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中部発きらり企業 Vol.81

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株式会社五合 株式会社五合  
防汚塗料と天井クレーンコントローラで業界に新風を巻き起こす!

今回は、株式会社五合の小川宏二社長にお話を伺いました。同社は、優れた防汚・保護機能等を持つ無機塗料の用途開発や、安全性と効率性を兼ね備えた画期的な天井クレーンコントローラの開発など、アイデアあふれる独創的な事業を展開しています。
 
株式会社五合
 
【株式会社五合 [本社]
インタビュー
御社のこれまでの沿革等について教えてください。
 
説明 小川社長
 私は、もともとは電機メーカーに勤めており、電子制御機器の製造などに携わっていましたが、製品の改善提案や発明好きが高じて、34歳の時に独立を決意し、2000年に創業しました。小牧市にある実家の裏手の借家を仕事場として、それまで勤めていた会社の協力会社から人材育成や生産管理のコンサルティングの依頼を受け、その会社がたまたま塗装会社であったことから、塗装に関する勉強もしながらコンサル業をスタートしました。塗装会社間の口コミで塗装技術者の育成の仕事が増えていき、コンサル業が軌道に乗り始めた2003年に、小牧市から春日井市に移転し株式会社化しました。実績を積んで信用を獲得していき、県内の塗装組合にも当社の名が知れ渡るようになりました。やがて、コンサルティングだけでなく、工場のラインの操業自体も依頼されるケースが増え、多い時には100名近くを派遣するなど、人材派遣業が主力になった時期もありました。その後、人材派遣業は徐々に縮小し、コンサル業で培ってきた塗装技術のノウハウを足掛かりに、創業時に目指していた開発志向のものづくり企業へと転換していきました。
 
インタビュー
新連携支援事業も活用し市場開拓を進めている、無機塗料「ゼロ・クリア」に関する事業についてお聞かせください。
 
説明 小川社長
 法人化して間もない頃、「特殊な塗料を発明したが後継者がいない。事業を引き継いでくれないか」との突然の電話がありました。お聞きしますと、その方は様々な可能性を秘めている新しい塗料を発明したものの、事業化に当たって必要な塗装技術を持つ企業を探しているとのことでした。塗装関係者の間で名が知られるようになっていた当社の事が伝わり、塗装関係に特化して人材育成を行ってきた実績から、様々な塗装のノウハウや設備への知見があり、塗装会社ともネットワークがあるということで、事業化できる企業として見込まれての打診でした。当社としては、挑戦するなら本業として取り組んでいこうと考え、その方と特許の専用実施権の契約を結び、商標を「ゼロ・クリア」として販売を開始しました。
 「ゼロ・クリア」は、環境に優しい無機の塗料で多様な機能を持っています。親水性が高いため、表面に油等の頑固な汚れが付着しても水をかけるだけで汚れを浮かせて洗い流すことができます。
汚れの取れるメカニズム
また、表面硬度が高いため傷が付きにくく、耐摩耗性に優れ、耐熱性・抗菌性も有しています。ステンレス等の基材に、ゼロ・クリアをコーティングすることで基材の付加価値が格段に上がります。
 初めて商品化に結びついたのは、金属洋食器の産地である新潟県燕市のハウスウェアメーカー11社との契約です。「エコクリーン」というブランドで、ゼロ・クリアをコーティングしたスプーンやフォークなどを販売しヒットしています。
  油性マジックもみずだけで落ちるl

ゼロ・クリアコーティング事例  
 さらに厨房機器メーカーや外食産業から、厨房のダクトや壁面などの清掃には労力とコストがかかっており、洗剤不要で水をかけるだけで油汚れを容易に洗い流せるゼロ・クリアを適用できないかとのリクエストをいただきました。トライしてみたところ、厨房関係に使用されている基材のステンレス鋼板は、養生テープが貼られて納入されるため、テープの糊を除去してからコーティングする必要があり、通常考えられる方式ではこの処理にかなりのコストがかかることが分かりました。支援機関の協力も得ながら研究を重ねた結果、コーティングにかかる時間とコストの削減に成功し、実用化することができました。既に大手食品スーパーや中華料理のチェーン店等に採用されており、施工してから年数を経てもピカピカで綺麗なままです。
 当社は、ゼロ・クリアを防汚塗料のスタンダードとすることを目標に、新連携支援事業も活用し、各種展示会に出展しPRしてきました。昨年度あたりから、大手製造業の工場内や高級マンションの壁面などに採用され始め、まとまった注文を受けるなど、機能性の評価と認知度が高まってきました。設計事務所やデザイナーにも知れ渡ってきましたので、今後の更なる受注拡大に期待がかかります。現在、複数の外食産業チェーンとの商談も進行中です

中小企業総合展/外食産業フェア
展示会出展風景:中小企業総合展/外食産業フェア
 一般家庭向けに、この4月からは商社経由で調味料等を載せるキッチン用品が大々的に販売を開始しています。コーティングの依頼を受けた商品には、ゼロ・クリアのロゴマークを付け、それを宣伝材料に様々な用途のオファーがくる仕掛けとしています。ただ、塗料販売やコーティング加工代だけでは、当社の売上げとしてはなかなか上がっていきませんので、今後は、自社ブランドによる最終商品を販売していきたいと考えており、カリスマ主婦の方との提携など、オリジナルの商品開発をスタートさせる予定です。
東京都内喫煙所実証実験: 壁面にゼロ・クリアをコーティング。落書きが雪の水分で流れ落ち始めている。
 また、医療関係や自動車部品など、傷が付きにくい特性や抗菌性を活かした用途はまだまだ多く考えられ、可能性は未知数です。コーティングする基材はステンレスに限らず、鉄やアルミニウム、ガラス、陶磁器なども可能で、現在はマグネシウムへのコーティング技術の開発に取り組んでいます。ノートパソコンやデジタルカメラなど軽量化が求められる製品にはマグネシウムが使用されており、マグネシウム材の機能強化は市場からも期待されているところです。
 
 
「zen」は、東西南北のボタンを1個に集約し、方角を意識することなくコントローラを向けた方向(360度)に走行できる
  「zen」は、東西南北のボタンを1個に集約し、方角を意識することなくコントローラを向けた方向(360度)に走行できる。
インタビュー
2011年度のグッドデザイン賞を受賞されるなど高い評価を得ている「天井クレーンコントローラ」の開発経緯等を教えてください。
 
説明 小川社長
 派遣先でトラブルが続いているので指導に来てくれと言われ、赴いた現場で当社の社員が天井クレーンの操作ミスを繰り返しているのを目の当たりにしました。天井クレーンの操作は、天井の方角板を見ながら、移動方向の安全にも気を配りつつ、東西南北の4つのボタンで操作するため、慣れるのには時間がかかります。また、ミスも起こしやすく、重い荷を運んでいるため、死傷事故につながるケースも少なくないと知りました。もっと安全で簡単に効率良く操作できるコントローラがあればと思い、電機メーカーで電子制御機器の製造に携わっていた経験を活かして何とかできるのではと、開発に着手しました。その結果、進行したい方向に向けるだけで簡単に操作できるコントローラの開発に成功し、7年程かけて商品化へとこぎ着けました。全くの異業種であったからこそ、当たり前に使われているものを改善できないかとの発想につながったのだと思います。本システムと従来方式の走行ルートの違い東西南北の4つのボタンを1つに集約し、コントローラを向けた方向に進むというシンプルな構造で、進行方向をLEDの表示パネルで示すことで、工場内にいる他の作業者にもクレーンの動きを認識できるようにしました。斜め走行も自在で、目的地まで最短で到達することができるので作業効率もアップします。従来の天井クレーンに比べ作業音が非常に静かで、安全に安心して操作できることから商標を「zen」(禅)としました。国内だけではなく、ヨーロッパ、アメリカ、中国、韓国にも特許出願し、既にいくつかの特許を取得しています。
 安全性の確保や作業の効率化といった業界の懸念を改善する機能性が評価され、2011年度のグッドデザイン賞を受賞しました。開発当初から、グッドデザイン賞を目指して作り込んできましたので、喜びもひとしおです。何十年と全く変わらなかった天井クレーンの操作方式を大きく変える画期的な製品であると、クレーンメーカーやホイスト(クレーンの巻き上げ装置)メーカー等からも高い関心が寄せられています。
   
 
於:2011年度グッドデザイン賞表彰式る
  於:2011年度グッドデザイン賞表彰式

 課題はコストです。既設の天井クレーンも当社のコントローラに置き換えることができますが、性能は理解いただいても、金額が高いため導入にはなかなか至りません。現在、コスト面の課題を解決するために、製品改良を進めています。また、ハードを提供するだけのビジネスではなく、個々の事業所や現場に合わせたソフトウェアの提供など、サービス面を充実させた提案をしていきたいと考えています。
 
インタビュー
今後の展望などをお聞かせください。
 
説明 小川社長
 これまでは開発に注力してきましたので、今後は無機塗料とクレーンコントローラの2本の軸を発展させながら、製造・販売を本格化していきます。当社の製品がグローバルスタンダードになることを目標に、既に話を進めている中国、台湾、韓国を始めとする海外市場にも展開していき、海外での反響をもとに国内の事業拡大にもつなげていきたいと考えています。日本をものづくりの拠点とし、国内特許だけではなく海外特許の取得も積極的に進め、技術の模倣や流出が起こらないよう留意しています。
 数字的な目標は、与えられた仕事に対し一生懸命に努力した社員には年収600万円ほどの安定した収入が得られるように事業を固め、200名の従業員体制とすることです。これを達成することを念頭にビジネスプランを描き、今何をやれば良いかを常にイメージし考えています。中小企業の強みの一つには、決断して実行するスピードにあります。生き残っていくためには、スピード感を持って先行優位性や差別化を狙っていくことが必要です。
 当社は、創業時から企業や大学、行政・支援機関の多くの皆様から支援をいただきここまで成長してくることができました。昨年は大手ベンチャーキャピタルから出資をいただき、各金融機関からも一目置かれる様になり、関係企業に当社を推薦いただくなど、事業の幅が広がりつつあります。報恩の精神を持って挑戦し続け、事業を軌道に乗せ、当社のものづくりを世界に発信していくことを恩返しと信じ、今後も突き進んでいきたいと思います。
 
 

本日はお忙しいところ取材にご協力いただきありがとうございました。夢は大きく目標は高く、挑戦する企業であり続けるとの気概に感銘を受けました。高い独創性をスタンダード化させることを目指す2事業の今後の展開が楽しみです。御社の更なる躍進と皆様の御活躍をお祈り申し上げます。
 
《《《 会 社 概 要 》》》
SP SP
会 社 名 株式会社五合  
明石 寛治 社長
小川 宏二 社長
本  社 愛知県春日井市大手町4-8-10  
創  業

2000年(平成12年)5月

 
設  立 2003年(平成15年)5月  
代 表 者 代表取締役社長 小川 宏二  
事業内容 無機塗料の製造・販売及び無機塗料製品の開発・製造、天井クレーンコントローラの製造・販売  
資 本 金 2,500万円  
従 業 員 9名  
U R L http://www.gogoh.jp/  
T E L 0568−35−2001  
F A X 0568−35−2018  
取材:平成24年4月16日 総務課 情報公開・広報室


 

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