するためのボルトがしっかり取り付けてあっても、雑な設置作業によりアンカーボルトの性能を十分に発揮できていないことがあり、建物の転倒・倒壊等の危険性にもつながりかねません。このため、私たちは「Dスルー施工連絡会」を立ち上げました。会員には、工法施工技術と工事管理技術の研修を受けてもらい、全国同一品質の施工レベルの確保と管理技術の習得に努めています。「アンカーボルトと言えば、Dスルー工法」、「Dスルー会員に頼めば、安心して施工を頼むことができる」と言われるようになりたいと思っています。最終的には、作業工程としての業界標準にして、業界全体のレベルの底上げにつなげていきたいと考えています。  
 
インタビュー
−最後に当面の課題と今度の展望などをお聞かせください。
 
説明 大津社長
 リーマンショック後、売上高が4割減りました。あれから4年が経ちますが、この業界は景気の戻りが遅くて大変です。現在もピーク時の8割程度に止まっています。この業界は建設需要にリンクしている部分が大きいので、東北地方の復興事業が進み需要が増えてくることを期待しています。  
 アンカーボルトは「建築用SNR鋼材」としてJIS規格でも10年ほど前に認証されています。しかしながら、Dスルー工法は建築業界では「仮設」の分野になるので、規格がありません。この分野に関しても、物を設置するための施工要領、施工基準を公の認定制度や免許制度に則ったものにしていきたいと思っています。また、任意団体であるDスルー施工連絡会を業界に認めていただける組織にしていきたいと考えています。それがDスルー工法の信頼向上にもつながっていくと思っています。  
太陽光発電システムの架台  
【太陽光発電システムの架台】


 
 新しい取り組みとして、3年ほど前から太陽光発電用パネルの架台の製造を先行的に始めています。今までに数十例ほど施工していますが、今後、さらなる改良等を加え、業務向け・一般耕作地向けの製造及び施工について、2〜3年後を目途に当社のメイン事業のひとつにしていきたいと考えています。再生可能エネルギーの固定価格買取制度が始まりましたので、今期の後半からは受注が増えてくるのではないかと期待しています。
 最後に、社員には仕事に対し誇りを持って、楽しく仕事をしてもらいたいと思っています。高校を卒業したばかりの子でも大津鉄工に入り、いろんなスキルを身につけることにより、人間として早く一人前になるように指導していきたい。製造の楽しさを分かってもらえる会社づくりをしていきたいと思っています。
 
 

本日はお忙しいところ取材にご協力いただきありがとうございました。御社の全国展開はもとより、Dスルー工法の普及を通して、施工品質や管理技術の標準化が進み、施工業界のレベルアップにも繋がっていくことを期待しています。御社の更なる躍進と皆様の御活躍をお祈り申し上げます。
 
《《《 会 社 概 要 》》》
SP  

  会 社 名 大津鉄工株式会社 大津 尚彦社長
大津 尚彦社長
本   社 愛知県弥富市五斗山三丁目138番地2
創   業

1923年(大正12年)4月

設   立 1973年(昭和48年)7月
代 表 者 代表取締役社長 大津 尚彦
事業内容 土木建築用ボルト及び金属製品の 製造販売、鋼構造物及び製缶溶接 加工製品の製造販売、鋼構造物及 び鉄骨基礎ボルトの施工工事業、 溶接亜鉛鍍金の加工業、施工工事 システムの教育研修事業、ビジネ スソフトの開発及び販売、土木建 設用資材の輸入及び販売、太陽光 発電システム及び架台の施工・販売
資 本 金 7600万円  
従 業 員 98人(パート含む)  
U R L http://www.otsutekko.co.jp/  
T E L 0567-56-5502  
F A X 0567-56-5505  


 

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