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中部発きらり企業紹介 Vol. 68

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  光生アルミニューム工業株式会社 光生アルミニューム工業(株)
アルミニウム製品を通じて、地球環境に優しいモノ作りに取り組む  


 今回は、 平成19年度に戦略的基盤技術高度化支援事業(通称:サポイン事業)を活用し 「マグネシウム合金とアルミニウム合金のハイブリッド構造体の開発」に取り組むなど、地球温暖化防止に貢献するため、世界にも類例のない独自の鋳造・接合技術の高度化を核に自動車部品等の軽量化に果敢に挑戦されている、光生アルミニューム工業株式会社の神谷俊吉代表取締役社長にお話を伺いました。
本社・豊田製作所社
本社・豊田製作所社
 
インタビュー
 御社のこれまでの沿革について教えてください。
 
説明 神谷社長

 創業時はマグネシウム鋳造を手がけていました。戦後間もない頃、航空機軍需産業の拠点であった名古屋市には、航空機エンジンの製造に使われていたマグネシウムの削り粉が多量に廃棄されていました。燃えやすい危険な金属であるため、削り粉を回収して再溶解しインゴット(金属の固まり)にしてほしいと名古屋市から依頼があったのが発端です。神戸製鋼に勤めていた先々代の初代社長である私の叔父が、有志を集めてマグネシウム鋳造の企業組合を昭和25年に設立しました。社名の「光生」は、溶解した軽金属の鮮やかな光の中から人生の幸せが生まれる、という由来です。名古屋市の仕事を請け負った訳ですが、当時の市にはお金はなく、工賃の変わりがマグネシウムの現物支給で、生計を立てていくために、子供のおもちゃや三輪車、鍋釜などを作っていました。マグネシウムはそもそも輸入材で、昭和30年代頃には材料が無くなり始めました。マグネシウムと同じ軽金属で加工がしやすく強度も出しやすいということで、アルミニウム鋳造に切り替え、折しもオートバイの勃興期であり、オートバイのエンジン部品を手がけるようになりました。先代社長の父が入社したのもこの頃です。父は中島飛行機(現富士重工)で軽金属の仕事をやっていましたが、叔父に誘われて、光生アルミニューム工業としての立ち上げに加わりました。昭和40年代に入り、社長であった父は、これからは自動車の時代であると判断し、会社を名古屋市からトヨタ自動車の本拠地である豊田市に移転し、乗用車のエンジン部品やブレーキ部品を手がけ始め、昭和50年代から現在の当社の主力製品であるアルミホイールの生産を開始しました。戦後混乱期から始めて、マグネシウムやアルミニウムの鋳造による生産技術においては、当社は先頭を走ってきたと自負しております。

SP
傾斜式重力鋳造機
傾斜式重力鋳造機
インタビュー
 昨今ではトヨタプリウスやホンダCR−ZなどのアルミホイールやレクサスLFAの車体骨格などを供給されていますが、こうした製品群を生み出している御社の技術開発の取り組みについて教えてください。
 
説明 神谷社長

 自動車の燃費を良くするためには、軽量化は欠かせません。ひいてはCO2の削減にもつながります。ハイブリッド車や電気自動車など、次世代自動車は走行エネルギーの効率化を図るために更なる軽量化が求められていくことでしょう。こうした背景のもと、当社はこれまでアルミニウム製品の軽量化と強度の向上を両立する技術開発に取り組んできました。
 鋳造の主流は溶解したアルミニウムを金型の下から注入する低圧鋳造ですが、当社は創業以来、一貫して重力鋳造を行っています。傾斜式重力鋳造機で、溶解したアルミニウムを金型手前の受け皿に注ぎ、金型を90度まで傾けながら充填するという鋳造です。複数の鋳造機を円盤状のテーブルに載せ移動する間に凝固が完了するターンテーブル方式により、時間当たりの生産性を上げています。コンパクトでかつ導入コストが安く、自動化すなわち無人化が可能な鋳造設備で、製品の低コスト化を実現しています。多品種小ロットに対応でき、汎用性が高く、これまでの技術の積み重ねで、小型なものから大型で複雑なものまで作ることができます。この鋳造法では厚肉が避けられない部分が生じてしまうのですが、この弱点を克服するために、残熱を利用した圧延を行うスーパーフォーミング製法という技術を独自に生み出しています。凝固する前の熱を効果的に使い、軽量化と強度向上を同時に実現しています。また、低圧鋳造と高圧鋳造の組み合わせによる、ハイブリッドスクイズ鋳造法の研究開発を行っています。製造サイクルが早く、高強度と高延性が両立でき、薄肉で大型の高靱性な鋳造品を製造できます。現在、実用化に向け進行中です。

ボトル締結部の機能改善

 鋳造技術の高度化に加え、高エネルギー効率で環境に優しい摩擦熱を利用した接合技術の研究開発も進めています。経済産業省の戦略的基盤技術高度化支援事業(通称:サポイン事業)を活用した「マグネシウム合金とアルミニウム合金のハイブリッド構造体の開発」もその一つです。アルミニウムよりも軽い材料であるマグネシウムは、軽量化を促進する材料として有力ですが、例えばボルトで締結した部分に緩みが生じてしまうといった強度不足の弱点を抱えています。そこで、強度が必要な部分にアルミニウムをコーティングすることで克服できるのではないかと考え、摩擦熱を利用した接合技術によりマグネシウムとアルミニウムの異種金属の接合を実現しました。この画期的な接合技術により、マグネシウムの適用拡大が図られ、軽量化が促進できます。試作品は出来ており、実用化に向け自動車メーカーとの共同研究を進めています。また、摩擦熱による接合技術を応用した、中空アルミホイールを開発中です。溶融や溶接では歪みが生じてしまう課題を克服し、中空化した複雑な形状のアルミホイールの製造を可能にしました。軽量化の促進に貢献する世界初の技術であり、こちらも実用化に向け力を入れています。

レクサスLFAのサスペンションメンバー プリウスのアルミホイール最終検査

レクサスLFAのサスペンションメンバー

プリウスのアルミホイール最終検査

SP
インタビュー
 生産工程などにおける環境重視の取り組みについても教えてください
 
説明 神谷社長

 設備に関しては、エネルギーロスが極力出ないように常に改善・改良を心掛けています。溶解炉の燃料は天然ガス化を進めています。天然ガスと液化石油ガスを比べると、CO2排出量について天然ガスの方が少ないからです。福井県にアルミホイールの製作所がありますが、福井県では天然ガスの取扱いがないため、わざわざ三重県から天然ガスを運んでいます。運搬コストがかかりますが、コストアップにならないよう、更なるCO2削減にもつながるエネルギー効率の高い集中溶解炉の導入を進め対応しています。また、豊田製作所は1年程前に省エネルギーを徹底した工場に建て替え、今年11月には財団法人素形材センターから環境優良工場として表彰されました。全くの異業種となりますが、工場の排熱を有効利用しようと、熱交換機を製作し、溶解炉から出る熱エネルギーを温風・温水に変換して、工場近くの畑で温室栽培をしています。将来的には植物工場も検討しており、バイオ関係の卒業生も採用しているところです。

SP
外国人従業員や海外からのお客様に日本文化に触れていただくため、本社敷地内に設けた日本庭園
インタビュー
 鋳造技術等の高度化を進められる一方で、御社は早くから海外へ進出されていますが、その経緯などについて教えてください。
 
説明 神谷社長
 海外との関係でいいますと、平成元年にフィリピンに技術援助を行ったのが最初です。その後、中国、タイ、フランスの3カ国5拠点に工場等を設立しています。生産・販売においてグローバルなネットワークを築き、現地の日系自動車メーカーを始め、欧米企業や現地企業へ製品を供給しています。今年はインドへも展開し、現地自動車部品メーカーとの合弁で新工場を設立することとなりました。
 当社が海外へ進出し始めた頃は、中小企業ではまだほとんどが海外へ進出していない時期でした。高いリスクを覚悟してでも海外へ進出していった背景には、お客様である自動車メーカーが海外を志向されていたことです。たとえ自動車製造の素晴らしい技術を持っていたとしても、国内市場のみでは自ずと限界があり、生き残っていくためには世界規模で仕事をしていく必要があります。自動車メーカーの立場に立てば、当然ながら当社も海外で生産していかないと駄目だと判断した訳です。特に、ホイールなどのかさばる製品は、日本から持っていくにはコストがかかりすぎるため、現地のアセンブリー工場の近くにないと買ってもらうことはできません。仕事を得るには海外へ進出する必要があり、逆に海外へ出て行かなければ国内の仕事さえもなくなっていく、そんな宿命にありました。私はアメリカの大学院に留学し、卒業後はアメリカの石油会社で6年間勤めていました。国際感覚を養う良い時期であったと思います。帰国後、こちらに入社してからは、自動車メーカーが海外へ進出し始めている実態から、我が社も海外へ進出していこうと進言し続けていました。現地の従業員雇用や相手国の法律的な問題など多くの苦労がありましたが、結果として、早い時期からの海外進出は当社の強みとなりました。日系自動車メーカーのみならず、昨今では成長著しい新興国の自動車メーカーとのパイプも太くなってきています。国内と海外の生産の割合は、現在は6:4ぐらいですが、インドでの生産が始まると逆転すると思います。
 国際企業として発展していくため、7年前から新入社員には率先して海外赴任をさせています。また、本社の幹部クラスに外国人も登用しています。日本人だけで物事を進めるやり方では国際企業としての発展はないでしょう。
SP
異種金属の軸と円盤を摩擦接合して製作したコマ
異種金属の軸と円盤を摩擦接合して製作したコマ。 展示会等の人気アイテム
インタビュー
 地球環境重視のモノ作りは国際企業として発展されていく上で大きな武器であり、また大きな責務を果たされていると思います。今後の御社のビジョンをお聞かせください。
 
説明 神谷社長
 他社が大型ホイールの軽量化に注力している中、当社では、今後は小型車の時代と踏み、早いうちから小型ホイールに注力してきたことで、現在の自動車産業の流れにフィットしました。早いうちから海外へ進出してきたこともそうですが、こうした時代の流れを先読みした経営判断がますます重要になってくると思っています。自動車産業は日本経済の勝ち組と言われていますが、早晩、白物家電やコンピュータ産業と同じく生産拠点の海外移転による更なる空洞化が進んでいくと考えています。海外に出て行くことは必要ですが、国内でも同じことをやっていては恐らく生き残っていくことは難しいでしょう。そのような意味でも、当社の主力製品はアルミホイールですが、売上比率の8割を占めているため、将来を考えると何とかしなければいけない。そこで、新技術・新製品・新販路を築き、アルミホイール以外の柱も立てていこうと、今年1月に新事業本部を設置しました。新技術の中でも異種金属同士の強固な接合を実現する摩擦接合の技術は、自動車産業に限らず様々な産業においてニーズがあり、新分野を開拓する主力技術の一つであると考えています。また、航空機分野を視野に入れた大型鋳物の鋳造技術やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)とアルミニウムとの接合技術、次世代自動車を見据えたインホイールモーターに適用するホイール開発等にもチャレンジしており、これまでのアルミホイールに係る技術の制約をとりはずして考えていくことを進めています。地球環境に優しいモノ作りを念頭に、今後はアルミニウム製品等の更なる軽量化に取り組むと同時に、新事業本部を核に新しいビジネスモデルを確立していこうと思っています。
SP

本日はお忙しいところ貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。中部経済産業局としましては、中部地域の成長戦略として、次世代自動車産業を重点振興分野の一つに位置付けています。今後とも微力ながら応援させていただければと思います。御社の更なる飛躍と皆様のご活躍をお祈り申し上げます。
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              《《《 会 社 概 要 》》》
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会 社 名 光生アルミニューム工業 株式会社  
神谷 俊吉 社長
神谷 俊吉 社長
本   社 愛知県豊田市神池町2丁目1236番地  
設   立 昭和25年  
代 表 者 代表取締役社長 神谷 俊吉  
事業内容

アルミホイール、自動車及びオートバイの重要保安部品、各種機器及びその部品の製造販売

 
資 本 金 1億9,550万円  
従 業 員 372名  
U R L http://www.koseijp.co.jp/  
T E L 0565−80−4492  
F A X 0565−80−4100  
取材:平成 22年1214日 総務課 情報公開・広報室


 中部経済産業局 総務課 情報公開・広報室

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