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中部発きらり企業紹介 Vol. 69

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  株式会社岐阜多田精機
 

 

モノ作りの原点 金型一筋に未来へ挑む!  


今回は、 戦略的基盤技術高度化支援事業(通称:サポイン事業)を活用し「高精度金型製造技術の開発」に取り組むなど、豊かな発想力と企画力でモノ作りの原点であり基盤である金型技術の高度化に挑み続けている、株式会社岐阜多田精機の多田敏雄社長と多田憲生統括部長にお話しを伺いました。
(株)岐阜多田精機 [本社]
(株)岐阜多田精機 [本社]
 
インタビュー
 御社のこれまでの沿革について教えてください
 
説明 多田社長
 昭和30年代に、実兄が名古屋に金型製造の多田精機を設立したのが始まりです。実兄に誘われて入社してまもなく、業務拡張の話が持ち上がりました。人材と用地の確保のしやすさを考えた末、岐阜県に絞り込み、私に一切が任されました。昭和45年に岐阜工場の創業開始にこぎつけたものの、自動車メーカーなどのお客様は愛知県に集中しており、金型の仕事は近くて便利な愛知県の金型屋に流れるため、仕事をもらうために型と名が付けば何でも手を挙げてやりました。愛知県の金型屋にはあふれるくらいの仕事がある中、岐阜工場では愛知県の金型屋が断るような工程に手間がかかる複雑形状の金型など、難しい仕事にも取り組まざるを得なかったのですが、それが功を奏し技術向上や顧客開拓などにつながって成長することができ、昭和55年に岐阜多田精機として分離独立するに至りました。お客様の困難な要求に対して断ることをせずに取り組んできたことで、当社は着実に力量を付けていくことができた訳です。早い時期からNC工作機械を、また業界に先駆けてCAD/CAMシステムを導入するなど、精度の高い金型を効率よく製造するための設備投資を積極的に推し進め、会社の基盤を築いてきました。設備投資は農業でいうところの種まきです。種をまかないと芽は出ません。
CAD/CAM設計室 工作機械が並ぶ製造現場
CAD/CAM設計室 工作機械が並ぶ製造現場
SP
ダイカストによる複雑形状部品
ダイカストによる複雑形状部品
インタビュー
 国内メーカーの海外進出が進み、金型業界は厳しい状況にあるかと思いますが、自動車部品や住宅設備の大手メーカーを取引先としている御社の強みは何ですか?
 
説明 多田社長
 確かに金型業界は大変厳しい状況に置かれています。ある程度の技術レベルと機械があれば海外で低コストの金型ができます。同じ土俵で勝負してはコスト競争で負けますから、当社は技術レベルで上をいく難易度の高い金型に取り組むことで差別化を図っています。高付加価値の成形品を作るには高品質で高精度な金型が必要であり、当社はそこで勝負し、他の追随を許さないきちっとした仕事をこなし実績を積んできました。ただ作るのではなく、設計の知恵、機械の使い方など、金型作りをトータルでみた時の職人の感性や技術が差別化の源です。また、当社が生き残ってこられたのは、金型の一流ホテルであり続けようと、本業一筋に真摯に取り組み続けてきたからだと思います。一流ホテルであるということは、金型作りの全てを内製化し、当社自身が責任を持ってお客様に提供するということです。
説明 多田部長
 これまでは減点がなければ仕事がありましたが、これからは特典がないとやっていけないと思っています。当社は金型のプロフェッショナルとしてお客様のニーズに応えるとともに、付加価値を提案できる技術レベルを保持していくことが大事だと思っています。金型は当社にとっては商品ですが、お客様にとっては成形のための道具です。耐摩耗性や耐食性などを考慮し、耐久度が高く生産性の良い金型をいかに提供できるかを常に考えています。そのために、まずは金型の材料からこだわっています。もともとは鋼材の面削工場としてスタートしており、一次問屋である大手材料メーカーと直接取引する中で、材料に関する知見を持っています。時にはお客様の求める機能に見合った金型の最適な材料を提案しています。設計においては、三次元CAD/CAMをいち早く導入し、先端のモデリング技術により不可能と思われるような複雑形状の金型作りを実現し、お客様の高い要求に対応しています。加工においては、インゴットの面削から表面処理まで、金型製造のほぼ全ての工程を内製化しています。これまで一貫して設備投資は惜しまず機械化を進めてきました。人の手による加工には自ずと限界があり、高い精度を出すには機械加工が必要だからです。加工機のみならず、材料の品質を高める熱処理装置や、精緻な直角度を出すための三面研削盤なども導入し、徹底して良い金型作りを追求しています。当社は材料、設計、加工と金型製造に関わる全てにおいて、基本に忠実なモノ作りにこだわってきました。同時に、職人の技と最新鋭の機械との融合により、常に次の段階のモノ作りを目指してきました。注文を受けたら、持てる精一杯の知識と技量で作る、50万ショットの仕様なら100万ショットを超える耐久性で応える、そこがお客様に認められて岐阜多田精機なら任せられると次の仕事がきます。当社に営業マンはいません。金型自身が営業マンです。年間220型の営業マンを送り込み、お客様のところで頑張ってもらっています 。
真空熱処理装置 三面研削盤
真空熱処理装置
三面研削盤
SP
インタビュー
 戦略的基盤技術高度化支援事業(通称:サポイン事業)を活用された「高精度金型製造技術の開発」について教えてください。
 
説明 多田部長
 プラスチック部品の成形過程では、金型の分割ラインに発生する段差(バリ)を取るために、成形後に研磨処理を要する場合が多いのですが、本研究開発では段差が出ない金型作りを目指し、高温における金型の歪みを解決する金型設計の実現により、ほぼ段差ゼロに近いレベルを達成しました。これにより、意匠性の高い部品や複雑形状の部品であっても、成形後の研磨処理が不要となり、お客様の生産コスト削減に貢献することができます。また、金型の温度調整に係る技術も開発し、成形サイクルの高速化や融点の高い耐熱性プラスチック等の精密成形も実現しました。今後、自動車、医療、家電など様々な分野での活用が考えられます。お客様が競争力ある商品を作り続けていくために、当社からも様々な提案をし始めているところです。
研究開発成果の概要

トヨタのコンパクトカー「iQ」搭載のエアコン用ファン

 

 

 

(成果活用例:トヨタのコンパクトカー「iQ」搭載のエアコン用ファン/射出成形で研磨処理不要を実現、小型化・軽量化・消費電力減により燃費向上に貢献)

 

SP

インタビュー
 人材についてはどのようにお考えですか?
 
説明 多田 社長
 当社はパートや派遣社員はいません。全員、正社員です。会社はみんなの会社であると常々言っています。平均年齢は36歳くらいですが、60歳過ぎの社員もいます。人生をかけてこの仕事をやっているので、60歳になったからもういいということにはなりません。設計においても、製造においても、仕事はチーム体制を取り、リーダーを決めてOJTを実施しています。機械化は、機械を動かすために社員がいるのではなく、社員が効率よく働けるように機械を用意するという考えの下、交代制で機械の稼働率を上げるようなことはせず、無理なく仕事が出来ることを優先しています。仕事以外のコミュニケーションも盛んに取り、社員が一丸となり会社が成長していくことが、ひいては社員の満足につながるという意識を共有しています。当社の規模だから出来ることで、100人が一つの目安と考えています。
チーム体制によるOJT
SP
インタビュー
 今後の御社のビジョンなどをお聞かせください。
 
説明 多田部長
 中部経済産業局が取り組んでいる次世代自動車地域産学官フォーラム・パートナーズに加入しており、電気自動車など燃費向上のために軽量化が求められている中で、当社の金型技術が活かせる場が少なくないと思っています。当社はお客様の商品が売れてなんぼですので、日本のメーカーが世界で勝っていく商品を作ることに協力していきたいです。また、昨年、福岡県に福岡多田精機を設立しました。アジア経済が伸びていく中で、日本のモノ作りが生き残っていくために、国内でどこが一番戦いやすいかを検討した結果、福岡という結論に至りました。日本でしか作ることのできない付加価値の高い商品を海外へ輸出していく拠点として、福岡には今後更に技術集積が進むと思います。国内のお客様に金型を納めるための拠点として考えていますが、グローバルな視点で最適調達する時代ですから、付加価値の高い金型に対するニーズに応じて海外へ輸出することも検討する時期がいずれくると思っています。
説明 多田社長
 日本国内にマザー工場を置くメーカーが多くなってきました。品質を必要とする金型はやはり国内でしか作れません。金型の寿命を含めトータルで考えれば国内の金型の方がコストが安くなるとも聞きます。今、日本のモノ作りはふんどしを締め直す時にきています。100年に一度の不況ではなく、100年待ちに待った不況と捉え、今一度真剣にモノ作りに向き合う必要があると思います。これからも当社はモノ作りの原点であり基盤である金型技術の高度化にあくなき挑戦をし続けていきます。
SP

本日はお忙しいところ貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。社員一人一人を大切に、モノ作りに真摯に取り組み、更に高嶺を目指す御社に大きな期待を感じます。御社の更なる躍進と皆様の御活躍をお祈り申し上げます。
SP
 
              《《《 会 社 概 要 》》》
  SP SP  
多田 敏雄 社長
多田 敏雄 社長


多田憲生統括部長
多田 憲生  統括部長
会 社 名 株式会社岐阜多田精機  
本   社 岐阜県岐阜市東改田字鶴田93番地  
設   立 昭和 55年4月  
代 表 者 代表取締役社長 多田 敏雄  
事業内容

プラスチック射出成形金型、ダイカスト金型の設計製作

 
資 本 金 5000万円  
従 業 員 9 6名  
U R L http://www.tada.co.jp/  
T E L 058-239-2231  
F A X 058-239-8353  
取材:平成 23年17日 総務課 情報公開・広報室


 中部経済産業局 総務課 情報公開・広報室

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