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中部発きらり企業 Vol.82

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有限株式会ミサト 有限株式会ミサト工業  
こだわりの技術とデザインで「世にないモノを世に送り出す」

今回は、有限会社ミサト工業の川嶋成樹社長にお話を伺いました。同社は、本業の軸受けメタルの下請加工分野で長年培ってきた鍛造・成型・切削に係るこだわりの技術を活用し、新事業展開・自社商品開発を進めるべく、デザイン会社と協働で取り組みを開始しています。着手したのはコスメ・美容雑貨分野で、従来の商品イメージを一新させるべく、機能面と意匠面の双方にこだわった商品の開発・販売を複数展開していま。
 
有限株式会ミサト工業
 
【有限株式会ミサト工業 [本社]
インタビュー
御社の創業の経緯等を聞かせてください。
 
説明 川島社長
 私の父である現代表取締役会長が1969年、郡上で創業しました。
 当初は、旋盤1台で鉄の切削加工を行い、夫婦2人で近隣家庭の車庫等をつくっていました。1984年に大同メタル工業(株)岐阜工場のフェンス工事を請け負ったところ、その加工技術が認められ、同社から軸受加工業務を請け負うことになりました。その時から少しずつ人と機械を増やし、部品加工の幅を広げていきました。
 2002年に法人化し、有限会社になりました。その後、私が35歳の時に社長に就任しました。5年前、この場所に工場を移しましたが、将来の事業拡大を想定して、スペースを大きめに取っておきました。翌年、プレス加工を始め、サーボプレスとNCを複合機で導入しました。移転前の従業員は、12〜13名でしたが、2年後には、22名ほどになりました。
 当時は、大同メタル工業1社からのみの受注で事業を行っていました。1社だけに100%依存した状態は好ましくないと考え、受注先を増やしたいと思っていた矢先に世界同時不況(リーマンショック)が起こり、仕事が7割減になり、建物・機械の借金だけが残りました。社員の雇用も厳しくなり、2008年10月から2009年頃は、休業補償制度や緊急助成金を使って雇用を維持していました。
 厳しい体験でしたが、その頃からいろいろな場所に営業に行くように心がけたことで、多くの方々との出会いがありました。商工会、岐阜県商工労働部、産経センターなどのセミナーに出席し、1年間で1000〜1500枚の名刺を配ったと思います。こうした活動が契機となり検品事業を受注することができました。当社では、以前から自動車用エンジン部品の出荷時に目視検査等を行っていたのですが、大手自動車メーカーがリストラ等により検査業務を外注に切り替える流れの中で声を掛けて頂けたのだと思います。その後、検査事業は、各企業から高い評価を頂いて少しずつ受注量が大きくなり、今では当社の売上高の約4割を占めるようにまでなっています。また、これと並行して、会社が生き残っていくためにはOEM受注だけでは難しい、オリジナル商品を作らなければいけないと思い、自社商品開発から販売までこなせる企業を目指し、新たな事業をスタートさせることとなりました。
【工場内全体風景】

    【検品作業現場】

 
 
【建機向けに開発したバイメタル製品】  
インタビュー
では、その新たな事業として着手した「NOOK(ヌーク)」の開発及び市場開拓についてお聞かせください。
 
説明 川島社長
 今までに無い新しい毛抜きを作りたいという方(道家氏)が関市に居ました。岐阜市のデザイナーにデザインをおこしてもらい、試作までたどりついたのですが、商品化するための生産体制等が整わず、当社に話が持ち込まれました。そこで、当社の技術を応用して試作開発を続け、3カ月くらいで金型等を作り、量産体制を構築しました
 最終的に現在のデザインとなり、性能も良く、見た目もカッコイイと言うことで、デザイナーの方からグッドデザイン賞に応募し、2009年10月に受賞することができました。その後、いろんなメディアにも取り上げて頂き、2010年1月には、インターネットのAllAbout(オールアバウト)というサイトにおいて商品を扱ってもらえるようになりました。
 自社においても販売をしていかなければならないと思い、同年10月には定款を換えて販売を始めました。1年目の2011年は売上全体の7%でしたが、2012年は15%くらいになりそうです。 現在、販売の中心は名古屋です。ようやく松坂屋をはじめ、インターネット、通販、美容院への販売が始まりました。今後、さらにさまざまな形で販路拡大を考えていかなければならないと思っています。
 
 
  【寸分の狂いもなく密着する先端部分】
インタビュー
「NOOK(ヌーク)」の加工技術及び今後の商品開発についてお聞かせください。
 
説明 川島社長
 普通の毛抜きは1本の板を曲げて作る場合が多いと思いますが、NOOKは2枚の板をスポット溶接しています。それぞれの板は根本が0.7mmで、先端に向かって厚みを増しながら、緩やかな曲面を作っています。極めてわずかな誤差があっても先端がピタリと重ならなくなってしまうので、高い精密性が求められるとても難しい技術です。ここで肝となるのが、当社が得意とする工程設計のノウハウです。単に削ったり、曲げたりを繰り返していくのではなく、自ずと良い製品ができるよう製造工程全体を設計・管理しているのです。  
5S採点結果掲示板  
【先端が丸く安全・安心な構造で、
広い範囲で毛を掴むことができる 】
 
 また、デザインも機能性の高いものとなっています。先端が丸く、塗装がしっかり施されているので、押し当てても痛くなく、皮膚を傷つけない面キャッチ構造になっており、安全・安心なやさしい商品になっています。キャッチ面は研磨が入っています。平面研磨と同じように研磨目と研磨目がピタッと合うようになっており、その中に一定の荒さを持たすことで、どの方向からでも毛をキャッチできるようにしました。素材は、ステンレスXM−7という特殊な素材です。3%の銅が入っているので、抗菌作用があります。また、銅の粘り、やわらかさが本体の「しなり」に影響しており、この「しなり」がより強い力でキャッチすることができるのです。
 NOOKに関しては、美容師用を始めとして、いろいろなOEMの話を頂いています。また、これと同様な形状で別の商品「KILR(キール)」があります。NOOKのキャッチ面の構造を変えることで、毛等をカットするコスメ用具となっています。現在、第3弾として企画している商品もありますが、これらのシリーズについては、必ず鍛造技術を使っていきます基本のコンセプトは、「世にないモノを世に出そう」「Next Standeard(次の普通を作ろう)」です。今までに無い商品だけど、付加価値があり、次の世代に必要とされるモノづくりができる企業でありたい。ホッチキスのように、毛抜きと言えば「NOOK」と言われるような文化を作りたいと思っています。
 
インタビュー
地域産業資源活用事業の活用について、経緯などをお聞かせください。
 
説明 川島社長
 いろいろ調べたところ中小機構との繋がりから地域産業資源活用事業を知り、2010年に申請して認定を受け、翌年には助成制度を活用しました。 
 助成制度については、小さい企業ほど、情報も不十分で活用できていないと感じていますが、地域を盛り上げていくには、市単独の助成金では難しいので、国や県の制度を活用しないといけないと思っています。 
 郡上市には、県の制度を活用できている積極的な若手経営者も何人かいますので、連携を図りながら、メイドイン郡上のモノづくりを進め、いろいろな販路を考えながら展開していきたいと思っています 。
 
インタビュー
今後の抱負などをお聞かせください。
 
説明 川島社長
 今後とも地域に根ざした会社でありたいと考えています。人は宝であり技術でもあります。人を育てていくことが会社を継承することと考えています。 
 今は、地域から世界へ発信できる商品を開発・展開したいと思っています。あくまでも拠点は郡上に置きますが、商品は、日本全国、世界に飛び出して行くことが目標です。 
 そのためにも、NOOK等の新製品の製造・販売事業について、軸受け等の製造や検品事業と並ぶ当社のメイン事業に育て、早急に3事業体制に移行できるように頑張っていきたいと思っています 。
 
 

本日はお忙しいところ取材にご協力いただきありがとうございました。地域に根ざし、モノづくりだけでなく人づくりを大切にする理念に感銘しました。地域から世界に発信する商品開発の今後の展開が楽しみです。御社の更なる躍進と皆様の御活躍をお祈り申し上げます 。
 
《《《 会 社 概 要 》》》
SP
川嶋 成樹 社長
川嶋 成樹社長
  会 社 名 有限会社ミサト工業
本   社 岐阜県郡上市美並町白山581-5
創   業

1969年(昭和44年)4月

設   立 2000年(平成12年)11月14日
代 表 者 代表取締役社長 川嶋 成樹
事業内容 玉軸受・ころ軸受製造業
資 本 金 300万円
従 業 員 32人(パート含む)
U R L http://www.misato-k.net
T E L 0575-79-3372
F A X 0575-79-2842


 

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