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中部発きらり企業 Vol. 76

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アタム技研株式会社 アタム技研株式会社
福祉用具の洗浄・消毒・乾燥機器の開発で、介護等の現場の安心・安全に貢献

 今回は、 アタム技研株式会社の玉田一實社長にお話を伺いました。同社は、燃焼技術や電子制御技術及びそれらを組み合わせたメカトロ技術をベースに、各種公的資金も活用しながら、業界初の車いすの全自動洗浄・消毒・乾燥機をはじめ、車いす車輪洗浄機や利便性の高いマットレス洗浄機・高速乾燥機等を開発し、福祉用具を清潔に保つ機器として、介護や病院等の現場の安心・安全に貢献しています。

アタム技研(株)扶桑事業所

アタム技研(株)扶桑事業所
インタビュー

御社のこれまでの沿革等について教えてください。

 
説明 玉田社長
 リンナイ(株)の専務を務めて退職した後、もともと技術畑にいた私は、技術者としてもう一度現場に立ち、ものづくりに携わりたいとの思いから、平成2年に60歳で当社を設立しました。製造業の技術指導や品質管理等のコンサルタント業でスタートしましたが、経済情勢が厳しくなり、経営が安定せずに悩んでいた折、お客様からの依頼により開発業務だけではなく製造も受託したことをきっかけに、その後、OEMや自社製品の開発・製造に積極的に取り組み、事業を拡大してきました。
水食器洗浄機用給湯ユニット
食器洗浄機用給湯ユニット
「ガスブースター」
当社の強みは、燃焼技術や電子制御技術及びそれらを組み合わせたメカトロ技術です。これらの技術を活かし、ガス暖炉やガス給湯器等を商品化しました。ガス給湯器は外食産業向けの食器洗浄機のすすぎと消毒に使用するもので、省エネと省スペースを実現した商品です。また、OEMでは、業務用厨房機器の温度等調理条件のコントロールを行う電子制御ボックス等を大手厨房機器メーカーに提供しています。平成8年には、大学病院からの依頼により手術用メス等の洗浄機を開発、平成11年から車いすの自動洗浄機の研究を進め、業界初の車いす全自動洗浄・消毒・乾燥機を開発し、平成16年に販売を開始しました。その後、車いす車輪専用洗浄機、マットレス洗浄・消毒・乾燥機等を順次開発し、福祉用具の洗浄等を行う機器の事業拡大を進めています。現在、売上げの構成は、自社ブランドが75%を占めており、25%がOEMや受託業務です。
 



車いす全自動洗浄・消毒・乾燥機 「リフレッシャー」(特許取得済)
車いす全自動洗浄・消毒・乾燥機
「リフレッシャー」(特許取得済)
…逆さに設置するのも汚れを残さないためのノウハウの一つ
インタビュー

福祉用具の洗浄等を行う機器の開発について詳しくお聞かせください。

 
説明 玉田社長
 手術用メス等の洗浄機を開発した際、折角だから展示会に出そうということで、名古屋開催の「ウェルフェア(国際福祉健康産業展)」に出展しました。その展示会で、来場者が「医療器具の洗浄が出来るなら、車いすも洗浄できる機器があるといいね」と話しているのを小耳にはさみました。当時、当社の主力商品であるガス給湯器は、外食産業向けであるため、景気の落ち込みの影響を受けて伸び悩んでいたことから、他にも柱となる商品を開発していこうと検討していた時期でもありました。誰も考えなかったものを作り、それが商品になり人の役に立つというのはものづくりに携わる者として一番の喜びです。「あるといいね」という言葉をきっかけに、車いすの自動洗浄機にトライしていこうと考え、幸いにも公的資金も獲得することができ、本格的に開発に着手しました。
 車いすは、様々な形状や材料の仕様があります。どの車いすでも同じように洗浄できる機器にするため、開発は試行錯誤の連続でした。汚れを落とすためには、ノズルで高圧水をぶつける必要があるということにたどり着きましたが、高圧水が当たらない部分が生じてしまうという課題のクリアは一苦労でした。洗剤は、アメリカの専門メーカーに依頼し、循環させるために泡の発生を抑え、車いすを傷めない洗剤を開発しました。5年という歳月を要し、業界初の車いす洗浄・消毒・乾燥機の開発に成功しました。温水洗浄・すすぎ・湿熱消毒・乾燥の工程を全自動で行い、所要時間は約60分です。循環洗浄により、手洗いの1/6程度の節水を実現しました。最初はなかなか売れませんでしたが、モニターで使用していただいたお客様からの様々なアドバイスに基づき、改良やバリエーションの開発を重ね、本格的に売り出したところ、性能が良く故障がないということで人気が出ました。1台目の販売から今日に至るまで、故障メンテナンスのサービスコールは殆ど受けていません。
 車いす洗浄・消毒・乾燥機の開発後、様々な公的資金も活用しながら、福祉用具の洗浄等を行う機器を順次開発しました。
車いす車輪専用洗浄機 「ピッカラー」(特許取得済)
車いす車輪専用洗浄機 「ピッカラー」(特許取得済)
…ブラシユニットは車輪の太さに合わせて包み込む
構造
 車いす車輪専用洗浄機は、特に要となるブラシ部分に徹底してこだわり、トライ&エラーを繰り返して3年がかりで開発しました。4輪同時に洗浄し、洗浄時間は約10分で、新品同様にまできれいになります。
 マットレス洗浄・消毒・乾燥機と多目的・高速乾燥機は、昨年秋に販売を開始した新商品です。マットレスの局所部分の汚れを落とすには高圧洗浄機で事前に洗う必要がありますが、前処理洗浄したマットレスは水を含んで重くなりますので、洗浄機にセットするのが大変です。そこで最初からマットレスを洗浄機にセットした状態で表裏両面の前処理洗浄を行えるよう、縦型の洗浄機を開発しました。この方式は他にはない当社独自のアイデアで、縦型にしたことで省スペース化も実現しています。
 多目的・高速乾燥機は、マットレス1枚10分、最大4枚でも30分で乾燥できます。従来、洗浄したマットレスの乾燥は5〜6時間かかっていましたが、強力な送風機により、ガスによる熱風を上から下に通り抜けさせるという新方式で、乾きにくかったマットレスの芯まで高速で完全に乾かすことができます。
 車いすやマットレス等は、長時間使用し汚れが蓄積します。当社の商品は、福祉用具の洗浄等を通じて、介護や病院等の現場を清潔に保ち、感染防止に効果を発揮すると共に、洗浄作業等の省力化を実現します。これまで当社の売上げのトップは、ガス給湯器でしたが、昨年、初めて車いす洗浄機の売上げがトップになりました。お客様に使用いただき、好評を得ている結果が徐々に出始めているのだと思います。
マットレス洗浄・消毒・乾燥機 (特許出願中)   多目的・高速乾燥機 (特許出願中)
マットレス洗浄・消毒・乾燥機 (特許出願中)
…マットレスを縦にセットしたまま前処理洗浄が可能
  多目的・高速乾燥機 (特許出願中)
…車いすなら複数台同時の乾燥が可能
SP
開発した各種電子基板
開発した各種電子基板
インタビュー
技術継承など人材育成の取り組み等について教えてください。
 
説明 玉田社長
 当社は開発志向型企業で、従業員26名中、19名が技術系です。ニッチな市場を狙って開発に取り組んでいることもあり、業者間の交流・競合も乏しいため、井の中の蛙にならないよう常に外に目を向けることを心掛けています。創業時に集まったメンバーは、年を重ねてきましたので、次の世代にバトンタッチしていく時期を迎えています。現在、熟練者に若手をつけて、OJTにより、燃焼技術や電子制御技術といった当社を支えているコア技術の習得・継承に取り組んでいます。つい最近では、即戦力を求め、60歳を超えた方を複数名採用しました。ものづくりの経験を積んでいる方々で、当社の技術をいち早く吸収してもらうと共に、若手に技術を教えていってほしいと期待しています。営業部門を充実していくことも課題ですが、技術系であっても、営業の素質を持っている者もおり、商品の中身を良く分かっていることがプラスの武器にもなりますので、人材の適所適材を見極めつつ対応していきたいと考えています。
SP

「国際福祉機器展2011」 展示風景

「国際福祉機器展2011」 展示風景
インタビュー

御社の今後の展望などをお聞かせください。

 
説明 玉田社長
 高齢化社会が進み、車いすの需要も徐々に増えていますが、そもそも車いす全体を洗浄するという概念がありませんでした。車いすの全自動洗浄機に対する潜在的ニーズはありつつも市場自体がなかったため、新しく市場を作っていくことから始めており、販促活動はまだまだこれからと考えています。現在は、主に福祉用具のレンタル業者向けの販売が好調ですが、市場規模では、老人保健施設や病院等が圧倒的に大きいので、こうした施設等への導入実績を上げていきたいと思っています。新聞や専門誌等を通じたPRに力を入れると共に、世界の福祉機器が一堂に集まる国際展示会「国際福祉機器展(H.C.R.)」にも毎年度出展し、商品の普及を図っています。今年度の出展では、マットレス洗浄関係の商品も多くの引き合いがあり、取引拡大に期待しているところです。
 自社製品の開発では、現在、NEDOの助成金を活用し、マットレスの乾燥からもう一歩進み、復元(リフレッシュ)する装置の開発に取り組んでいます。老化したマットレスが年間100万枚廃棄されており、これを何とかできないかとの思いからの挑戦です。OEM関係の一つとして、戦略的基盤技術高度化支援事業(通称:サポイン事業)を活用し、業務用揚げ物機器であるフライヤーのバーナーユニットとその燃焼制御の開発に取り組んでいます。こうした新たな取り組みの事業化も当面の課題です。
 先行きに向けては、既存の事業を拡大していくことは勿論のこと、もう一つ新たな柱を立てていきたいと思っています。そのためには、自社製品やOEMで培ってきた保有技術をいかにうまく応用し拡大していくか、そのためのアイデアがとても重要です。社員からのアイデア提案やお客様の様々なニーズを吸収しながら、新たな商品開発に向け挑戦し続けていきます。社名のATAM(アタム)は、アドバンスド・テクノロジー・アンド・マーケッタビリティの頭文字を取っています。これまでニッチな市場で世界一を目指し、他にはない有用なものを開発し提供してきました。今後とも、技術を通じて、市場に良いものを提供し社会に貢献していくことをモットーに、多くの方々に幸せを売る企業であり続けたいです。
 

本日はお忙しいところ取材にご協力いただきありがとうございました。これまで誰も取り組んだことのない新しいものを作り上げていくという挑戦するパワーと、技術を通じて幸せを売るという強い心持ちに感銘を受けました。御社の更なる躍進と皆様の御活躍をお祈り申し上げます。
SP
 
              《《《 会 社 概 要 》》》
  SP SP  
会 社 名 アタム技研株式会社  
玉田 一實 社長
玉田 一實 社長
本   社 愛知県名古屋市中区新栄3−8−31 宮崎ビル1階  
扶桑事業所 愛知県丹羽郡扶桑町大字小渕字宮東の切915−1  
設   立 平成2年(1990年)2月  
代 表 者 代表取締役社長 玉田 一實  
事業内容

福祉機器等洗浄・消毒・乾燥機器、ガス関連機器の開発、製造販売等

 
資 本 金 3,500万円  
従 業 員 26名  
U R L http://www.atam.co.jp/  
T E L 0587−92−1161(扶桑事業所)  
F A X 0587−92−1160(  〃   )  
取材:平成23年10月13日 総務課 情報公開・広報室


 
 中部経済産業局 総務課 情報公開・広報室

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