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中部発きらり企業 Vol. 78

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マツダ化工株式会社
高度精密加工技術により航空宇宙産業の発展に貢献

今回は、マツダ化工株式会社の村瀬一政社長にお話を伺いました。同社は、アルミ等の一般的な素材からインコネル(ニッケル基の超合金)等の難削材まで幅広い材料を精密加工できる技術をベースに、航空宇宙関連の部品等を製造・加工しており、戦略的基盤技術高度化支援事業(通称:サポイン事業)を活用し新たな加工技術の確立にも取り組んでいます。

マツダ化工(株)[本社]
マツダ化工株式会社 [本社]
インタビュー

御社のこれまでの沿革等について教えてください。

 
説明 村瀬社長
 私は20年間、名古屋の商社に勤め、三菱関係の営業を担当していました。技術屋ではありませんが、納期に間に合わせるために製造現場に入って加工の手伝いなどをしていました。1985年、一念発起し、仲間と春日井市内でマツダ化工を創業しました。樹脂関係の製品を扱う仲買いからスタートし、その後、主に商社勤めの時につながりのあったメーカーからの依頼で、航空宇宙関連や自動車関連の治具(加工する部品を固定し切削工具等を案内する器具)や試作品の部品の製造・加工を手掛けるようになりました。受注が増え、製造が間に合わなくなったため、1993年に市内の別の場所に工場を設け、同年、株式会社化しました。引き受け手がない仕事もこなしていくことで、技術力をつけていき、業績も伸びていきました。その頃は航空宇宙関連と自動車関連の仕事は半々くらいでした。取り扱う材料は樹脂からアルミなどの金属へと幅を拡げ、加工設備も徐々に充実していきました。2003年から航空宇宙関連の部品そのものの製造も手掛けるようになり、以降は航空宇宙関連の仕事を中心にシフトしました。
工作機械等が立ち並ぶ工場内 航空宇宙関連の治具
工作機械等が立ち並ぶ工場内

 

航空宇宙関連の治具
商社マン時代からよく出入りしてきた三菱重工さんからの仕事でもあり、発展途上の中小企業としては、営業を強化してあちこちを回ることは難しく、限られた人員で効率を上げてやっていくために必要な選択でした。航空宇宙関連の事業が伸び、加工設備の増強が必要となり、スペース不足を解消するため、市からの支援も受け、2007年に現在の場所に移転しました。昨今の売上げの構成は、航空宇宙関連が9割を占めており、残り1割は建設機械関係などです。
 
3次元測定機
3次元測定機…厳密な測定データを得るため部屋の温度管理もされている
 
複合加工機
複合加工機…工程を1台の加工機に集約。
加工機別に工作物をセットし直すことによる誤差を防止
インタビュー
航空宇宙関連の治具だけではなく、部品にまで手を拡げられたのが大きな転機であったと思いますが。
 
説明 村瀬社長
 三菱重工さんから最初に製造依頼があったのは、国産ロケットのエンジンに使用する部品でした。加工の依頼先を捜しても、なかなか引き受け手が見つからず、最後にたどり着いたのが当社であったようです。加工材料は耐熱性・耐食性などに優れているインコネルで、特に航空宇宙関連には欠かせませんが、とても硬く加工が難しい難削材であり、頼まれても敬遠されがちな材料の一つでもあります。当社としても未知の世界であり、正直なところ出来るかどうか不安でしたが、保有している設備で対応できるということで、三菱重工さんの協力指導のもとに加工のノウハウを会得していきました。また、それまでの仕事では、出荷時に当社で精度を保証するということはありませんでしたが、航空宇宙関連の部品を納めるには、誤差1/100ミリといった高い精度が要求されると共に、その保証も必要となります。三菱重工さんの勧めもあり、当社自ら精度を保証するために、3次元測定機を導入しました。手工具よりも測定機による測定データの方が、信頼のおける保証となります。当時は、まだ加工設備が充分とはいえない状況下で、測定機は後回しにすべきとも考えられましたが、3次元測定が広まりつつある時期でしたので、測定機の導入の方を優先しました。当社にとっては高額で資金的にはとても苦しいものがありましたが、無理をしてでも先行投資したことは、結果として会社のステップアップにつながりました。3次元測定機により、加工時にズレが発生しないように工作機械のプログラムを調整し、加工精度を上げるとともに、加工後の製品の精度を保証し、当社で責任を持って納品できる体制を整えていったことで、航空宇宙関連独自の厳しい規定をクリアする高緻密で高性能な部品を提供することが可能となり、仕事の幅が広がりました。難度の高い部品にチャレンジし、うまくいかず、もうやめようかと思うくらい辛い時期もありましたが、それも教訓となって、徐々に技術のレベルアップを図り、航空宇宙関連の部品等の製造・加工が当社の事業の柱になっていきました。
建設機械の部品
 建設機械の部品の加工前・後 …リングの肉
 厚を精密加工
 一般的には、誤差5/100ミリ未満の精度が求められる加工は難しいといわれている中、当社は軽金属から難削材まで、あらゆる材料について誤差3/100ミリ以下の精密加工と精度の保証ができますので、航空宇宙関連以外でも、他所では敬遠されがちな高い精度を必要とする仕事が舞い込むようになりました。現在、建設機械の部品の仕事を受けていますが、誤差がクリアできずに困った末に、当社に持ち込まれ引き受けることになった仕事です。他にも、工作機械や半導体ラインの部品等も請け負っています。ロットは少なくても、特殊で難しい加工は単価の高い仕事です。数ではなく技術で勝負するのが当社の生きる道と考えています。
 

ジェットエンジンイメージ図
インタビュー

戦略的基盤技術高度化支援事業(通称:サポイン事業)も活用して取り組まれている、ワイヤ放電加工技術の高度化に関する研究開発について教えてください。

 
説明 村瀬社長
 航空機エンジンに使用する大型部品で、タービンを回転させるブレード(羽根)を保持するタービンディスクは、ブローチ盤とブローチカッターによりブレードを取り付ける溝加工が行われていますが、設備や工具は高額である上、大型で広いスペースを必要とし、限られた大手企業しか対応していません。当社は、これを中小加工業者でも保有している小型のワイヤ放電加工機を活用して加工することができないかと考えました。ワイヤ放電加工は、難削材も複雑形状に精密加工できる加工技術で、多種類の工具は不要で、ブローチ加工と比較すると設備も工具も安価ですので、加工コストの削減にもつながります。加工に時間がかかることがデメリットとして挙げられますが、少ロットで勝負する当社には工夫の余地があると考えました。加工方法は、工作物を加工液にさらし金属製のワイヤを用いて放電を発生させ溶融して加工します。加工液には加工速度に優れる水が使用されることが多く、工作物を水にさらす方式として、水を吹き掛ける方式と水槽に漬ける浸漬方式があります。浸漬方式の方が水の途切れがなく安定した加工が得られるので主流となっていますが、水槽内に収まるサイズまでしか加工できないという制約があります。当社は、水槽内にセットが困難なタービンディスクなどの大物加工に対応するため、工作物を回転テーブルに載せて加工する吹き掛け方式により、浸漬方式と同様の安定した加工性を実現することを目指し研究開発を進めました。
ハイブリッド方式
結果、吹き掛け部分の外周を更に水で覆う、ウォーターカーテンの有効性が確認でき、吹き掛けと新たに考案したウォーターカーテンのハイブリッド方式により、浸漬方式と同等の安定した加工を実現しました。ウォーターカーテンがワイヤの冷却効果として働き、従来の吹き掛け方式に比べ、加工速度のアップとワイヤの断線防止を向上させることができ、低コストで高精度なタービンディスクを加工することに成功しました。
 この研究開発の成果を航空機の分野で活かしていくには、大手メーカーの承認を得るため、高いハードルをクリアしていく必要があります。現段階では、まずは構造を同じくし技術的にクリア可能な自家発電機のガスタービンへの技術転用を模索中です。防災関連や非常用として需要が拡大している自家発電機での実績を作り、今後、航空機の量産のタイミングが訪れた際にチャンスを捉えていけるよう備えていきたいと思っています。また、難削材の大物部品の精密加工については、様々な分野でニーズがありますので、自家発電機以外への技術転用も視野に入れ、加工時間の更なる短縮化等の研究開発を進めつつ、実用化を目指していきます。
回転テーブル部
改造したワイヤ放電加工機内部:回転テーブル部
  タービンディスク(直径800mm)試作品
  タービンディスク(直径800mm)試作品…拡大部が研究開発の技術により加工したブレードを取り付ける溝部分
インタビュー
今後の展望などをお聞かせください。
 
説明 村瀬社長
 現在は、主に三菱重工さんからの依頼により、部品や治具を製造していますが、ゆくゆくは当社自身で考え、「こういう機械には、これをつければ精度が上がる」といった治具の企画提案をし、自社製品として販売できるようにもなりたいです。逆に、そうしたことをプラスしていけなければ会社の成長は難しいだろうと思っています。
 当社は三菱重工さんの名古屋誘導推進システム製作所の協力会のメンバーであり、協力会が立ち上げたMASTT(マスト)にも参画しています。MASTTは、24社が協力し合うことで、航空宇宙関連の部品をモジュール単位で加工から組立まで一貫受注できる体制を組んでおり、海外メーカーとの直接取引を視野に入れています。また、名古屋大学・大同大学とMASTTの連合により、超小型人工衛星「ChubuSat−1」の開発を進めています。小型の人工衛星が実用化され量産化となれば、これまでよりはるかに低いコストで宇宙からの観測が可能となります。航空宇宙産業における新興国の台頭がめざましい中、こうした産産や産学の連携による取組が新たなビジネスへとつながるためにも、当社としては技術力に更に磨きをかけて走り続けていきたいと思います。
SP

本日はお忙しいところ取材にご協力いただきありがとうございました。航空宇宙産業を支えている技術力を垣間見ることができました。中部地域は、我が国最大の航空宇宙産業の集積地であり、経済活性化の原動力として期待される分野です。御社の更なる躍進と皆様の御活躍をお祈り申し上げます。
SP
 
              《《《 会 社 概 要 》》》
  SP SP  
会 社 名 マツダ化工株式会社  
村瀬 一政 社長
村瀬 一政 社長
本   社 愛知県春日井市桃山町3−42−  
創   業

1985年(昭和60年)2月

 
設   立   1993年(平成5年)1月  
代 表 者 代表取締役 村瀬 一政  
事業内容

航空宇宙関連の部品・治具の製造・加工等

 
資 本 金 1,000万円  
従 業 員 30名  
U R L http://www.matsudakakou.co.jp/  
T E L 0568−85−0601  
F A X 0568−85−0688  
取材:平成23年12月21日 総務課 情報公開・広報室


 
 中部経済産業局 総務課 情報公開・広報室

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