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中部発きらり企業紹介 Vol. 67

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  株式会社三光製作所 株式会社三光製作所
  人のやらない仕事に挑戦し続け、確かな実績と信頼を築き、航空宇宙産業の発展に貢献  


 今回は、 高い技術と品質を求められる航空宇宙産業において、難切削材加工のパイオニア的存在であり、昨今ではメーカー協力会社共同体の代表として海外の航空機関連メーカーからの受注を目指し、パリやファンボローのエアショーに積極的に参画する等、我が国航空宇宙産業の最大の集積地である中部地域の先導役として世界へと躍進する、株式会社三光製作所の奥村清志社長にお話を伺いました。
株式会社三光製作所 [本社工場]
株式会社三光製作所 [本社工場]
インタビュー
 御社のこれまでの沿革について教えてくだ さい。
 
説明 奥村社長
 戦後10年を経た昭和31年、父が裸一貫で奥村鉄工所を開業したのが始まりです。当初は大手企業からの歩合制の仕事を引き受ける町工場でした。独立を目指していた父は自分の兄弟に声を掛けて、昭和34年に兄弟3人で三光製作所を立ち上げました。兄弟3人の「三」と、自分の清光という名前から「光」の一字をとって社名を「三光」としました。長男は技術、次男は営業、三男は経理という得意分野を活かし、切磋琢磨しながら3人の力が一つになって会社を伸ばしていきました。家庭電化製品や自動車部品の加工を行うかたわら、三菱重工業との取引が始まり、高度経済成長時にはパワーショベルの油圧部品を扱い、半年先の受注残を抱えるくらいの好景気の時期がありました。しかし、ドル・ショックにより経済が変革し、このままで良いのかと考えるようになりました。そのような折、三菱重工業において航空機エンジンの生産が始まり、当社は加工が難しい航空機エンジン部品の世界に挑戦していきました。
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作業所内部
作業所内部
 
熟練工による旋盤加工
            熟練工による旋盤加工
インタビュー
 生産個数の多い家電関連や自動車関連とは違い、あえて生産個数が少なく加工も難しい航空機エンジン部品に挑戦していかれた理由は何ですか?
 
説明 奥村社長
 現在、当社はロケットエンジンの中枢部品やジェットエンジンの部品を加工しています。これらは超精密部品であり、高い技術と品質が求められます。ここに至るまで力を付けることができたのは、創業者のモットー「人のやらない仕事をやる」ことを徹底し、そこに喜びを持って取り組んできたからだと思います。
 初期の頃は勿論、大変な苦労がありました。エンジン部品は難切削材で、まともな道具も治具も加工機械もない。これまでの加工に比べると加工時間が5倍もかかり、材料価格も超高価で失敗は許されない。まさに人のやらない仕事です。それでも踏ん張ってあきらめず、苦労して納品するとお客様に喜ばれました。お客様の喜びは当社の喜びとなり、また頑張れる。苦労が報われて、次の仕事が来る。これを繰り返していくことで、経験を積み、5倍かかっていた労力が3倍、2倍ですむようになる。航空宇宙関連の部品加工は人のやらない仕事だから、競争は少なく、納品する個数は少なくても付加価値が高い。中小企業として経営が成り立っていくようになりました。更に付加価値の高い仕事をこなしていき、他社ではやらない、すなわち他社には出来ない技術を磨き、次なるチャレンジに進む。実績と技術力を上げていくことでお客様の信頼が得られ、三光製作所なら任せられると仕事を出してくれる。このサイクルが進み、間違いのないものをじっくりと作ることに集中し、腰を据えて仕事に取り組んでいくことができました。
 私は入社して数年後の平成元年、国内でロケットエンジンの量産が始まった頃、父から「三菱の現場を回れ」との命令を受けたことを今でも鮮明に思い出します。必死にご用聞きをして、情報を集め、試作段階・開発段階からの受注を獲得できるようになりました。
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インタビュー
 高い技術と品質を維持していくためには良い人材を得ることが重要かと思いますが、御社は社員定着率が良いとお聞きしています。 その秘訣は何ですか?
 
説明 奥村社長
 中小企業ですので、能力があればすぐさまロケットや航空機のエンジン部品を手がけることができ、それが実際にロケットや航空機となって飛んでいきますから、航空宇宙分野が好きな者にとってはたまらないと思います。はなから現場に入りたい、といって志望してくる人は即採用してきました。そういった人は2年もたたずに一人前になっています。ボタンを押すだけの仕事ではなく技術を磨いていく必要がありますので、入社したては苦労が多いですが、そこは好きこそものの上手なれです。
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JAXAからの感謝状
JAXAからの感謝状
 
ファンボロー・エアーショー セミナー風景
インタビュー
 JAXA(宇宙航空研究開発機構)から我が国初の6機連続「H−UA」ロケット打ち上げに貢献されたことから感謝状を受けるなど、御社は航空宇宙産業において確固たる実績と信頼を築いてこられました。次なるステージとして、三菱重工の協力会社が連携して、海外の航空機メーカーからの共同受注を目指す取り組みについ て教えてください。
 
説明 奥村社長
 当社は、三菱重工業(株)名古屋誘導推進システム製作所の部品製造、組立をサポートしている協力会(24社)のメンバーであり、今は私が代表を務めさせていただいております。海外に積極的に目を向け始めるきっかけは、平成19年に、協力会として海外研修を企画し、三菱重工にガイドをお願いしてイギリスの航空機関連メーカー等を訪問したことです。これを皮切りに、翌年は北米にある航空機関連メーカーを訪問し、様々なことを学びました。同時に、海外で特別なことをやっているかというとそうでもない、チャンスがあれば自分たちの力を合わせ仕事が取れるぞ、という意識が高まりました。三菱重工からも、協力会として海外の見本市に出展できるのではないか、海外の仕事も取れるのではないかといった話が持ち上がりました。この機運を活かし前進していこうと、平成21年に協力会の名称を「MASTT(マスト/Meiyu Aerospace Support Technology Team)」と改称し、三菱重工への協力業務に加え、海外の航空機関連メーカーからの共同受注を目指していくことになりました。中小企業1社ではできないことも、連携し共同受注の体制をとることで部品供給の一貫生産を可能にしていこうと考えた訳です。しかし、具体的に何をやっていくのかは決まっていなかったのが正直なところです。そこへ、中部経済産業局から「パリ・エアショー」にMASTTとして出展しないかという話をいただきました。とても良いタイミングでした。中部経済産業局からは以前より航空宇宙産業に対するサポートを進めていくことについてお話を伺っていましたが、海外のエア・ショーへの中小企業の出展支援を行うというのは、私の知る限りでは初めてのことでした。中小企業だけで足を踏み出すということはなかなか出来ることではありません。ですから、ビジネスマッチングのセッティングから会場への誘導、通訳など、中部経済産業局を始め、行政や関連団体の皆様を通じて様々なサポートを受けることができたのは大変有り難かったです。今年は「ファンボロー・エアーショー」への出展について、引き続きサポートをいただきました。お陰様で海外の航空機関連メーカーとの商談が現在進行中です。
 MASTTの海外研修として、今年は台湾の航空機産業の視察を行いました。台湾の航空機産業のレベルは高く、驚きました。競争相手はごく身近にあり、この競争に打ち勝っていくには、中小企業1社では到底無理で、MASTTといった連携体制の重要性を危機感と共に肌で感じました。
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インタビュー
 国内の仕事にとどまらず、海外メーカーからの共同受注を目指す一歩一歩は、中部地域の、また我が国航空宇宙産業の可能性を広げる素晴らしい取り組みです。今後の御社のビジョンを お聞かせください。
 
説明 奥村社長
 当社は来年2月に工場の移転を予定しています。これまで事業拡張の度に分散して建ててきた複数の工場を一つにまとめます。この不景気にどうしてと思われる方もいますが、航空宇宙産業は官需も多い事から不景気にあまり左右されません。逆に不景気には土地や工作機械を安く購入できるというメリットを活かして設備投資を考えています。新工場を建てる理由は、一つにはロケットエンジン部品の安定供給です。敷地を拡大しラインを増設して、お客様から一層安心して仕事を任せられるといっていただける体制にしたいと思います。もう一つには、海外市場を含め、民間ジェット機のエンジン部品の需要が増加していることへの対応です。過去に目の前に仕事があっても、工場の生産規模が間に合わず対応できなかったことがありました。需要が見込まれる中、次の機会を逃さないためにも新工場の建設は長年の悲願であります。また、分散していた工場を一つにまとめることで、効率化が図られます。従業員も一つ工場の中で切磋琢磨しながら連帯し、これまで以上にいい仕事をしてくれると思っています。
 航空宇宙産業は国際分業化が進んでいます。国内の様々な産業が海外生産にシフトする中、航空宇宙産業は海外からの仕事を受注して国内で生産・加工するという逆の流れにあります。日本がモノ作りで生き残っていくために、当社やMASTTが突破口の一つになれればと思っています。
 

本日はお忙しいところ貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。中部経済産業局としましては、中部地域の成長戦略として、航空宇宙産業を重点振興分野の一つに位置付けています。今後とも微力ながら応援させていただければと思います。御社の更なる飛躍と皆様のご活躍をお祈り申し上げます。
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              《《《 会 社 概 要 》》》
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会 社 名 株式会社三光製作所  
奥村 清志 社長
奥村 清志 代表取締役
本   社 愛知県あま市七宝町川部四反田20  
創   業 昭和31年3月  
設   立 昭和42年7月  
代 表 者 代表取締役 奥村 清志  
事業内容

ロケット・航空エンジン部品、航空油圧部品などの製作 (製作例:気象・衛星通信打ち上げ用LE-5B、LE-7Aエンジン超精密部品、航空機操縦系統に使用する油圧精密部品など)

 
資 本 金 2000万円  
従 業 員 49名  
U R L http://www.sankomfg.co.jp/  
T E L 0 52-442-0569  
F A X 0 52-442-9594  
取材:平成 22年1115日 総務課 情報公開・広報室


 中部経済産業局 総務課 情報公開・広報室

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